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第2章 インターハイ〜
第144話 手が打てない
しおりを挟むブーッ!!
第2Qが開始される。
洛阪
G #4 塚森 隼人 3年 182㎝
G #11 笹本 渉 2年 181㎝
F #5 高松 晃良 3年 192㎝
F #6 田村 大和 3年 195㎝
C #8 大谷 宗輔 3年 202㎝
星垓
G #11 中山 慎太郎 1年 169㎝
G #4 新城 敦史 3年 184㎝
F #10 北条 涼真 1年 187㎝
F #8 神崎 健太 2年 190㎝
C #7 髙木 悠介 3年 198㎝
第2Q 残り10:00
洛阪 28
星垓 23
星垓のスローインから第2Qがスタートする。
洛阪、相変わらずオーソドックスにマンツーマン。
ビッ!
キュキュッ!
ビッ!
キュキュッ!
パスが回る度に洛阪のディフェンスは即座に動く。
慎太郎(さーてどうすっかな…隙ができねえぞ、っと)
洛阪はディフェンスのギアを上げてきた。
やむなく24秒ギリギリで髙木がインサイドで無理やりシュートを放つ。
ガン!!
髙木「ちっ」(無理に打ちすぎた…)
リバウンドは田村。
田村「塚森!」
田村、塚森にパス。
塚森、走りながらこれを受ける。
新城「戻れ!」
ビッ!!
だが、その言葉より早くボールは前線へ。
右45°に近い位置で走りながらボールを受けたのは高松。
ビッ!
涼真が必死で戻るも高松、ボールを更に前へ。
逆サイドを笹本が上がってきていた。
涼真も含めてディフェンスは間に合わない。
ドガァッツ!!!
笹本、ワンハンドダンク。
「なにいいいいいい!?」
「180そこそこがダンクだと!?」
「何でもアリかよ王者・洛阪!」
第2Q 残り9:29
洛阪 30
星垓 23
新城「くっ…」
洛阪メンバーは既に自陣でディフェンスを構えようとしている。
慎太郎「…憎らしい程に隙がないな」
涼真「しんどい相手だ。これを倒さねえと日本一はないのか…」
星垓のオフェンス。
涼真「くれ!」
涼真、得意の右コーナーでボールを要求するも田村が隙を作らずボールを入れられない。
慎太郎「く…こういう時エースで取り返したいのに…」
涼真「しつこいな…」
田村「大体わかるよ、こういう時どうしたいかは」
(でもやらせねえ)
バシッ!!
慎太郎「!!!!」
笹本が慎太郎の保持するボールを叩く。
が、ボールはラインを割りアウトオブバウンズ。
審判「青ボール!」
笹本「余所見してる余裕があるのか?中山?」
慎太郎「ぐ…」
スローインからオフェンスを仕切り直すも、どれだけ速くパス回しをしても洛阪のディフェンスに隙が生まれない。
ブーッ!!!
審判「24秒!オーバータイム!」
攻めきれないままにオフェンスが終わってしまう。
第2Q 残り9:05
洛阪 30
星垓 23
慎太郎「ちっ…」
新城「切り替えろ、ディフェンスだ!」
涼真「来るぞ!」
洛阪、スローインから2秒でボールをフロントコートに入れてきた。
塚森「ハーフコートバスケットでも走る!それが洛阪だ!」
全員がボールを持っていようとなかろうと動き、スクリーンを掛け合い、ゴールを狙う。
バシッ!!
高松が笹本のパスを受け、ゴールへと走り込む。
涼真「打たせるか!」
だが。
ふわっ…
高松が涼真の手の届かない場所から浮かせたボールが涼真のブロックを超えていく。
涼真「!?」
(高速で走り込みながら…このボールコントロールができるのか…!?)
ボールは…
パサッ…!
第2Q 残り8:54
洛阪 32
星垓 23
高松、高難度のフィンガーロールを難なく沈める。
慎太郎「くそ…」
慎太郎、リスタートのスローイン。
バシッ!!
慎太郎「!?」
新城「!!」
このボールが弾かれた。
塚森に。
塚森「ダメだよそれじゃ」
塚森、左ショートコーナー付近で弾いたボールを拾う。
近くにいた新城がすぐさまディフェンス。
ビッ!
塚森、走り込んできた田村にパス。
ゴール下には、パスを出した慎太郎しかいない。
慎太郎169㎝に対し、田村は195㎝。
慎太郎、手を精一杯伸ばすも跳ばず。
美保「もう!なんで慎太郎君跳ばないの!?」
満月「いや…あれは体格差ありすぎて無理だってば」
田村「よし!」
(もらった!)
ドゴォッ!!!
田村「!?」
田村のレイアップは、リングを超えてボードに当たる寸前で逆方向に飛ばされる。
涼真「何度も慎太郎のとこ狙わせるかよ」
(高さで狙ってくるのなんて第1Qのオフェンスでバレてんぞ)
田村「高っか…!!」
「おおおおおおお!?」
「なんか星垓にもすげえのがいんぞ?」
「知らないのか?あれが昨年の全中MVPの北条だよ!」
バシッ!
だが、このボールを取ったのは洛阪・笹本。
ビッ!
笹本、フリースローライン付近からのミドルシュート。
スパッ!!
第2Q 残り8:48
洛阪 34
星垓 23
涼真のブロックで危機を脱したかに見えたが、結局の失点。
慎太郎「くそぉっ!」
新城「涼真、リスタートだ。俺が運ぶ」
自分のミスで失点した慎太郎を落ち着かせるために新城がボールを受ける。
新城「慎太郎、一瞬も気を抜くな。このレベルの相手に気を抜いたらその瞬間にやられるぞ」
慎太郎「は…はい!」
ダム!!
新城、トップから髙木とのピックアンドロール。
スクリーンでマークマンの塚森を振り切る。
塚森「チッ…」
(ピックが上手い…わかっててもスクリーンに引っ掛けられちまう)
大谷、インサイドから出てこない。
いわゆる「アイス」と呼ばれるディフェンス。
※アイス
スクリーンとかでマークがスイッチした時に、ドライブを最警戒して外から打たせるために離してマークすること。中を固められるので外が苦手な相手には特に有効なディフェンス。
涼真(新城さんは別に外が苦手な訳じゃないのに…?)
ビッ!
新城、ミドルシュート。
スパッ!!
やや難しい距離のシュートだったが落ち着いて沈める。
第2Q 残り8:33
洛阪 34
星垓 25
高松「ドンマイ。切り替えて1本だ」
塚森「行くぞ!」
洛阪、決められてもいつも通り。
山下「洛阪は決められても落ち着いてますね」
村上「この程度は想定内と言わんばかりの落ち着き方だな」
新城「ディフェンス!」
キュキュッ!
1桁の点差になり、星垓のディフェンスも足がよく動く。
ガン!!
大谷「げっ」
髙木「助かった…」
(ノーマーク作られちまってたが…外れてくれた…)
結局、このオフェンスでは大谷がハイポストからシュートを放つもリングに嫌われる。
洛阪のパス&ランのオフェンスに少しずつだが対応してきていた。
かに見えた。
ドゴッ!!
慎太郎「な!」
大谷「同じ手を続けて2度は舐めすぎだ」
先程のようにインサイドに切れ込んだ慎太郎のレイアップが、今度はブロックされた。
インサイドにヘルプにきた田村に身体を寄せてシュートを打ったが、死角から大谷のブロックを浴びた。
こぼれ球は田村が拾い、すかさず前線に投げた。
新城「やばい!戻…」
ドガァァアアアア!!!!
いち早く走っていた高松の、電光石火の速攻でのダンク。
涼真は、塚森に行く手を阻まれていた。
涼真とて、高松の速攻を警戒はしていた。
だが、ディフェンスに戻る涼真の前に塚森がスクリーンをかけに現れた。
涼真「やられた…」
(こんなところでのスクリーンなんて予想してなかった…)
第2Q 残り7:59
洛阪 36
星垓 25
中澤「…なんか、嫌な空気だな」
矢島「何と言うか…洛阪の掌の上で転がされてるみたいだ…」
真田「こっちが何をしてきても動じないあたり、相手のゲームプラン通りなんですかね」
唐沢「いや、恐らくそうじゃない」
中澤「…と言いますと?」
唐沢「洛阪はこれまで全国でどのチームよりも戦い、勝ってきた故の経験があります。
こちらが多少仕掛けた位ではアジャストするなど造作もないという事でしょう
経験がある故に、様々なシチュエーションを知っているし、想定している。今の高校界で何処よりも戦い方、勝ち方を知っている。それが洛阪です」
中澤「…」
(洛阪はまだ特別な事は何もしていない。だからこちらも下手に策を用いて動けない。そんなところでもコントロールされているのかもな…)
そして、次第に尻すぼみになって行く星垓のオフェンスに対し、洛阪は淡々とスコアを積み上げる。
先程のブロックで勢いづいた大谷が攻守で奮闘し、インサイドで連続3ゴール。
これで大谷に守備が寄った所を、塚森と高松が大谷のアシストで外からスリーを射抜く。
そして中、外の的を絞れなくなった所で、ここまでほとんど得点していなかった田村がミドルを沈め、流れが完全に洛阪へ。
星垓は涼真の1on1からのジャンプシュート、新城の先程と同じミドル、髙木のアシストからハイポストでの神崎のミドル、インサイドでファウルを受けた涼真のフリースロー2本と8得点するも、効率のいいゴール下や爆発力を産むスリーは決めることができずにいた。
そして、なかなか手を打てぬまま
第2Q 残り3:39
洛阪 50
星垓 33
点差は広がっていた。
……To be continued
応援ありがとうございます!
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