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第2章:少年期後編~青年期へ
40話 まずは覚悟も決めつつ
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……授業中、エルは少し集中できなかった。
その理由としては単純明快、昨晩のハクロたちとのことを思い出してしまうからである。
肉による作用ゆえに仕方がない事ではあったが、今まで家族として接してきた相手に対して、性的な事をやらかしたので、少々もやっとしてしまう部分がある。
まぁ、流石にバレさえしなければ色々と不味い事にはならないのだろうけれども…それでも、健全な年ごろの男児の身体としては気にしてしまう部分もあるし、気持ちの整理が付けづらいのだ。
「とはいえ、やってしまったしなぁ…最後までとはいかずとも、それでもあの光景は目に毒すぎたな」
彼女達の状態異常回復のためにやった事で、純潔までは奪ってはいない。
ゆえに、処女性は守られているが、それでも色欲まみれたような光景が広がっていたせいで、ちょっとばかり言い表しにくい感情もある。
そうなれば、ここは一度話し合う必要性がありそうだ。
今回は押しかけてきたのが彼女達からで不可抗力な事…ちょっと頑張れば抗うこともできそうだったが、力の差ゆえに押し切られまくった事とは言え、はっきりさせたほうが良い。
そう思いつつ、授業の中で出てきた煩悩のような昨夜の光景を振り切り、なんとか放課後の時間になった。
「ハクロ、カトレア、タマモ、帰ったよ。そろそろ流石に動けているとは思うけど、どうかな?」
授業が終わり、放課後になって俺は寮室へ戻った。
一晩中続けた行為のせいで動けなくなっていただろうが、ここまで時間が経てば自然と回復し、夜中にはこっそりと家の方に戻ることは可能なはずである。
なので、今晩の彼女達の逃亡計画に関して話し合う気があったが…
「あれ?」
何か妙に静かで、入ってみれば誰もいない。
放課後とはいえ、まだ外は明るく、室内も同様に明るいはずなのだが、影とかが見えない。
「おーい、みんなー?ハクロ、天井にでも隠れているのか?カトレア、ぎっちぎちに縮こまっているのか?それとも、タマモの妖術か?」
思い当たる事を次々と上げて声をかけて探す中…ふと、ごとっと音が鳴った。
がしっ!!
「っ!?」
突然背後から掴まれ、思わずびっくりして体がこわばる。
それと同時に何か柔らかいものも一緒に後方に当たったが、この感触は知っている。
「エル!!改めて言いますけど、昨晩はすいませんでした!!」
声でわかったが、抱きしめてきているのはハクロであった。
どうやら既に回復したようで素早く動けているようだが…何で隠れていたうえに、謝っているのだろうか。
「い、いや、ハクロ、謝るとしたらこっちになるのだが…というか、何故気配を消して背後から?」
「あ、この方がインパクトもあるとタマモが言っていたんですよ。印象を強くつけるなら、インパクトが大事だって」
「うむ、隠れて強襲したほうが、思った以上に心へ衝撃が走ると思ったからのぅ」
「ふみゅっ、印象、こういう時に大事」
右からはどこからともなくすぅっと音を立てずに、まるで最初からそこに居たかのようにタマモが現れて尻尾を巻き付けてきて、左からは、床からにょきッと生えてカトレアが現れ、根っこを巻き付けて来た。
左右後方、彼女達に囲まれてしまったようである。
‥‥‥まずはこの状況の説明をしてくれないか?
とりあえず、話を聞くために解放してくれないかと話したが、どうやら話す気はないらしく、このままの状態で話し合うことにした。
無理にほどくこともできないし、そもそも肉体強度で彼女達に負けるんだよなぁ…これでも年頃の男の子なのに、彼女達を振りほどけないのはどうなのか…いや、そもそもモンスターや獣人の彼女達の方が、人間より強度が強いのもあるのか。
念のために部屋には防音の魔法を再びかけて外に漏れないようにし、バレないようにしておく。寮室内に以前はいたとはいえ、それでも男の子の部屋にこうも集まるのがバレたら、それはそれで問題になりそうだとは思う‥‥そう考えると、以前一緒にいる事が出来た状況って、相当恵まれていたのかもしれない。
「えっと、それで何で、こうやって巻き付いたりしているのかな。拘束せずとも逃げないのだけれども」
「それは分かってますが…私たちが、エルから離れたくないだけなのですよ」
「ハクロたち全員が俺と一緒にいたいということで良いのか?」
「はい、その通りです。
回答があっているのか、ハクロたちはうんうんと頷く。
「でも、家族だし、卒業後ならば一緒に過ごせるんだし、改めて願わなくてもいいよね?というか、こうやって拘束する必要性もないと思うんだけど」
「そこ、ちょっと質問」
「なんだよ、カトレア?」
話している最中に、カトレアが手を上げて質問してきた。
「その家族、カテゴリーから、私達どのような位置?」
「え?普通になんというか、こう、大事な家族かな」
「うやむやに近い、はっきりしていない、ということでいいの?」
「あー…まぁ、どうなんだろう。家族と言えば家族だけど、何となく兄弟姉妹とかに近いような者もあると思うかな」
異性として意識をしているところはあるが、それでもずっと過ごしてきた家族というカテゴリを改めて問われても、何とも言えるものではない。
こう、ずっと一緒にいたからずっと一緒に居たいと思えるが…改めて問われると、何だろうか、この関係性。
そう疑問に思っていると、予想していたのかハクロたちは顔を見合わせ、そして溜息を吐いた。
「はぁっ…まぁ、エルらしいと言えばエルらしいです
「エル、魔法とかスゴイ、けれども、他、超鈍感」
「唐変木というのがあっているのじゃろうか」
何だろう、呆れられた感じがする。何かそこまで、言われるようなことをしただろうか。
「となれば、ここは直球が良いんですかね?」
「それが、良いかも。こういう鈍感な人、そうでもしないと分からない」
「うむ、そうじゃな。キングオブニブチンなやつには、はっきりしたほうが良いじゃろう」
「お前ら何か酷い事も言っていないか?」
「酷くないですよ!私たちがエルの事を異性としてきちんと好きなのに、全然わかっていないからです!!」
「へぇ、異性として好きだからか‥‥‥ん?」
……今、何と?
ハクロから飛び出した言葉に、少々遅れて頭が理解し、目を丸くする。
はっきりと言われなければ確かに分からなかったが、それでもこうやって正面から堂々と言われると、一瞬聞き間違いしたのかと思ってしまう。
「えっと、今聞き間違えじゃなければ『異性として』と聞こえたんだけど…男友達としてとか?」
「全然違うんですが!?」
「エル、鈍い!!、そっちの方向性、考えてなかった!!」
「そういう意味じゃないんじゃよ!!」
そろってツッコミをいれられ、ぐぐぃっと顔を近づけられる。
「「「エルの事を番…生涯の伴侶として一緒にいたいの!!」」」
「生涯の…はああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
三人そろっての言葉に、流石に驚愕の声を出さされた。
異性として、それは男友達でもなんでもなく、本当に生涯一緒って‥‥‥これってもしや、逆プロポーズってものなのではなかろうか。
前世ブラック企業勤め時でもされることはなかったし、やっていたやつが盛大に振られまくっていた現場を見たことはあるけれども、まさか告白を受ける立場になるとは思いもしなかった。
あまりの驚愕に、エルは意識を現実に追いつかせるまで、しばし時間を取ってしまうのであった‥‥‥
―――――――――――――――――
SIDEハクロたち
つい、勢いで言ってしまった。
驚愕して少々混乱しているらしいエルを見ながら、ハクロたちはそう思った。
なかなか気が付いてくれないというか、ここまで鈍いのか鈍感男という想いもあり、勢いに任せてストレートな本音を吐いてしまったハクロたち。
もう後戻りもできないと思い、全部言ってしまったが…自分達から堂々と行為を伝えてしまったことを時間し直し、ちょっと冷静な思考を得たせいで今更ながら告白したことに対する羞恥心が爆発し、彼女達は真っ赤になった。
「ああああああ、つい言ってしまいましたよおおおおお!!」
「ふみゅっ、こちらからの押しかけ求婚、ちょっと恥ずかしい!!」
「普通は男児からと思うが、わっちも我慢できずに叫んでしまったのじゃ‥‥‥」
勢いに任せたとはいえ、こういうことはやや気恥ずかしいのだ。
大好きな、それこそ性的なつながりを求めたくなるような相手に対して堂々と告白するのは、緊張し、勇気がいることなのだと改めて彼女たちは自分達のやらかしから学ばされる。
そして告白してから少しだけ時間を置いて、ようやくエルの方も状況の理解と気持ちの整理がついたようで、ハクロたちの方に顔を向けた。
ハクロたちの方へ向き直り、じっと彼女達を見る。
次にどのような言葉が出るか、彼女達は身構え、ほんのわずかな時間であったが、それでも長く感じた後、ようやくエルが言葉を発した。
「‥‥‥つまり、皆、俺と共に生涯を過ごしたいと?家族としてのくくりから…お嫁さんとかそういった感じで?」
「「「はい」」」
確かめるかのような言葉に即答し、嘘偽りないと彼女達はその思いを込めた目でエルを見る。
エルの方もその本気の度合いを感じ取ったのか、少し考えこみつつ‥‥返答をする。
「わかった、昨晩のこともあったからこそ責任を取ってというのもあるけど…うん、確かに家族士として何なのかと問われて‥‥同じかもしれない。俺自身もハクロたちが好きだ」
エルの方も、どうやらハクロたちと同じような気持ちを抱いていたようだが、それでも見ていない部分があったのだろう。
けれども、今回の告白で改めて自分の中の気持ちと向かい合い、その答えを出してくれたようである。
「でも、その告白は受け取るけど…」
「「「けど?」」」
「なんかこう、先に言われたのが悔しいかな。こういうのを言うのならば、こっちからやりたかったのもあるし、今はまだそういう未来を抱いても、色々と問題もあるような気がする。だからこそ、後で正式な告白ができるようになるまで、仮のお付き合いでも‥‥してみるか?」
それはつまりOKということなのだが、どうも先に言われてしまったことが悔しいのもあるらしい。
男の子としてのプライドがあるのか、エルのそんな姿に思わずハクロたちは笑みを浮かべたのであった。
それに、告白しお互いに思いあう部分があっても、まだエルは学生の身でもあるし、タマモは獣人だからまだいいかもしれないが、ハクロとカトレアはモンスター。
人と結ばれていいのか、そもそも三人一緒にやっていいのかなどの数々の問題点も、冷静になったらある事に気が付く。
それでも、その問題点を確実に片付けつつ、進めるのであれば…仮かもしれないが、それでも正式にお互いに付き合う事を決める。
何にせよ、この日、ようやく彼女たちは愛する人との気持ちを理解しあうことができたのであった‥‥‥
「ところでエル、これ以上私たちのような人が増えそうなときは、きちんと言ってくださいね?」
「エルの事だから、天然ジゴロ、それでだれか、またやられてくる」
「うむ、エルの嫁希望者が増える未来が見えるのじゃ」
「ちょっと待って?後から増える事前提とかってどういうことなの?皆、俺の事を普段どんな風に見ているの?」
「「「…えーっと…エルとして、見ている?」」」
「どういう回答なの!?」
……仮、としてよかったのかもしれない。初っ端から前途多難な気配があふれ出していたのであった。
その理由としては単純明快、昨晩のハクロたちとのことを思い出してしまうからである。
肉による作用ゆえに仕方がない事ではあったが、今まで家族として接してきた相手に対して、性的な事をやらかしたので、少々もやっとしてしまう部分がある。
まぁ、流石にバレさえしなければ色々と不味い事にはならないのだろうけれども…それでも、健全な年ごろの男児の身体としては気にしてしまう部分もあるし、気持ちの整理が付けづらいのだ。
「とはいえ、やってしまったしなぁ…最後までとはいかずとも、それでもあの光景は目に毒すぎたな」
彼女達の状態異常回復のためにやった事で、純潔までは奪ってはいない。
ゆえに、処女性は守られているが、それでも色欲まみれたような光景が広がっていたせいで、ちょっとばかり言い表しにくい感情もある。
そうなれば、ここは一度話し合う必要性がありそうだ。
今回は押しかけてきたのが彼女達からで不可抗力な事…ちょっと頑張れば抗うこともできそうだったが、力の差ゆえに押し切られまくった事とは言え、はっきりさせたほうが良い。
そう思いつつ、授業の中で出てきた煩悩のような昨夜の光景を振り切り、なんとか放課後の時間になった。
「ハクロ、カトレア、タマモ、帰ったよ。そろそろ流石に動けているとは思うけど、どうかな?」
授業が終わり、放課後になって俺は寮室へ戻った。
一晩中続けた行為のせいで動けなくなっていただろうが、ここまで時間が経てば自然と回復し、夜中にはこっそりと家の方に戻ることは可能なはずである。
なので、今晩の彼女達の逃亡計画に関して話し合う気があったが…
「あれ?」
何か妙に静かで、入ってみれば誰もいない。
放課後とはいえ、まだ外は明るく、室内も同様に明るいはずなのだが、影とかが見えない。
「おーい、みんなー?ハクロ、天井にでも隠れているのか?カトレア、ぎっちぎちに縮こまっているのか?それとも、タマモの妖術か?」
思い当たる事を次々と上げて声をかけて探す中…ふと、ごとっと音が鳴った。
がしっ!!
「っ!?」
突然背後から掴まれ、思わずびっくりして体がこわばる。
それと同時に何か柔らかいものも一緒に後方に当たったが、この感触は知っている。
「エル!!改めて言いますけど、昨晩はすいませんでした!!」
声でわかったが、抱きしめてきているのはハクロであった。
どうやら既に回復したようで素早く動けているようだが…何で隠れていたうえに、謝っているのだろうか。
「い、いや、ハクロ、謝るとしたらこっちになるのだが…というか、何故気配を消して背後から?」
「あ、この方がインパクトもあるとタマモが言っていたんですよ。印象を強くつけるなら、インパクトが大事だって」
「うむ、隠れて強襲したほうが、思った以上に心へ衝撃が走ると思ったからのぅ」
「ふみゅっ、印象、こういう時に大事」
右からはどこからともなくすぅっと音を立てずに、まるで最初からそこに居たかのようにタマモが現れて尻尾を巻き付けてきて、左からは、床からにょきッと生えてカトレアが現れ、根っこを巻き付けて来た。
左右後方、彼女達に囲まれてしまったようである。
‥‥‥まずはこの状況の説明をしてくれないか?
とりあえず、話を聞くために解放してくれないかと話したが、どうやら話す気はないらしく、このままの状態で話し合うことにした。
無理にほどくこともできないし、そもそも肉体強度で彼女達に負けるんだよなぁ…これでも年頃の男の子なのに、彼女達を振りほどけないのはどうなのか…いや、そもそもモンスターや獣人の彼女達の方が、人間より強度が強いのもあるのか。
念のために部屋には防音の魔法を再びかけて外に漏れないようにし、バレないようにしておく。寮室内に以前はいたとはいえ、それでも男の子の部屋にこうも集まるのがバレたら、それはそれで問題になりそうだとは思う‥‥そう考えると、以前一緒にいる事が出来た状況って、相当恵まれていたのかもしれない。
「えっと、それで何で、こうやって巻き付いたりしているのかな。拘束せずとも逃げないのだけれども」
「それは分かってますが…私たちが、エルから離れたくないだけなのですよ」
「ハクロたち全員が俺と一緒にいたいということで良いのか?」
「はい、その通りです。
回答があっているのか、ハクロたちはうんうんと頷く。
「でも、家族だし、卒業後ならば一緒に過ごせるんだし、改めて願わなくてもいいよね?というか、こうやって拘束する必要性もないと思うんだけど」
「そこ、ちょっと質問」
「なんだよ、カトレア?」
話している最中に、カトレアが手を上げて質問してきた。
「その家族、カテゴリーから、私達どのような位置?」
「え?普通になんというか、こう、大事な家族かな」
「うやむやに近い、はっきりしていない、ということでいいの?」
「あー…まぁ、どうなんだろう。家族と言えば家族だけど、何となく兄弟姉妹とかに近いような者もあると思うかな」
異性として意識をしているところはあるが、それでもずっと過ごしてきた家族というカテゴリを改めて問われても、何とも言えるものではない。
こう、ずっと一緒にいたからずっと一緒に居たいと思えるが…改めて問われると、何だろうか、この関係性。
そう疑問に思っていると、予想していたのかハクロたちは顔を見合わせ、そして溜息を吐いた。
「はぁっ…まぁ、エルらしいと言えばエルらしいです
「エル、魔法とかスゴイ、けれども、他、超鈍感」
「唐変木というのがあっているのじゃろうか」
何だろう、呆れられた感じがする。何かそこまで、言われるようなことをしただろうか。
「となれば、ここは直球が良いんですかね?」
「それが、良いかも。こういう鈍感な人、そうでもしないと分からない」
「うむ、そうじゃな。キングオブニブチンなやつには、はっきりしたほうが良いじゃろう」
「お前ら何か酷い事も言っていないか?」
「酷くないですよ!私たちがエルの事を異性としてきちんと好きなのに、全然わかっていないからです!!」
「へぇ、異性として好きだからか‥‥‥ん?」
……今、何と?
ハクロから飛び出した言葉に、少々遅れて頭が理解し、目を丸くする。
はっきりと言われなければ確かに分からなかったが、それでもこうやって正面から堂々と言われると、一瞬聞き間違いしたのかと思ってしまう。
「えっと、今聞き間違えじゃなければ『異性として』と聞こえたんだけど…男友達としてとか?」
「全然違うんですが!?」
「エル、鈍い!!、そっちの方向性、考えてなかった!!」
「そういう意味じゃないんじゃよ!!」
そろってツッコミをいれられ、ぐぐぃっと顔を近づけられる。
「「「エルの事を番…生涯の伴侶として一緒にいたいの!!」」」
「生涯の…はああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
三人そろっての言葉に、流石に驚愕の声を出さされた。
異性として、それは男友達でもなんでもなく、本当に生涯一緒って‥‥‥これってもしや、逆プロポーズってものなのではなかろうか。
前世ブラック企業勤め時でもされることはなかったし、やっていたやつが盛大に振られまくっていた現場を見たことはあるけれども、まさか告白を受ける立場になるとは思いもしなかった。
あまりの驚愕に、エルは意識を現実に追いつかせるまで、しばし時間を取ってしまうのであった‥‥‥
―――――――――――――――――
SIDEハクロたち
つい、勢いで言ってしまった。
驚愕して少々混乱しているらしいエルを見ながら、ハクロたちはそう思った。
なかなか気が付いてくれないというか、ここまで鈍いのか鈍感男という想いもあり、勢いに任せてストレートな本音を吐いてしまったハクロたち。
もう後戻りもできないと思い、全部言ってしまったが…自分達から堂々と行為を伝えてしまったことを時間し直し、ちょっと冷静な思考を得たせいで今更ながら告白したことに対する羞恥心が爆発し、彼女達は真っ赤になった。
「ああああああ、つい言ってしまいましたよおおおおお!!」
「ふみゅっ、こちらからの押しかけ求婚、ちょっと恥ずかしい!!」
「普通は男児からと思うが、わっちも我慢できずに叫んでしまったのじゃ‥‥‥」
勢いに任せたとはいえ、こういうことはやや気恥ずかしいのだ。
大好きな、それこそ性的なつながりを求めたくなるような相手に対して堂々と告白するのは、緊張し、勇気がいることなのだと改めて彼女たちは自分達のやらかしから学ばされる。
そして告白してから少しだけ時間を置いて、ようやくエルの方も状況の理解と気持ちの整理がついたようで、ハクロたちの方に顔を向けた。
ハクロたちの方へ向き直り、じっと彼女達を見る。
次にどのような言葉が出るか、彼女達は身構え、ほんのわずかな時間であったが、それでも長く感じた後、ようやくエルが言葉を発した。
「‥‥‥つまり、皆、俺と共に生涯を過ごしたいと?家族としてのくくりから…お嫁さんとかそういった感じで?」
「「「はい」」」
確かめるかのような言葉に即答し、嘘偽りないと彼女達はその思いを込めた目でエルを見る。
エルの方もその本気の度合いを感じ取ったのか、少し考えこみつつ‥‥返答をする。
「わかった、昨晩のこともあったからこそ責任を取ってというのもあるけど…うん、確かに家族士として何なのかと問われて‥‥同じかもしれない。俺自身もハクロたちが好きだ」
エルの方も、どうやらハクロたちと同じような気持ちを抱いていたようだが、それでも見ていない部分があったのだろう。
けれども、今回の告白で改めて自分の中の気持ちと向かい合い、その答えを出してくれたようである。
「でも、その告白は受け取るけど…」
「「「けど?」」」
「なんかこう、先に言われたのが悔しいかな。こういうのを言うのならば、こっちからやりたかったのもあるし、今はまだそういう未来を抱いても、色々と問題もあるような気がする。だからこそ、後で正式な告白ができるようになるまで、仮のお付き合いでも‥‥してみるか?」
それはつまりOKということなのだが、どうも先に言われてしまったことが悔しいのもあるらしい。
男の子としてのプライドがあるのか、エルのそんな姿に思わずハクロたちは笑みを浮かべたのであった。
それに、告白しお互いに思いあう部分があっても、まだエルは学生の身でもあるし、タマモは獣人だからまだいいかもしれないが、ハクロとカトレアはモンスター。
人と結ばれていいのか、そもそも三人一緒にやっていいのかなどの数々の問題点も、冷静になったらある事に気が付く。
それでも、その問題点を確実に片付けつつ、進めるのであれば…仮かもしれないが、それでも正式にお互いに付き合う事を決める。
何にせよ、この日、ようやく彼女たちは愛する人との気持ちを理解しあうことができたのであった‥‥‥
「ところでエル、これ以上私たちのような人が増えそうなときは、きちんと言ってくださいね?」
「エルの事だから、天然ジゴロ、それでだれか、またやられてくる」
「うむ、エルの嫁希望者が増える未来が見えるのじゃ」
「ちょっと待って?後から増える事前提とかってどういうことなの?皆、俺の事を普段どんな風に見ているの?」
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