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第十八章
2 夏の親睦会の準備
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夏の親睦会は、毎年、千葉の木更津温泉になっている。
恋人の聖地の金の鐘がラウンジに置かれて、子供が授かるホテルと言われ続けている。
アンケートでも夏の親睦会では、まだ毎年一位を取り続けている。
桜子さんが、毎年、子供を授かった事は、密かに有名になって、それに肖りたいと思う者が多くいる。
真相を知る人は、本人とわたし達以外いない。
実際に、子供を授かったと言う者も出てきている。
噂が噂を呼び、新婚カップルや不妊に悩んでいるカップルが、競って応募していると言う。
それを応援している者も大勢いて、結局、毎年、このホテルが選ばれる。
桜子さんは、離婚してからも親睦会に参加している。
今まで一人でも参加していたけれど、桜子さんの両親と家政婦が一緒に来ていた。
去年から、桜子さんが一人で連れてくるようになった。
長男が小学生になり末っ子も幼稚園に入って、手がかからなくなったからだと思う。
大学生だった三人組は、弁護士になり、円城寺家の弁護士事務所で働いている。
年に2回、子供達を見せているようだ。
親子とは、子供には教えていないけれど、彼等は子供の成長を楽しみにしているように見えた。
名乗れない関係は悲しいなと思うけれど、桜子さんが選んだ道なので、わたしも光輝さんも見守っている。
けれど、親睦会では桜子さんと一緒に行動している三人の男性は目立っている。
有喜さんは、中国に行ってから、親睦会に参加していない。
日本にも帰国していないようだ。
有喜さんの両親と有喜さんの妹夫妻も親睦会に来なくなった。
妹夫妻には関係ないけれど、陰口を言う者もいることは否定できない。
実際に妹と結婚したのは小野田家の人だが、出世街道からも脱落してしまったようだ。
桜子さんの兄や弟が、桜子さんの事を守れなかった事を悔やんでいるようだった。
なんだかんだと言って、桜子さんは小野田家本家のお嬢様なので、本家を侮辱した罪は受けなければならないようだ。
妹夫妻も東京から地方へと飛ばされて、実家には有喜さんの両親だけが残されている。
有喜さんの父の会社は、後継者がいなくなり、妹夫妻に話を持って行ったが、断られたようだった。
宙ぶらりんの会社は、社員が別の円城寺家系列の会社に移動を希望して、人員不足になり、光輝さんに泣きついたと言う。
光輝さんは社長の座を交代させて、新しく会社を作り直した。
有喜さんの父も仕事を失った。
歳も歳だったので隠居だと、光輝さんは言っていた。
一族の恥と言われて、親戚からも相手にされなくなり、残されたのは、有喜さんが建てた家だけになった。
有喜さんの親は、元の家に戻り、空き家になった有喜さんの家を賃貸で貸すことに決めたらしいが、敷地内にある上に、大きな家なので家賃も高く、借りる人もいないという。
結局、空き家になり、数少ない使用人を住まわせているようだ。
大家族から二人きりになり、夫婦はどう過ごしているのか、知る者はいない。
有喜さんは、桜子さんだけではなく、総帥の光輝さんも欺き、不倫をしながら、妹同然の桜子さんを不幸にした報いを一家で責任を取らされた事になる。
その事を知った一族から、不倫の話はなくなった。
光輝さんを怒らすと、円城寺家であっても、小野田家であっても捻り潰される事を学んで、会社で不正が行われることもなくなったと聞く。
弁護士が監査をするようになったが、不正は見つからなくなった。
…………………………*…………………………
今年の夏の親睦会の日程が決まったので、教えてもらった。
8日にバイキング、9日にダンスパーティー、10日に花火、11日に会議とダンスパーティー12日から自由になる。15日の正午までにチェックアウト。
毎年変わらないけれど、変わらないから準備もしやすい。
今年は、彩花が1年生になったので、社交ダンスを習わせた。
一緒に晴輝と輝明も学んで、大人と同じダンスができるようになった。
子供ダンスの時間も踊らせるつもりでいるけれど、これも慣れなので、いい経験になると思う。
晴輝と輝明は、タキシードを準備して、彩花にはドレスを二着準備した。
ピアノの発表会もあるので、無駄にはならないだろう。
わたしのドレスと同じで、背中のリボンで調節できる物を準備したので、来年も着られるだろう。
花火には、彩花に浴衣を着せる。
せっかく女の子がいるのだから、可愛く飾ってあげたい。
まだ子供なので、安い生地でいい。好きな絵柄を選ばせた。
着物屋さんで、浴衣売り場に真竹流の反物が置かれていた。
新しいお嫁さんがデザインしているのか、可愛い猫が描かれている物が人気だと言う。
『招き猫シリーズ』と言われて、着物も帯も猫が描かれている。
父の描いた絵柄もあって、値段もそれなりにしている。
高級着物だけではなく、一般の人にも名を売る努力をしているようだ。
わたしはお店の人に勧められたが、それは買わなかった。
彩花は猫が気に入ったようだったけれど、やっとわたしも浴衣を着ても汚れる心配をしなくても良さそうなので、光輝さんがわたしに浴衣を仕立ててくれた。
光輝さんとお揃いになりそうな浴衣の反物を選んだ。
今年はホテルのベランダからではなく、外に出て、海岸で見てもいいかと思う。
男の子達には、甚平を買った。
やんちゃなので、まだ浴衣は早いだろう。
それぞれ好みがあるようなので、自分たちに選ばせた。
普段着の洋服も子供達の物を揃える。
男の子達は上の子のお下がりがあるけれど、光輝さんは僅かでも新しい物を新調してくれた。
わたしが姉のお下がりしか着たことがないと言っていたのを気にしてなのだろう。
彩花には、小学校で制服があるけれど、普段着は子供ブランドの可愛い服を用意している。
食事の時はワンピースなので、1週間分のワンピースとラフなTシャツとスカート等も選ばせた。
小学生になって、自我が発達して、自分で欲しい物ができている。
髪の長さは肩までの長さで、わたしよりは短いが、それでもアレンジできる長さがあるので、パーティーの間は、可愛くしてあげようと思っている。
光輝さんは我が家の紅一点を、すごく可愛がる。
お世継ぎに息子が、必要だから、男の子を産んで欲しいと頼まれていたけれど、やはり女の子は可愛いのだ。
彩花を可愛く飾って、満足したようだ。
光輝さんの御用達のデパートで買い物をして、創作料理のお店に入るのは、もう決められたコースのようだ。
お子様ランチを彩花から下に注文する。
晴輝と輝明は、もう大人と変わらない量を食べる。
わたしは未だに多くて、光輝さんに手伝ってもらっているけれど、晴輝と輝明は残さずに食べた。末が恐ろしい。
後は、緑茶とスイカを買って帰る。
いつも一緒で全てインフォメーションに集められている荷物を運んでもらって、加羅さんと宇賀田さんの乗った車に、荷物を載せてもらう。
一緒の車に乗って護衛はしてもらえないけれど、買い物の途中は、護衛をしてもらっている。
子供達には自分のスーツケースを購入して、荷物の片付けや旅行の準備もさせる。
忘れ物がないか、チェックはするが、躾の一つだ。
準備できた物は、先にホテルに送る。
わたしと光輝さんも最近では、先に送っている。
身一つで旅行に出かける。
子供が小さな頃は、アクシデントも多かったけれど、今ではそういった事もあまりない。お守りに一着ずつ持つくらいで済む。
子供の成長は早いと、最近、よく思う。
恋人の聖地の金の鐘がラウンジに置かれて、子供が授かるホテルと言われ続けている。
アンケートでも夏の親睦会では、まだ毎年一位を取り続けている。
桜子さんが、毎年、子供を授かった事は、密かに有名になって、それに肖りたいと思う者が多くいる。
真相を知る人は、本人とわたし達以外いない。
実際に、子供を授かったと言う者も出てきている。
噂が噂を呼び、新婚カップルや不妊に悩んでいるカップルが、競って応募していると言う。
それを応援している者も大勢いて、結局、毎年、このホテルが選ばれる。
桜子さんは、離婚してからも親睦会に参加している。
今まで一人でも参加していたけれど、桜子さんの両親と家政婦が一緒に来ていた。
去年から、桜子さんが一人で連れてくるようになった。
長男が小学生になり末っ子も幼稚園に入って、手がかからなくなったからだと思う。
大学生だった三人組は、弁護士になり、円城寺家の弁護士事務所で働いている。
年に2回、子供達を見せているようだ。
親子とは、子供には教えていないけれど、彼等は子供の成長を楽しみにしているように見えた。
名乗れない関係は悲しいなと思うけれど、桜子さんが選んだ道なので、わたしも光輝さんも見守っている。
けれど、親睦会では桜子さんと一緒に行動している三人の男性は目立っている。
有喜さんは、中国に行ってから、親睦会に参加していない。
日本にも帰国していないようだ。
有喜さんの両親と有喜さんの妹夫妻も親睦会に来なくなった。
妹夫妻には関係ないけれど、陰口を言う者もいることは否定できない。
実際に妹と結婚したのは小野田家の人だが、出世街道からも脱落してしまったようだ。
桜子さんの兄や弟が、桜子さんの事を守れなかった事を悔やんでいるようだった。
なんだかんだと言って、桜子さんは小野田家本家のお嬢様なので、本家を侮辱した罪は受けなければならないようだ。
妹夫妻も東京から地方へと飛ばされて、実家には有喜さんの両親だけが残されている。
有喜さんの父の会社は、後継者がいなくなり、妹夫妻に話を持って行ったが、断られたようだった。
宙ぶらりんの会社は、社員が別の円城寺家系列の会社に移動を希望して、人員不足になり、光輝さんに泣きついたと言う。
光輝さんは社長の座を交代させて、新しく会社を作り直した。
有喜さんの父も仕事を失った。
歳も歳だったので隠居だと、光輝さんは言っていた。
一族の恥と言われて、親戚からも相手にされなくなり、残されたのは、有喜さんが建てた家だけになった。
有喜さんの親は、元の家に戻り、空き家になった有喜さんの家を賃貸で貸すことに決めたらしいが、敷地内にある上に、大きな家なので家賃も高く、借りる人もいないという。
結局、空き家になり、数少ない使用人を住まわせているようだ。
大家族から二人きりになり、夫婦はどう過ごしているのか、知る者はいない。
有喜さんは、桜子さんだけではなく、総帥の光輝さんも欺き、不倫をしながら、妹同然の桜子さんを不幸にした報いを一家で責任を取らされた事になる。
その事を知った一族から、不倫の話はなくなった。
光輝さんを怒らすと、円城寺家であっても、小野田家であっても捻り潰される事を学んで、会社で不正が行われることもなくなったと聞く。
弁護士が監査をするようになったが、不正は見つからなくなった。
…………………………*…………………………
今年の夏の親睦会の日程が決まったので、教えてもらった。
8日にバイキング、9日にダンスパーティー、10日に花火、11日に会議とダンスパーティー12日から自由になる。15日の正午までにチェックアウト。
毎年変わらないけれど、変わらないから準備もしやすい。
今年は、彩花が1年生になったので、社交ダンスを習わせた。
一緒に晴輝と輝明も学んで、大人と同じダンスができるようになった。
子供ダンスの時間も踊らせるつもりでいるけれど、これも慣れなので、いい経験になると思う。
晴輝と輝明は、タキシードを準備して、彩花にはドレスを二着準備した。
ピアノの発表会もあるので、無駄にはならないだろう。
わたしのドレスと同じで、背中のリボンで調節できる物を準備したので、来年も着られるだろう。
花火には、彩花に浴衣を着せる。
せっかく女の子がいるのだから、可愛く飾ってあげたい。
まだ子供なので、安い生地でいい。好きな絵柄を選ばせた。
着物屋さんで、浴衣売り場に真竹流の反物が置かれていた。
新しいお嫁さんがデザインしているのか、可愛い猫が描かれている物が人気だと言う。
『招き猫シリーズ』と言われて、着物も帯も猫が描かれている。
父の描いた絵柄もあって、値段もそれなりにしている。
高級着物だけではなく、一般の人にも名を売る努力をしているようだ。
わたしはお店の人に勧められたが、それは買わなかった。
彩花は猫が気に入ったようだったけれど、やっとわたしも浴衣を着ても汚れる心配をしなくても良さそうなので、光輝さんがわたしに浴衣を仕立ててくれた。
光輝さんとお揃いになりそうな浴衣の反物を選んだ。
今年はホテルのベランダからではなく、外に出て、海岸で見てもいいかと思う。
男の子達には、甚平を買った。
やんちゃなので、まだ浴衣は早いだろう。
それぞれ好みがあるようなので、自分たちに選ばせた。
普段着の洋服も子供達の物を揃える。
男の子達は上の子のお下がりがあるけれど、光輝さんは僅かでも新しい物を新調してくれた。
わたしが姉のお下がりしか着たことがないと言っていたのを気にしてなのだろう。
彩花には、小学校で制服があるけれど、普段着は子供ブランドの可愛い服を用意している。
食事の時はワンピースなので、1週間分のワンピースとラフなTシャツとスカート等も選ばせた。
小学生になって、自我が発達して、自分で欲しい物ができている。
髪の長さは肩までの長さで、わたしよりは短いが、それでもアレンジできる長さがあるので、パーティーの間は、可愛くしてあげようと思っている。
光輝さんは我が家の紅一点を、すごく可愛がる。
お世継ぎに息子が、必要だから、男の子を産んで欲しいと頼まれていたけれど、やはり女の子は可愛いのだ。
彩花を可愛く飾って、満足したようだ。
光輝さんの御用達のデパートで買い物をして、創作料理のお店に入るのは、もう決められたコースのようだ。
お子様ランチを彩花から下に注文する。
晴輝と輝明は、もう大人と変わらない量を食べる。
わたしは未だに多くて、光輝さんに手伝ってもらっているけれど、晴輝と輝明は残さずに食べた。末が恐ろしい。
後は、緑茶とスイカを買って帰る。
いつも一緒で全てインフォメーションに集められている荷物を運んでもらって、加羅さんと宇賀田さんの乗った車に、荷物を載せてもらう。
一緒の車に乗って護衛はしてもらえないけれど、買い物の途中は、護衛をしてもらっている。
子供達には自分のスーツケースを購入して、荷物の片付けや旅行の準備もさせる。
忘れ物がないか、チェックはするが、躾の一つだ。
準備できた物は、先にホテルに送る。
わたしと光輝さんも最近では、先に送っている。
身一つで旅行に出かける。
子供が小さな頃は、アクシデントも多かったけれど、今ではそういった事もあまりない。お守りに一着ずつ持つくらいで済む。
子供の成長は早いと、最近、よく思う。
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