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彼女との食事【side ジーク】
お肉を3切ほど食べて満腹だと満足げにしていた彼女、郁美は、デザートが入りそうにないと残念がっていたのだが、美琴がジェラートの盛り合わせを持ってきて、それをスプーンで少しだけ口に運んでいた。その手はそのたった1口で回復したかのように勢いが止まらず、先ほどまで、ほうっと息を吐いていたとは思えないほどに1人前を完食した。
いくら、お腹に貯まりにくい液体でも、3種類も食べたらお腹いっぱいになるだろうに、彼女は最後まで食べきった。そんな彼女を見てこのお店を選択して良かったと思った。
このお店はパートナーである美琴のために、誠が用意したお店であり、いうなれば趣味であり、損益など元から考えていないお店だった。ただ、来た客人をもてなすために、都内にあるホテルのレストランで腕を磨いた美琴が存分に腕を振るえるようにと揃えたのだ。この籠を用意した誠の美琴に対する執着ぶりはいかほどか、と彼らが結婚した1年前は呆れたものだった。
そんな彼らのお店を訪れるのは2回目だった。1回目は開店して初めての客として行った。
『奥さんとのお店が完成したから来てほしいんだけど。』
と唐突に誠が言ってきた。その時は日本に行く用事がなかったし、いろんなことがプライベートでも仕事でも重なって忙しさに目を回しそうになっていた。それを隣で聞いていたリオウが、
『行きましょう。』
と即答した。だから、リオウと2人でその店を訪れた。この静かな、人の騒がしさという俗世から切り離されたような空間にホッと息を吐けた。そして、内装を見て、さすが、と誠の仕事ぶりに感心した。
『料理、どうだった?』
誠は食べ終わり食後に軽くワインを飲んでいる僕らに声をかけた。ニコリと、こちらの答えなど見通している、といった顔をしていたが、その一歩引いた美琴はどこか緊張した面持ちだった。
『優しい味わいだった。この店の雰囲気と合っていたと思う。』
『私もそう思いました。家庭料理ではなく高級感もなく少し贅沢の落ち着ける感じでした。騒がしさに疲れた体に沁みました。』
『やっぱりね。』
彼はとても嬉しそうに笑った。そして、後ろにいた美琴の肩に腕を回して笑顔を向けた。
『大丈夫だったでしょ?』
『ええ、そうですね。クラウド様、ヒイラギ様、ありがとうございます。』
彼女は嬉しそうに涙をためた目を向けた。客人1号だったから緊張もしていたんだろう。
郁美との最初の食事を思い浮かべた時、そんなことが思い浮かんだ。あの静かな場所であの料理を食べたら、彼女の警戒心も少しは解かれるのではないか、と期待した。彼女の大切らしい漫画を返す条件と提示して約束を取り付けた。あの時、了承してくれなくてもこのお店には彼女を待ち伏せしても連れてくる予定だった。
郁美の漫画を拾った夜、誠に電話して、
『今日の夜、貸切にして。じゃあ。』
とだけ言って切った。切る間際、何か騒いでいたけれど無視してしまった。
こんな無茶ぶりも誠は対応できる人だって知っているから問題ないだろう。
あの店で食事をしたら、彼女はどんな表情を見せてくれるのだろうか。
無意識にスマホの画面を見ながら二やついてしまったようで、車移動中、隣に座っていたリオウに
『気持ち悪いですよ。』
なんて言われたが無視した。
結果は僕の期待以上に郁美の警戒心は緩んだ。彼女の身の上話まで聞いて最初に思ったのは親への怒りと感謝だった。本当の子じゃないからって、こんなまだ子供と言ってもいいような女性をこんな風に路上に投げ捨てる彼らを軽蔑する一方で、彼らがいないおかげで彼女を自分の領域に誘いこむことができることに感謝した。
思った通り、よほど切羽詰まっていたらしい彼女は僕のところに来ることを了承してくれた。誠と美琴も彼女を誘っていたが、人付き合いという接客が好きではない彼女にとって僕の提案の方が勝ったようだ。
しかし、それよりも彼女が自分のことを過小評価していることの方が気になった。それは美琴も誠も同じようで怪訝な顔をして2人で真剣な会話をしていた。彼らは僕の6歳上、郁美の10歳上だから妹のように見えるのかもしれない。この短時間で、きれいに食事をする郁美の姿に2人とも好感を抱いたようだった。
郁美の方はそれに全く気付いていないし、逆に彼女は美琴を見て憧れのような熱を帯びた視線を送っているようだった。それには少しだけ焦ったものの、これから会う機会を減らせばいいだけだ。
彼女がお手洗いに立ったので、僕はお会計をした。
「ジーク、彼女のことをどうするつもり?」
美琴がカードを持って処理をしにレジの方に向かったので、2人だけになったのを見計らったように誠が尋ねた。
「できるなら、そのまま僕の所にずっといてほしい。初対面の時に、『気に入ったから傍にいて。』とまで言っているからね。そのまま籠の中に入れるよ。実家に連れて行っても良いんだけど、両親や祖父母がかわいがりすぎて僕の出番が無くなりそうだし。」
実家に連れて行ったら強きなところもあるが、基本的に穏やかでおとなしい彼女がどうなるかなど、容易に予想がつき、それを想像するだけで笑ってしまう。
それには、誠がドン引いていた。失礼だな。
お前の美琴への執着も相当なものだし、実際籠を用意したやつにそんな風に見られる覚えないんだけど。
「まあ、俺も人のこと言えないけど。あの子、自分のことは無頓着みたいだから気を配ってあげなよ。自分の容姿も周囲からの感情も。何もかも人から向けられるものに対して全く反応できていないみたいだから。あれだけの美人なんだから、周囲からどんな目線で見られていたか、想像できる。」
「そうだね。それは僕も驚いた。郁美と会ったのは全部路地裏で人が全く通らないような場所だったんだけど、彼女が街を歩いて注目はされていたはずなんだ。・・・まあ、周囲からのそういったものに対して気付かないならその方が僕は都合がいいんだよね。これからは傍に僕が常にいるから。でも、プロのカメラマンが彼女を見てバランスが悪いみたいなことを言ったのが解せない。」
「げっ、本当に傍にいさせるんだ。でも、モデルの件は俺も不思議に思った。もしかしたら、そのカメラマンには撮ることができなかっただけじゃないか、とも思った。初対面の時も思ったし、さっき食べている姿や歩いている姿も見たけど姿勢がいいし、きれいな所作で良い所のお嬢様かと思ったよ。でも、聞けば普通の家庭だというし、ちぐはぐなんだけど、あれほどきれいだと並みのカメラマンだと撮れないかもしれない。」
「そうだね。まあ、それは後で調べてみるよ。彼女の親やその実施だという子のことと、その時のカメラマンのこととかもね。」
「本気なんだ?」
「当たり前。たとえ、孤児でも誰にも反対されないだろうし、反対させないよ。」
「まあ、ジークの家族なら確かに。」
彼は苦笑した。
兄弟の3男に生まれた誠は末っ子らしくやりたい放題の性格ではあるが、結婚してから落ち着いた気がする。
「何かやる気だったら連絡してよ。あ、今日みたいに唐突に貸切ってのは勘弁してほしいけど。
彼女のことで他のことはウエルカムだから。」
と思っていたのだが、彼が郁美が戻ってくる前にそんな1言を足したので、それが勘違いだと気づいた。
表面に出さないだけで、裏では変わらずやりたい放題しているのだろう。
僕はなぜか、ため息が出た。
「お待たせしました。」
「いいよ。」
ここに来るまでの警戒心が嘘のように笑みを向けてくる彼女。
それにつられて僕も笑顔になってしまう。
早く、僕の隣から離れられないようになればいいのに。
誠と美琴に笑顔でお礼を言う彼女を横目にそう思ってしまう自分は将来的に誠のようになってしまうのだろうか。
何はともあれ、彼女とのディナーはこうして最高の形で終えることができたのである。
いくら、お腹に貯まりにくい液体でも、3種類も食べたらお腹いっぱいになるだろうに、彼女は最後まで食べきった。そんな彼女を見てこのお店を選択して良かったと思った。
このお店はパートナーである美琴のために、誠が用意したお店であり、いうなれば趣味であり、損益など元から考えていないお店だった。ただ、来た客人をもてなすために、都内にあるホテルのレストランで腕を磨いた美琴が存分に腕を振るえるようにと揃えたのだ。この籠を用意した誠の美琴に対する執着ぶりはいかほどか、と彼らが結婚した1年前は呆れたものだった。
そんな彼らのお店を訪れるのは2回目だった。1回目は開店して初めての客として行った。
『奥さんとのお店が完成したから来てほしいんだけど。』
と唐突に誠が言ってきた。その時は日本に行く用事がなかったし、いろんなことがプライベートでも仕事でも重なって忙しさに目を回しそうになっていた。それを隣で聞いていたリオウが、
『行きましょう。』
と即答した。だから、リオウと2人でその店を訪れた。この静かな、人の騒がしさという俗世から切り離されたような空間にホッと息を吐けた。そして、内装を見て、さすが、と誠の仕事ぶりに感心した。
『料理、どうだった?』
誠は食べ終わり食後に軽くワインを飲んでいる僕らに声をかけた。ニコリと、こちらの答えなど見通している、といった顔をしていたが、その一歩引いた美琴はどこか緊張した面持ちだった。
『優しい味わいだった。この店の雰囲気と合っていたと思う。』
『私もそう思いました。家庭料理ではなく高級感もなく少し贅沢の落ち着ける感じでした。騒がしさに疲れた体に沁みました。』
『やっぱりね。』
彼はとても嬉しそうに笑った。そして、後ろにいた美琴の肩に腕を回して笑顔を向けた。
『大丈夫だったでしょ?』
『ええ、そうですね。クラウド様、ヒイラギ様、ありがとうございます。』
彼女は嬉しそうに涙をためた目を向けた。客人1号だったから緊張もしていたんだろう。
郁美との最初の食事を思い浮かべた時、そんなことが思い浮かんだ。あの静かな場所であの料理を食べたら、彼女の警戒心も少しは解かれるのではないか、と期待した。彼女の大切らしい漫画を返す条件と提示して約束を取り付けた。あの時、了承してくれなくてもこのお店には彼女を待ち伏せしても連れてくる予定だった。
郁美の漫画を拾った夜、誠に電話して、
『今日の夜、貸切にして。じゃあ。』
とだけ言って切った。切る間際、何か騒いでいたけれど無視してしまった。
こんな無茶ぶりも誠は対応できる人だって知っているから問題ないだろう。
あの店で食事をしたら、彼女はどんな表情を見せてくれるのだろうか。
無意識にスマホの画面を見ながら二やついてしまったようで、車移動中、隣に座っていたリオウに
『気持ち悪いですよ。』
なんて言われたが無視した。
結果は僕の期待以上に郁美の警戒心は緩んだ。彼女の身の上話まで聞いて最初に思ったのは親への怒りと感謝だった。本当の子じゃないからって、こんなまだ子供と言ってもいいような女性をこんな風に路上に投げ捨てる彼らを軽蔑する一方で、彼らがいないおかげで彼女を自分の領域に誘いこむことができることに感謝した。
思った通り、よほど切羽詰まっていたらしい彼女は僕のところに来ることを了承してくれた。誠と美琴も彼女を誘っていたが、人付き合いという接客が好きではない彼女にとって僕の提案の方が勝ったようだ。
しかし、それよりも彼女が自分のことを過小評価していることの方が気になった。それは美琴も誠も同じようで怪訝な顔をして2人で真剣な会話をしていた。彼らは僕の6歳上、郁美の10歳上だから妹のように見えるのかもしれない。この短時間で、きれいに食事をする郁美の姿に2人とも好感を抱いたようだった。
郁美の方はそれに全く気付いていないし、逆に彼女は美琴を見て憧れのような熱を帯びた視線を送っているようだった。それには少しだけ焦ったものの、これから会う機会を減らせばいいだけだ。
彼女がお手洗いに立ったので、僕はお会計をした。
「ジーク、彼女のことをどうするつもり?」
美琴がカードを持って処理をしにレジの方に向かったので、2人だけになったのを見計らったように誠が尋ねた。
「できるなら、そのまま僕の所にずっといてほしい。初対面の時に、『気に入ったから傍にいて。』とまで言っているからね。そのまま籠の中に入れるよ。実家に連れて行っても良いんだけど、両親や祖父母がかわいがりすぎて僕の出番が無くなりそうだし。」
実家に連れて行ったら強きなところもあるが、基本的に穏やかでおとなしい彼女がどうなるかなど、容易に予想がつき、それを想像するだけで笑ってしまう。
それには、誠がドン引いていた。失礼だな。
お前の美琴への執着も相当なものだし、実際籠を用意したやつにそんな風に見られる覚えないんだけど。
「まあ、俺も人のこと言えないけど。あの子、自分のことは無頓着みたいだから気を配ってあげなよ。自分の容姿も周囲からの感情も。何もかも人から向けられるものに対して全く反応できていないみたいだから。あれだけの美人なんだから、周囲からどんな目線で見られていたか、想像できる。」
「そうだね。それは僕も驚いた。郁美と会ったのは全部路地裏で人が全く通らないような場所だったんだけど、彼女が街を歩いて注目はされていたはずなんだ。・・・まあ、周囲からのそういったものに対して気付かないならその方が僕は都合がいいんだよね。これからは傍に僕が常にいるから。でも、プロのカメラマンが彼女を見てバランスが悪いみたいなことを言ったのが解せない。」
「げっ、本当に傍にいさせるんだ。でも、モデルの件は俺も不思議に思った。もしかしたら、そのカメラマンには撮ることができなかっただけじゃないか、とも思った。初対面の時も思ったし、さっき食べている姿や歩いている姿も見たけど姿勢がいいし、きれいな所作で良い所のお嬢様かと思ったよ。でも、聞けば普通の家庭だというし、ちぐはぐなんだけど、あれほどきれいだと並みのカメラマンだと撮れないかもしれない。」
「そうだね。まあ、それは後で調べてみるよ。彼女の親やその実施だという子のことと、その時のカメラマンのこととかもね。」
「本気なんだ?」
「当たり前。たとえ、孤児でも誰にも反対されないだろうし、反対させないよ。」
「まあ、ジークの家族なら確かに。」
彼は苦笑した。
兄弟の3男に生まれた誠は末っ子らしくやりたい放題の性格ではあるが、結婚してから落ち着いた気がする。
「何かやる気だったら連絡してよ。あ、今日みたいに唐突に貸切ってのは勘弁してほしいけど。
彼女のことで他のことはウエルカムだから。」
と思っていたのだが、彼が郁美が戻ってくる前にそんな1言を足したので、それが勘違いだと気づいた。
表面に出さないだけで、裏では変わらずやりたい放題しているのだろう。
僕はなぜか、ため息が出た。
「お待たせしました。」
「いいよ。」
ここに来るまでの警戒心が嘘のように笑みを向けてくる彼女。
それにつられて僕も笑顔になってしまう。
早く、僕の隣から離れられないようになればいいのに。
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