Another world currency

haya

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行動

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  ルブルリント共和国を目指し、オーライトの街から東に延びる街道を荷馬車に揺られながら進んで3日が経っていた。
 
この道は途中までキープ公爵領へ行く道と同じだが、公爵領は道が悪い為に馬車の定期便が出ていない。ルブルリントへ行く道は定期便が出ていたので馬車を利用していた。


「ねー、ご主人。 王国に一泡吹かせたいのに帝国へ行かないのは何で?」


 【限定錬成】のレベルを上げようと銅を使い色々作っていた俺にキナが話し掛けてくる。


「ん~。色々理由はあるけど1つは王国からは帝国に行けないと思うからだな。 キナ達と会う前から出入国制限が掛かっていたから今頃は入れないんじゃないか? 行きたかったらルブルリント経由で帝国行けば良いしね。」


 そう、これは俺が王都の宿屋で働いてた時に行商人が言っていた事だ。


「後はレベルも冒険者としての地位も低い俺達が行っても、せいぜい最前線に突っ込まれてアッサリ死ぬのが関の山じゃないか?」

「じゃあルブルリントに行ってどうやって一泡吹かせるの?」


 キナが不思議そうに答える。確かにその通りだ。二つの国に関係無さそうな国に行ってどうするんだと思うのは至極当然だ。


「何も武力だけが戦争じゃないさ。俺達は俺達にしかできないやり方で戦えば良い。ちなみにルブルリントに行くのは金・コネ・盾を手に入れる為かな。」

「お金とコネは何となく意味が分かりますが、ルブルリントに強力な盾なんてありましたっけ?」


 俺とキナの話しを聞いていたリエルが疑問に思って首を傾げながら質問してくる。


「あるよ。王国相手に飛びっきり強力なのがな。 1つ言っておくと、盾って言っても戦闘で使う盾じゃないぞ? 立場的な意味って事さ。」 


 二人は頭の上にクエスチョンマークでも付けるかのように顔をしかめる。


「いいか? 王国にちょっかいを出すって事は当然相手もやり返してくるだろ? 要はやり返ししたいのに出来ない状況にするんだ。その為の盾さ。」

「「はぁ・・・?」」


 まだ納得いっていない二人にいずれ分かるよとだけ伝える。


 「後はルブルリントに行くのは他にも意味がある。」

「そうなんですか?」

「二人とも今回の戦争、一番得をするのは誰だと思う?」


 俺が二人に問い掛けると二人は悩み出す。


「うーん・・・王国ですかね? 侵略戦争ですから勝てば領土が手に入るし、負けても領土が取られる訳ではないですからね。」


 リエルが答えを振り絞って出す。


「まぁ、そうだな。防衛側の帝国は得る物が少ないしな。 だが俺は一番得をするのは王国・帝国、双方と取引があるルブルリントだと思う。なぜなら戦争が始まれば武器・防具・薬・馬・食糧など様々な物が必要になるから特需が始まるだろ?どちらが勝とうがその恩恵は計り知れないと思う。」


 そう、この情報も以前聞いていた。ルブルリントが両国と取引があると。


「それを踏まえると今回の戦争ではルブルリントが一枚噛んでるんじゃないかと思うんだ。」

「そんな酷い! 人の命で商売するなんて!」

「またボク達みたいなのが増えちゃうよ・・・」


 今のは推測だが、人の命で商売する奴はいるのだろう。俺のいた世界でも武器商人はいるのだから。
 勿論、守る物の為にそういうのが必要であるのも確かだ。


「それが本当かどうかルブルリントに行って確かめたいってのはあるな。 もしそうなら・・・」

「「そうなら?」」

「ルブルリントにも痛い目を見てもらう。」


 国の方針を決めるのは一部の人達だ。
 俺の推測が当たっているかは決めている人に会ってみないとだろう。
 まずはどうやって会うかが問題だなぁ。
 その為のコネが必要になるんだが、これが一番手に入るのが難しそうだ。


「あ、そうそう。 二人には言っておく事があるんだった。」

「何ですか?」

「何だろう?」

「この計画が上手く行ったら王都にいる奴隷達は解放する予定だ。」

「本当ですか!?」

「本当!?」


 解放するのは計画の一部の為なんだが、ここは黙っておこう。


「本当だとも。ただあくまでも上手くいったらだぞ?」

「はい! 何でもします!」

「そうだね! 頑張るよ!」


 よほど仲間達を解放したいのだろう。二人の気合いが入った返事が返ってくる。


「ほう・・・ 『何でも』するんだな? ちょうど二人にやってもらいたい事があったんだよ。 頼み辛い内容だったんだが・・・そうか! 何でもやってくれるのか!」

「えっ!? 確かに何でもするとは言いましたが・・・」

「お手柔らかに頼むね・・・」


 先ほどまでとは激変し、二人は不安の顔を覗かせる。



「あっ! ご主人、見えてきたよ!」


 キナが進行方向に指を指すと目的地のルブルリント共和国の首都ドルリカが見えてきた。

 街を守る外壁は王国の街よりかは低くなっているが、さすが商業の中心と言われる場所であって街の規模は王都に劣ってはいなかった。

 門の前にできている長い行列に並び、首都へ入る順番待ちをする。
 暫く待つと自分たちの番になり兵士に身分を証明する冒険者証を見せて中に入る事が出来た。

 中は人々で溢れており、あちらこちらに露店も出ていて商談が盛んに行われていた。
 単純に商店の数だけ見たら今までに行った街の中でも一番に見える。


「さてと、まずは宿の確保からだな。」 


 二人に言い、中央通りからさほど離れていない場所にあった宿で二部屋取る。二人が少し不満そうにしていたが気にしない事にした。


「さてと、荷物を置いて昼飯がてら外に行くか。美味しそうな店がたくさんあったなぁ。確認したい事もあるからな。」

「わーい! ご飯だ! ご主人、早く行こうよ!」

「ふふっ、キナったら。 まずは荷物を置いてでしょ。」


 やれやれと呟き、二人を連れて出店を回る。食べ歩きをしながら各店を回って行った。


「おばちゃん、これとこれ試食したいんだけど。」


 食料を売っているおばちゃんに食べた事の無い野菜を試食をさせてくれないかお願いする。
 試食の厳しい小さな物は実際に買って食べて味を確認する。


「これは…タマネギの味に近いな… ふむふむ、材料は大体揃いそうだな… まずは第一段階クリアってところか。」


「ご主人、何でさっきから食材ばかり食べてるの? ボクたちと一緒に串焼きとか食べればいいのに。」


 俺は試食させてくれたおばちゃんに礼を言った後にキナから話しかけられた。


「ん? あぁ。どういう食材が売られてるか調べるのが目的の一つだったからな。あまりこの世界の食材を知ってないからさ。」


 キナに試食していた理由を説明してあげる。
 その後も店を見回っていき、食べ歩きをしていくが全員のお腹がいっぱいになったので食べ歩きは終了になった。


「それじゃあ腹も膨れたし、そろそろ商業ギルドへ向かうとするか。」


 全員がお腹いっぱいになった所で目的地である商業ギルドを目指す。
 場所が分からなかったので近くにいた人に尋ねて教えてもらい、その場所に行くとそこには立派な建物が建っていた。

 商業ギルドの本部はまるで大神殿のような形をしていて、その全ては大理石で作られていた。
 至るところに彫刻が置かれ、噴水なども設置されていた。


「そんじゃ、『盾』を取りにいくとしますかね!」


 立派な建物へと続いている大理石で作られた荷馬車が三台は通れそうな広い幅の立派な道を俺は歩き始めた。
 
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