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第3章 初恋は圭

No,32「初恋の話」につづく話

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【これは現在のお話】

 こんにちは、現在の理久りくです。

 今回は、なぜ僕が「私小説」なんてものを書き始めたのか?と言うお話をします。
 それは、あるひとつの投稿文から始まりました。

 僕は以前、ネット上の或るサイトに夢中になっていた事があります。そのサイトでは住人同士が仲良く、多種多様な話題が語られていました。

 僕は時々頭がおかしくなるんです。いくら話の流れとは言え、突然自分の「初恋」を語ってしまいました。

 やらかした!──と思ったら、案外これが好評でした。

 実はこのサイトには文字数制限がありました。
「500字以内」と言う制約です。

 初恋の想い出なんて、語り始めればいくらでもだらだらと続きます。特に僕は話が長いのが欠点だと自覚してます。
 現に、初恋の話を投稿しようと思い付いてからサラサラっと下書きをしてみたら、とても500字では収まりません。

 そこから文章のダイエットが始まりました。
 無駄を削いで、適切な単語に置き換えて、少しずつ文字数を減らして何とか500字で収まった時、自分で言うのも何ですが、まるで「一片の叙情詩」のような仕上がりになってしまいました。
 いえ、それはご覧になった皆さんからのお褒めのお言葉から気付かされたのです。
 自分では(はぁ?)と言う感じでしたが……


 勉強になりました。
 やはりだらだらと書けばいいってもんじゃないですね。
 俳句やら短歌ほどに簡潔とはいかないまでも、やはり文章は潔く短い方がむしろ伝わるのかも知れません。

──と言いながら、またぞろ僕はだらだらと書き散らかしている。お恥ずかし……


 と言うわけで、この「初恋投稿」から端を発して、僕の私小説が立ち上がりました。
 次回からその初恋のお話を始めます。

 で、今回は締め括りに、その記念すべき「500字の投稿文」を披露します。
 後にも先にも、僕にとってはこの短い投稿文が一番の秀作なのかも知れません。


↓以下「500字の投稿文」



 この想い、巡り巡って初恋に行き着いた……

 中学3年の新クラス。
 サッカー部のK君がやたらと絡んでくるんです。
 K君は僕を前から知っていたって。同じクラスになれて嬉しいなんて、 平気な顔で言うんです。

 K君の練習を眺めながら終わるの待って、一緒に帰るようになりました。 
 二人で歩くのが楽しくて、なかなか家に帰れない。

 そんな事が続いた秋の放課後。
 引退したK君が窓辺で後輩の練習を眺めるのを、僕は隣で付き合っていた。

 僕は「まだ見てる?」って、聞いた。
「もう帰りたい?」って逆に聞かれて、 同時にK君の顔が僕の首筋にまで近づいた。
 あの時の目眩のようなときめき、 今でも忘れない。

 そしてK君が耳元でひとこと
「理久……色、白いな……」って

(な、なに言うんだよ?!)

 自分の頬がみるみる赤くなっていくのが分かった。後にも先にも大接近はその時だけ。
──やがて別々の高校へ。

 あまりにも幼く、あまりにも純で、何をどうしたらいいのか分からなかった。

 会えなくなってから辛さが染みて、 僕はK君が好きだったんだって、 ようやく分かった。

 K君は何度もアピールしてくれたのに、はぐらかしたのはいつも僕。

 いま思うと、本当に歯がゆい……


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