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第18章 帰郷と運命の結末
No,243 同じ生き方をすると言うこと
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【これは35歳の時のお話】
「ナッキー……そんなに俺の事を……」
「だからオレは、愛する人の幸せを祈るのが本当の愛だなんて戯言を信じて、ずーっとおまえを騎士気取りで見守って来たけど、おまえ、全然幸せにならないし……」
「え?俺、姫として騎士に見守られてたの?」
(何だか胸がドキドキしてきた)
「理久、大体おまえ、自分が周りを誘惑してきたような事を言うけど、ほとんどが言い寄られて簡単によろめいていただけじゃないか。それがいかにもあぶなげで、正に世間知らずの姫だった」
「ナ、ナッキーそれは……」
「浩一にだって力ずくで押し倒されたし、隼人にだって追っ掛けられて簡単に落ちた。藤吉になんていいように遊ばれてたし、レオンにだって、会ったその日にお持ち帰りされただけだろ?」
「ナ、ナッキー、やっぱり怒ってるの?」
「ここに至ってポッと出の亮さんなんかによろめかれたんじゃ、
どうなる!オレの15年!!」
「え、それってつまり?」
「もう、おまえの幸せなんて祈ってられない!」
「ナ、ナッキー?」
「いいから黙ってオレの言う通りにしてろ!オレがおまえを幸せにしてやる!」
「ええ~っ?!」
「……おまえの幸せを祈ってただ見守っていても、結局いい事なんて何も無いんだ!おまえの気持ちを尊重するなんて無駄な事はもうやめた!これからは俺の好きにする!」
「え?あ、あの……」
「オレはおまえの夫になる!」
「あ、あの~、ちょ~っと待って下さいね?夫って………それってつまり……」
「オレがおまえを娶る!」
「ええ~っ!お、俺、ナッキーに娶られちゃうの?!」
「そうだ!理久はオレに娶られるんだ。それがオレ達の幸せの形だって、今回ようやく行き着いた」
「そうだったのか、俺達ってそう言うシステムだったんだね」
俺は驚愕に目を丸くした。
「そうなんだ、俺達はそう言うシステムだったんだ!」
ナッキーがダメ押しのように言い切った。そして端正な横顔でため息を吐く。
「そう言うシステムだって気付くのに15年も掛かった。もう、年下らしくしようとか可愛がられようとか、無駄な努力は一切やめた。
これからは言いたい事を言って、やりたいようにする」
「ナッキー……なんだか素敵なんだけど……」
俺の胸は完全にキュン化していた。
「理久、だからもうおまえに浮気はさせない」
「え?もう俺……浮気しなくてもいいの?」
──それは俺にとって、これ以上ないプロポーズだった。
浮気の必要がない。
=つまりそれは、安定した深い愛に包まれていて、何の不安も心配も無い状態だと言うこと。
それは、婚姻制度に保証された男女の夫婦には理解しにくい発想かも知れない──そしてその俺の歪んだ思考を理解しているのは、この世界でナッキーだけだったのは確かだった。
「隼人と付き合っている間、理久はずっと不安だっただろ?
不安定な愛に怯えている時、理久はそれを解消してくれる相手を探してしまう。でも、オレはそんな思いを絶対にさせない。
もう、何も心配しなくていいんだ。黙ってオレに抱かれてろ」
ナッキーが俺を抱き寄せた。
力が強い。とても強い──。
(ナッキー本当に?本当に信じてもいいの?)
「理久、オレはおまえと同じ生き方をする。だからおまえもオレと同じ生き方をして欲しい」
「ナッキーは誰とも結婚しない?俺を一人にしない?」
「だから言ったろ。同じ生き方をするって事は、結婚するのと同じこと。オレ達はずっと一緒さ」
「ナッキー………嬉しい………」
俺の瞳が一気に潤んだ。
──ナッキーの美しい面差しに、フッと不敵な笑みが浮かぶ。
「オレにここまで言わせておいて、ただで済むとは思ってないよな?」
「うん……え?、いや……はい。
…………キスして?
………………ナッキー♡」
ソファーにゆっくり押し倒されて、ナッキーの熱い唇を受けた。
まるでメーテルリンクの童話のよう──世界中を探し回って戻って見れば、幸せの青い鳥は初めから自分の家にいたんだね。
歴野理久、春川夏生に完膚無きまで娶られました。
ここから先は秘密の花園──。
「ナッキー……そんなに俺の事を……」
「だからオレは、愛する人の幸せを祈るのが本当の愛だなんて戯言を信じて、ずーっとおまえを騎士気取りで見守って来たけど、おまえ、全然幸せにならないし……」
「え?俺、姫として騎士に見守られてたの?」
(何だか胸がドキドキしてきた)
「理久、大体おまえ、自分が周りを誘惑してきたような事を言うけど、ほとんどが言い寄られて簡単によろめいていただけじゃないか。それがいかにもあぶなげで、正に世間知らずの姫だった」
「ナ、ナッキーそれは……」
「浩一にだって力ずくで押し倒されたし、隼人にだって追っ掛けられて簡単に落ちた。藤吉になんていいように遊ばれてたし、レオンにだって、会ったその日にお持ち帰りされただけだろ?」
「ナ、ナッキー、やっぱり怒ってるの?」
「ここに至ってポッと出の亮さんなんかによろめかれたんじゃ、
どうなる!オレの15年!!」
「え、それってつまり?」
「もう、おまえの幸せなんて祈ってられない!」
「ナ、ナッキー?」
「いいから黙ってオレの言う通りにしてろ!オレがおまえを幸せにしてやる!」
「ええ~っ?!」
「……おまえの幸せを祈ってただ見守っていても、結局いい事なんて何も無いんだ!おまえの気持ちを尊重するなんて無駄な事はもうやめた!これからは俺の好きにする!」
「え?あ、あの……」
「オレはおまえの夫になる!」
「あ、あの~、ちょ~っと待って下さいね?夫って………それってつまり……」
「オレがおまえを娶る!」
「ええ~っ!お、俺、ナッキーに娶られちゃうの?!」
「そうだ!理久はオレに娶られるんだ。それがオレ達の幸せの形だって、今回ようやく行き着いた」
「そうだったのか、俺達ってそう言うシステムだったんだね」
俺は驚愕に目を丸くした。
「そうなんだ、俺達はそう言うシステムだったんだ!」
ナッキーがダメ押しのように言い切った。そして端正な横顔でため息を吐く。
「そう言うシステムだって気付くのに15年も掛かった。もう、年下らしくしようとか可愛がられようとか、無駄な努力は一切やめた。
これからは言いたい事を言って、やりたいようにする」
「ナッキー……なんだか素敵なんだけど……」
俺の胸は完全にキュン化していた。
「理久、だからもうおまえに浮気はさせない」
「え?もう俺……浮気しなくてもいいの?」
──それは俺にとって、これ以上ないプロポーズだった。
浮気の必要がない。
=つまりそれは、安定した深い愛に包まれていて、何の不安も心配も無い状態だと言うこと。
それは、婚姻制度に保証された男女の夫婦には理解しにくい発想かも知れない──そしてその俺の歪んだ思考を理解しているのは、この世界でナッキーだけだったのは確かだった。
「隼人と付き合っている間、理久はずっと不安だっただろ?
不安定な愛に怯えている時、理久はそれを解消してくれる相手を探してしまう。でも、オレはそんな思いを絶対にさせない。
もう、何も心配しなくていいんだ。黙ってオレに抱かれてろ」
ナッキーが俺を抱き寄せた。
力が強い。とても強い──。
(ナッキー本当に?本当に信じてもいいの?)
「理久、オレはおまえと同じ生き方をする。だからおまえもオレと同じ生き方をして欲しい」
「ナッキーは誰とも結婚しない?俺を一人にしない?」
「だから言ったろ。同じ生き方をするって事は、結婚するのと同じこと。オレ達はずっと一緒さ」
「ナッキー………嬉しい………」
俺の瞳が一気に潤んだ。
──ナッキーの美しい面差しに、フッと不敵な笑みが浮かぶ。
「オレにここまで言わせておいて、ただで済むとは思ってないよな?」
「うん……え?、いや……はい。
…………キスして?
………………ナッキー♡」
ソファーにゆっくり押し倒されて、ナッキーの熱い唇を受けた。
まるでメーテルリンクの童話のよう──世界中を探し回って戻って見れば、幸せの青い鳥は初めから自分の家にいたんだね。
歴野理久、春川夏生に完膚無きまで娶られました。
ここから先は秘密の花園──。
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