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第一章
09 凪との再会②
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九月二日の事だった。
長かった閉店作業が終わり、凪が店を出る頃には二二時を過ぎていた。レジの金額がなかなか合わず、その場にいた店員全員で頭を捻り、ようやく原因が判明するまでに約一時間も掛かってしまったのだった。
──マジ疲れた……。
電車に乗り込むと、運良く席が空いていたので遠慮なく腰を下ろした。先週、アルバイトの一人が持病の手術で入院、更に一人が退職した。その穴を埋めるために六連勤となってしまい、今日はその最終日だった。
──でも、明日から三連休……!
明日は疲れを取るため、一日中家で過ごそう。明後日は久し振りに遠出でもして、明々後日はこれまた久し振りに、実家に顔を出してもいいかもしれない……。
そんな事を考えているうちに、凪はうとうとしてしまった。自宅の最寄り駅に到着しても気付くのが遅れ、ドアが閉まるアナウンスの直後、慌てて電車を降りる羽目となった。
──あっぶね!
凪はすぐに改札へ向かおうとせず、壁際に寄って立ち止まった。左足首に不快な痛みがある。歩けないわけではないが、帰宅後に適切に対処しておかないと翌日に響くかもしれない。
ふと気付くと、降客たちは既に去り、一番線ホームは凪一人だけとなっていた。空は暗いが明かりがついているし、線路を挟んだ向こう側の二番線ホームには、まばらではあるが利用客の姿がある。それにも関わらず、一人とり残されたのだという恐怖心に近い感覚に襲われた。
──やっぱ疲れてるんだな、俺。
精神的な疲労を悪化させると、肉体的な疲労よりも厄介だ。こういう時はとっとと寝てしまうに限る。
改札に続く階段へと足早に向かう途中、凪は妙な違和感を覚えた。無視してそのまま進むべきか迷ったものの、数歩後戻りすると、違和感の正体──壁鏡を見やった。横長で、壁の真ん中よりやや上部に取り付けられており、角や端の方が腐食のためか黒く変色している。
壁鏡に映っているのは、凪自身と二番線ホームの一部、そして二番線ホームにいる学ランを着た少年が一人。不自然な点はない。
そう、何ら不自然ではない──後方に映り込んでいる少年が、高校時代に亡くなった友人の姿によく似ているような気がしても。
振り返った凪は、驚きのあまり声を上げそうになった。そこには誰もいなかったのだ。
──……んな馬鹿な!
再び壁鏡に向き直った凪は、少々の間の後に、今度こそ我慢出来ずに声を上げた。
二番線ホームに立っていた少年は、凪のすぐ隣に映っていた。そしてその姿は、間違いなく亡き友人・木宮光雅だったのだ。
「木宮は鏡に映っているだけで実体はなかった。要するに、こちら側の何処にも姿はなかったんだ。あいつは鏡の中にいた。鏡の中で、無表情で俺をじっと見ていた。
俺は完全にビビっちまって、足首の痛みも忘れて一目散に家まで逃げた。家に帰ってからも、また鏡に木宮が映るんじゃないかと思ってビクビクしながら過ごしていたけど、それでもそのうち気分が落ち着いてくると、疲労が原因の幻覚だったんじゃないのかって思えるようになってきた。それにもし本物の木宮の幽霊だったとしても、流石にビビり過ぎだったんじゃないかって恥ずかしくなってきたし、木宮にも失礼だなって──」
ケイの反応をほとんど気にせず語り続けていた凪だったが、ハッと我に返ってケイを見やった。
「緋山、大丈夫か?」
「……ええ」ケイは固い表情で小さく頷いた。
「本当か?」
「本当よ。続けて。失礼だったっていうのは?」
「だってさ、友達だろ? 例えば事故とかで死んで、その時のグロい姿のままとかならまだしも、普通の格好で現れてくれたんなら、驚くのは仕方ないにしろ、その後すぐ冷静になれても良かったはずなんだ。でもあの時は本当に恐怖以外の何でもなくってさ、そんな余裕なかったんだ、マジで」
──同じだわ。
〈チアーズ〉で光雅を目撃した際、ケイが一番強く感じたのは恐怖であり、帰宅してからもしばらくの間は不安が残り続けた。鏡はなるべく見ないようにしたし、凪から電話が掛かってきた時には、光雅からではないかと思った程だ。
しかし、凪の言う通り、驚きこそすれ必要以上に怖がり続ける事などなかったはずだ。おどろおどろしい姿で呪ってやると言われたわけでもないのだから。
「……緋山? 本当に大丈夫か?」
「ええ」
「その……実は、この話にはまだ続きがあるんだけど……話していいか?」
ケイは無言で頷いた。
九月一八日。
凪は大学時代の友人と渋谷まで出掛けた。
本屋、古着屋、雑貨屋などを回った後は、友人の希望で大型CDショップへ向かった。友人は最近、アメリカで爆発的な人気を誇り、日本でも人気急上昇中の女性歌手にハマり、少しずつアルバムを集めているのだという。
エスカレーターで四階まで来ると、お目当ての歌手のコーナーがすぐ近くに見付かった。友人のアルバム選びは時間が掛かりそうだったため、凪は一言告げてからその場を離れ、フロア内を適当に散策した。
平日とはいえ、昼間にも関わらず利用客は少ない。運営は大丈夫なのだろうかと余計な心配をしつつ、レゲエやダンスミュージックコーナーを通り過ぎ、エレベーターに差し掛かった時、凪は足を止めた。
二基のエレベーターのうち右側の一基が、上階から降りて来て凪のいる四階で停まった。ドアがゆっくり開き、中にいた二人組の女性が喋りながら降りて去ってゆく。しかし、ドアは開いたまま、なかなか閉じようとしなかった。
何かに反応してしまっているのかもしれないと考えた凪は、開きっぱなしのエレベーターの前まで移動した。
──……!
一瞬ドキリとしたのは、エレベーター内の壁鏡に映る自分に気付いたからだ。
あれ以降、木宮光雅の姿は一度も見ていなかった。仮にもう一度現れたところで、危害を加えられでもしない限り、怖がる事はない。
そう自分に言い聞かせ、エレベータードアに更に近付いた凪だったが、思わず息を呑んだ。
光雅が、凪のやや後方に映っていた。前回と変わらず制服姿、そして無表情で。
──……マジか。
念のために後ろを振り向いてみたが、やはり実体はなかった。凪は一度深呼吸すると、
「木宮、だよな?」
鏡の中の光雅にそっと声を掛けた。旧友は何も答えなかったが、現れた理由を問おうと凪が再び口を開きかけた時、微かに口を動かした。
「その口の動きがな……〝ケイ〟って言ったように見えたんだ」
「……え?」
「いや、はっきりそうだとは言えねえけどさ。その後すぐに木宮が消えて、エレベーターも下の階に行ったから、確認しようがなかったし。
それからずっとモヤモヤしたまま一日過ごして、どうしようか迷った結果、次の日に緋山に電話して、今日こうやって話したわけだ」
ケイは何と言ったらいいのかわからず、凍り付いたように凪に釘付けとなっていた。
「あー……その、やっぱり信用出来ないか? 今までの話」
「……そうじゃないわ。信じてる。だって──」
──だって、わたしも光雅君を見たから。鏡の中の光雅君を。
「──三塚君が、わざわざこんな嘘吐くとは思えないから」
「サンキュ」
凪の表情が若干緩んだが、ケイは同じようには出来なかった。
「木宮が緋山の名前を呼んでいたと仮定して、じゃあ何で呼んだんだろうなって。緋山、何か思い当たる節はないか?」
「……わからない」
何故光雅はいきなり現れるようになったのか。何故凪の元には二回現れ、ケイの名前を呼んだのか。
「わからない。全然わからないわよ。わたしが知りたいくらいだわ」
頭の奥に鈍い痛みを覚え、ケイはこめかみを押さえた。
長かった閉店作業が終わり、凪が店を出る頃には二二時を過ぎていた。レジの金額がなかなか合わず、その場にいた店員全員で頭を捻り、ようやく原因が判明するまでに約一時間も掛かってしまったのだった。
──マジ疲れた……。
電車に乗り込むと、運良く席が空いていたので遠慮なく腰を下ろした。先週、アルバイトの一人が持病の手術で入院、更に一人が退職した。その穴を埋めるために六連勤となってしまい、今日はその最終日だった。
──でも、明日から三連休……!
明日は疲れを取るため、一日中家で過ごそう。明後日は久し振りに遠出でもして、明々後日はこれまた久し振りに、実家に顔を出してもいいかもしれない……。
そんな事を考えているうちに、凪はうとうとしてしまった。自宅の最寄り駅に到着しても気付くのが遅れ、ドアが閉まるアナウンスの直後、慌てて電車を降りる羽目となった。
──あっぶね!
凪はすぐに改札へ向かおうとせず、壁際に寄って立ち止まった。左足首に不快な痛みがある。歩けないわけではないが、帰宅後に適切に対処しておかないと翌日に響くかもしれない。
ふと気付くと、降客たちは既に去り、一番線ホームは凪一人だけとなっていた。空は暗いが明かりがついているし、線路を挟んだ向こう側の二番線ホームには、まばらではあるが利用客の姿がある。それにも関わらず、一人とり残されたのだという恐怖心に近い感覚に襲われた。
──やっぱ疲れてるんだな、俺。
精神的な疲労を悪化させると、肉体的な疲労よりも厄介だ。こういう時はとっとと寝てしまうに限る。
改札に続く階段へと足早に向かう途中、凪は妙な違和感を覚えた。無視してそのまま進むべきか迷ったものの、数歩後戻りすると、違和感の正体──壁鏡を見やった。横長で、壁の真ん中よりやや上部に取り付けられており、角や端の方が腐食のためか黒く変色している。
壁鏡に映っているのは、凪自身と二番線ホームの一部、そして二番線ホームにいる学ランを着た少年が一人。不自然な点はない。
そう、何ら不自然ではない──後方に映り込んでいる少年が、高校時代に亡くなった友人の姿によく似ているような気がしても。
振り返った凪は、驚きのあまり声を上げそうになった。そこには誰もいなかったのだ。
──……んな馬鹿な!
再び壁鏡に向き直った凪は、少々の間の後に、今度こそ我慢出来ずに声を上げた。
二番線ホームに立っていた少年は、凪のすぐ隣に映っていた。そしてその姿は、間違いなく亡き友人・木宮光雅だったのだ。
「木宮は鏡に映っているだけで実体はなかった。要するに、こちら側の何処にも姿はなかったんだ。あいつは鏡の中にいた。鏡の中で、無表情で俺をじっと見ていた。
俺は完全にビビっちまって、足首の痛みも忘れて一目散に家まで逃げた。家に帰ってからも、また鏡に木宮が映るんじゃないかと思ってビクビクしながら過ごしていたけど、それでもそのうち気分が落ち着いてくると、疲労が原因の幻覚だったんじゃないのかって思えるようになってきた。それにもし本物の木宮の幽霊だったとしても、流石にビビり過ぎだったんじゃないかって恥ずかしくなってきたし、木宮にも失礼だなって──」
ケイの反応をほとんど気にせず語り続けていた凪だったが、ハッと我に返ってケイを見やった。
「緋山、大丈夫か?」
「……ええ」ケイは固い表情で小さく頷いた。
「本当か?」
「本当よ。続けて。失礼だったっていうのは?」
「だってさ、友達だろ? 例えば事故とかで死んで、その時のグロい姿のままとかならまだしも、普通の格好で現れてくれたんなら、驚くのは仕方ないにしろ、その後すぐ冷静になれても良かったはずなんだ。でもあの時は本当に恐怖以外の何でもなくってさ、そんな余裕なかったんだ、マジで」
──同じだわ。
〈チアーズ〉で光雅を目撃した際、ケイが一番強く感じたのは恐怖であり、帰宅してからもしばらくの間は不安が残り続けた。鏡はなるべく見ないようにしたし、凪から電話が掛かってきた時には、光雅からではないかと思った程だ。
しかし、凪の言う通り、驚きこそすれ必要以上に怖がり続ける事などなかったはずだ。おどろおどろしい姿で呪ってやると言われたわけでもないのだから。
「……緋山? 本当に大丈夫か?」
「ええ」
「その……実は、この話にはまだ続きがあるんだけど……話していいか?」
ケイは無言で頷いた。
九月一八日。
凪は大学時代の友人と渋谷まで出掛けた。
本屋、古着屋、雑貨屋などを回った後は、友人の希望で大型CDショップへ向かった。友人は最近、アメリカで爆発的な人気を誇り、日本でも人気急上昇中の女性歌手にハマり、少しずつアルバムを集めているのだという。
エスカレーターで四階まで来ると、お目当ての歌手のコーナーがすぐ近くに見付かった。友人のアルバム選びは時間が掛かりそうだったため、凪は一言告げてからその場を離れ、フロア内を適当に散策した。
平日とはいえ、昼間にも関わらず利用客は少ない。運営は大丈夫なのだろうかと余計な心配をしつつ、レゲエやダンスミュージックコーナーを通り過ぎ、エレベーターに差し掛かった時、凪は足を止めた。
二基のエレベーターのうち右側の一基が、上階から降りて来て凪のいる四階で停まった。ドアがゆっくり開き、中にいた二人組の女性が喋りながら降りて去ってゆく。しかし、ドアは開いたまま、なかなか閉じようとしなかった。
何かに反応してしまっているのかもしれないと考えた凪は、開きっぱなしのエレベーターの前まで移動した。
──……!
一瞬ドキリとしたのは、エレベーター内の壁鏡に映る自分に気付いたからだ。
あれ以降、木宮光雅の姿は一度も見ていなかった。仮にもう一度現れたところで、危害を加えられでもしない限り、怖がる事はない。
そう自分に言い聞かせ、エレベータードアに更に近付いた凪だったが、思わず息を呑んだ。
光雅が、凪のやや後方に映っていた。前回と変わらず制服姿、そして無表情で。
──……マジか。
念のために後ろを振り向いてみたが、やはり実体はなかった。凪は一度深呼吸すると、
「木宮、だよな?」
鏡の中の光雅にそっと声を掛けた。旧友は何も答えなかったが、現れた理由を問おうと凪が再び口を開きかけた時、微かに口を動かした。
「その口の動きがな……〝ケイ〟って言ったように見えたんだ」
「……え?」
「いや、はっきりそうだとは言えねえけどさ。その後すぐに木宮が消えて、エレベーターも下の階に行ったから、確認しようがなかったし。
それからずっとモヤモヤしたまま一日過ごして、どうしようか迷った結果、次の日に緋山に電話して、今日こうやって話したわけだ」
ケイは何と言ったらいいのかわからず、凍り付いたように凪に釘付けとなっていた。
「あー……その、やっぱり信用出来ないか? 今までの話」
「……そうじゃないわ。信じてる。だって──」
──だって、わたしも光雅君を見たから。鏡の中の光雅君を。
「──三塚君が、わざわざこんな嘘吐くとは思えないから」
「サンキュ」
凪の表情が若干緩んだが、ケイは同じようには出来なかった。
「木宮が緋山の名前を呼んでいたと仮定して、じゃあ何で呼んだんだろうなって。緋山、何か思い当たる節はないか?」
「……わからない」
何故光雅はいきなり現れるようになったのか。何故凪の元には二回現れ、ケイの名前を呼んだのか。
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