春 かすか

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第四部

かんかい

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 ⚠︎閲覧自己責任・性的描写あり

 ーースミレの容態は以前に比べて、安定するようになったものの、サクラは変わらず、時折出て来る。変わらず、スミレにはサクラの事を打ち明けてはいない。

 今日も全裸のサクラは、ベッドの上でぼくを見る。ぼくはいつも通り読書をしていた。

「……ねえ、ノルン」

「ーー駄目です」

「まだ何も言ってないよ?!」

「言わなくても、大体分かります」

「えー……」

「駄目ですよ」

「……」

「……」

 突如、沈黙が訪れる。サクラは、そんなぼくを見るなり、枕を胸に抱き締める。

「ねえ、ノルン。一緒にお風呂入ろ?」

「ーーは? 今から?」

「うん」

「駄目ですよ。……使用人の方々はもう寝てます」

「えー……」

「大体、そもそも、何で一緒に入りたいんですか?」

「ノルンの体を洗いたいのっ!」

「ーーは?」

「うん。ーーおちんこを重点的にっ」

 元気良く言うサクラに、思わず、噎せそうになるぼく。

「いりません。ーー結構です。何処ぞの泡風呂店じゃないんですから」

「ねえ。ノルン。そーぷって、何~?」

 ぼくの首に絡みついて来る、全裸のサクラと目線を合わせるぼく。漫画だったら、怒りのマークがついている事だろう。

「……言葉の意味、分かってて、ぼくに聞いてますよね? そういうの、確信犯って言うんですよ?」

「えへへ~」

 嬉しそうにはみかむサクラ。こっちはもう脱力しそうになる。いや、既に脱力をしている気すらする。

 こうして、サクラは、時折出て来るものの。大分、スミレの状態は落ち着いて行った。

   ♡

 ーー五年後。

「え? ーースミレちゃんって言うの?」

「ーーはい」

 食堂であおなにスミレを紹介するぼく。スミレは、緊張しているのか、立って俯いている。スミレは滅多に自室から出て来ないからだ。ゆきとも余り顔を合わせたがらない。

「へえ~……可愛いね。女の子って感じ」

「そりゃ、貴方よりかは、数倍、お淑やかで可愛いでしょうよ」

「ーーだから、何でそーゆー言い方すんのっ!?」

「え? ーー何がです?」

「ーーノルンを悪く言わないでっ!」

「へ?」

「……」

 ーー突如、サクラが出て来たと思った。

「え? スミレちゃん。この男に心、開かない方がいいよ? スカートは捲るわ。口は悪いわ。セクハラし放題なんだから」

「そうなの!? 狡いっ! 私はそんな事ノルンにされた事ないっ!」

「ーーへ?」

「ーーちょっと……」

「私の方がノルンに好かれてるもん! ノルンは、優しくて、格好良くて、精液も美味しいんだからっ!」

「…………は?」

 ぽかんとするあおな。鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をして、口はあんぐりとしている。

「ちょっとそこ。庇うなら、もっとマシな擁護の仕方して下さい」

「ノルン」

「ーー駄目です。後、人のものを飲んだ事もない癖に、勝手に美味しいとか言わないで下さい。セクハラで訴えますよ?」

「えー……」

「えー……じゃありません」

 ぼくは、ぴしゃりと言葉を切って捨てた。
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