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修学旅行《トリップ・ワン》

~修学旅行・Ⅰ~

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さて、二週間という時が過ぎ。来ましたるは『|修学旅行・Ⅰ』当日。そんな中俺たちは出発前の集会という事で、校長先生結衣さんの有り難ーいお話を聞いている最中。
 それは定番の如く長く続いたのだが、隣のお嬢様があくびをしたと同時に―察したのだろうね。こちらに流し目をしつつ強引に話を終えやがった。こんな校長アリだろうか。みんなキョトンとしてるじゃん。

 まぁ、一言で纏めるなら、『楽しんでこい。だが、異能の使用は最低限に』 だそうだ。......異能使っても良いのね。一般にバレない範囲内なら。
だが当の本人は何処吹く風。もはや説明を放棄したかの顔で、「んじゃ、解散ー」と宣いやがった。こんな校長ってアリ?ないよね。長が直々に解雇するかなぁ。

 などと割りと深刻に考えていると、我が班のメンバーが集まってきた。お嬢様と彩ちゃんは異能で、M24狙撃銃を構えている雫、そして―ペットボトルをリュックに大量に持ってきている鈴莉。

「えーと、その水は何に使うのかな」

「武器だよ?」

簡潔な返答ではあるが、その一言を聞いて内心合点がいった。鈴莉の異能は『湖畔の妖精』。つまり、水を司る万能。だからそれさえも本人としては武器と化すのだろう。便利な異能だなー。 
 と思いつつ、そんな面々を眺め、俺は一つの指示を出す。

「......じゃ、行こうか。当初の予定に倣って、目的地は京都だ。詳しくは現地で考える事にする」

「志津二さん、さすがに楽観的過ぎる......」

「それは雫が神経質なだけじゃ―」

「「「ないない」」」

......何で。そんなに俺って楽観的過ぎるのか?自覚はしてるけどそこまで楽観的な覚えは無いぞ。しかも彩以外は全員口揃えて答えたし。シバいたろか。 

「と に か く。各々で武装をしてあるのなら構わない。何時何時いつなんどき不足の事態が起こるかも分からないのだからね」

「「「「はーい」」」」

素直なメンバーにうんうん、と頷きつつ。
 俺は校長である結衣さんに視線を向ける。それに気付いた本人がこちらに歩み寄って来た。そして、

「あー、分かってるから心配ないわ」

「それなら結構。戻ってよし」

「......生意気ね」

だってさ。......何で分かってるんだよ。千里眼持ちなの?貴女。まぁ、伝えたかったのは本部の管理と、リサを宜しくって事なんだけどさ。(リサは俺たちが暫く不在になるから念の為に本部に預けてもらってる)分かってるならいいや。しばらくは本部も平穏だろうから、結衣さんとリサにはじっくり休んでおいてほしい。

「さぁ、出発しようか。まずは東京駅から京都駅までだ。バス移動にするよ」

そんな結衣さんを見届け、面々を見渡してから一つの指示を出す。この修学旅行が平穏に終わるように、大事が起こらないように、と祈りつつ。


―Prease to the next time!
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