34 / 37
不器用
しおりを挟む
サクサクとクッキーを齧りながら彼の後ろについて歩く。
光るケセランパサランみたいな魔法具のおかげと、髪を結い上げてもらったのもあって歩きやすい。
髪は私が想像している一つ結びとかじゃなくて、丁寧に編み込んでクルッとまとめてある。
手先器用……にしてもなぜやり方知っているとか色々と気にはなったけど、とにかくすごいしありがたいとちょっとはしゃいだ。
そのあと、彼が甘い物は好きだと言ってくれたのもあって二人で仲良くサクサクしながら歩いている。
最初は歩きながら物を食べるということに抵抗があったようだけど、私以外に他に人いないしというと食べ始めた。
たぶんあれ、甘いもの好きだけど隠しているとかそういうのだと思う。
じゃなきゃこんなにあっさり食べないだろう。
………彼には悪いが餌付けイベントも定番だなと感じてしまう。
今のところ一番彼が乙女ゲームの攻略対象の定番が多いんだけど、これ悪役令嬢ものも定番だったっけ。
いや………まずこれ悪役令嬢ものの乙女ゲームってややこしいやつだった。
まだここが私がヒロインかシャーロットさんがヒロインか確定はしてないけど、シャーロットさんの反応とかみると彼女がヒロイン、つまり乙女ゲーム風の悪役令嬢ものの乙女ゲームの世界っぽいんだよね。
「フィリアさんは弟さんと仲が良いんですか?」
「え?あ、うん!」
そういえばクッキーあげるときに弟の手作りって言ったんだった。
一瞬なんでこの人私に弟がいるの分かったの?!ってびっくりしたよ。
「まあ姉らしいことなんてしてあげれたことないんだけどね。
基本的に弟に、リルに頼ってばっかりだったかな。」
「そうなんですか?」
「うん、うちの家族みんな不器用なところがあるんだけど、私が一番酷くて。」
どの話が一番分かりやすいだろうかと考えて、手に持ったクッキーに気がつく。
「リルは形は歪だけどこういう美味しいクッキー作れる。
でも私が作ると、火力を間違えるからなのか、炎が上がって天井が焦げたの。」
「…………それは……すごいですね。」
たぶんクッキーを焦がしたくらいは想像していたのかもしれない。
私もあの時は自分でもちょっとこれはないって思ったけど事実だ。
「三回目に天井を焦がしたあと、料理禁止令が出されちゃって……。」
「三回……。」
「そう、三回。」
三度目の正直を信じて挑戦してみたが上手くはいかなかった。
ちゃんと言われた通りにしているのに、不器用というかこれはもう呪いだろってくらい失敗した。
「あ、メデルさんは兄弟とかいないんですか?」
「…………兄が一人。」
おっとちょっとこれは聞いちゃいけないこと聞いちゃった気がする!
光るケセランパサランみたいな魔法具のおかげと、髪を結い上げてもらったのもあって歩きやすい。
髪は私が想像している一つ結びとかじゃなくて、丁寧に編み込んでクルッとまとめてある。
手先器用……にしてもなぜやり方知っているとか色々と気にはなったけど、とにかくすごいしありがたいとちょっとはしゃいだ。
そのあと、彼が甘い物は好きだと言ってくれたのもあって二人で仲良くサクサクしながら歩いている。
最初は歩きながら物を食べるということに抵抗があったようだけど、私以外に他に人いないしというと食べ始めた。
たぶんあれ、甘いもの好きだけど隠しているとかそういうのだと思う。
じゃなきゃこんなにあっさり食べないだろう。
………彼には悪いが餌付けイベントも定番だなと感じてしまう。
今のところ一番彼が乙女ゲームの攻略対象の定番が多いんだけど、これ悪役令嬢ものも定番だったっけ。
いや………まずこれ悪役令嬢ものの乙女ゲームってややこしいやつだった。
まだここが私がヒロインかシャーロットさんがヒロインか確定はしてないけど、シャーロットさんの反応とかみると彼女がヒロイン、つまり乙女ゲーム風の悪役令嬢ものの乙女ゲームの世界っぽいんだよね。
「フィリアさんは弟さんと仲が良いんですか?」
「え?あ、うん!」
そういえばクッキーあげるときに弟の手作りって言ったんだった。
一瞬なんでこの人私に弟がいるの分かったの?!ってびっくりしたよ。
「まあ姉らしいことなんてしてあげれたことないんだけどね。
基本的に弟に、リルに頼ってばっかりだったかな。」
「そうなんですか?」
「うん、うちの家族みんな不器用なところがあるんだけど、私が一番酷くて。」
どの話が一番分かりやすいだろうかと考えて、手に持ったクッキーに気がつく。
「リルは形は歪だけどこういう美味しいクッキー作れる。
でも私が作ると、火力を間違えるからなのか、炎が上がって天井が焦げたの。」
「…………それは……すごいですね。」
たぶんクッキーを焦がしたくらいは想像していたのかもしれない。
私もあの時は自分でもちょっとこれはないって思ったけど事実だ。
「三回目に天井を焦がしたあと、料理禁止令が出されちゃって……。」
「三回……。」
「そう、三回。」
三度目の正直を信じて挑戦してみたが上手くはいかなかった。
ちゃんと言われた通りにしているのに、不器用というかこれはもう呪いだろってくらい失敗した。
「あ、メデルさんは兄弟とかいないんですか?」
「…………兄が一人。」
おっとちょっとこれは聞いちゃいけないこと聞いちゃった気がする!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
100
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる