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第三章
8 ハルの旅
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☆
俺は慎重に旅をすることにした。
酒屋は危険だと身をもって知ったばかりなので、働き口は慎重に探して食堂にした。
日中の仕事だ。
食べ物は支給される。
女の子として雇ってもらい、丁寧に働いた。
「ずっとここで勤めていてもいいよ」と言ってくれる女将もいた。
それでも、ある程度の金額が貯まると、旅に出た。
最初の時は、馬で早駆けをしたので、それほど遠いと感じなかったが、今回の旅は時間もかかる。
働いたお金で、針と糸とハサミを買い、古着を買って布きれにすると巾着を作り、財布を作った。それから着替えを入れる鞄を作った。
余った布で髪飾りや袋を作り、食堂に置かせて貰った。
僅かな賃金でもないより助かる。
お金に困ったみなしごというストーリーを作って、それを演じた。
すると、古着を譲ってくれる人が現れた。その姿では寒かろうと上着をくれる人も現れた。
「もう着られないものだからね。洋服もこちらになさいな。継ぎ接ぎだらけの服ではみっともないだろう」
そう言って、小さくなった服を差し入れしてくれる。
食べ物屋さんの女将さんや、お客さんは親切だった。
最初に騙されたので、警戒したが警戒する理由を話すと、「可哀想に」と慰めてくれる。
「人は全てが悪者ではないから、少なくとも、今は善意でハルちゃんに、着てもらえたら嬉しいと思って声をかけているんだよ」
「ありがとうございます」
人の善意は優しくて、最初の酒場で襲われて以来、俺は精神的に楽な気持ちで働いて、お金を貯めている。
「うちの息子の嫁にならないか?ハルちゃんなら、可愛いし、こんないい子は、そうそういないと思ってね」
ありがたいお話ですけれど、どうやら私の体には、呪いがかかっているようなのです。
その事は口が裂けても話す気持ちにならないので、違う理由でお断りした。
「どうして会わなければならない人がいるんです」
そう言うと、大抵引き下がってくれた。
「遠い旅なのね?」
「ええ、とても」
「ここで少しでも旅賃を稼いで行きなさい」
住み込みの上に食事も3食付いてくる。
あまりに魅力的なので、時々、オブリガシオン様の事を忘れようと思ってしまうこともあった。
けれど、呪われた体は元に戻して貰わなければ、この先生きて行く為にとても邪魔になると心に言い聞かせて、俺はひたすら働いた。
オブリガシオン様の宮殿まで、頑張って歩いて行こうと決心した。
「どうか、呪いを解いて貰えますように」
俺の最近の日課だ。
神様がいるなら、どうか願いを叶えてください。
前世の俺は被害者です。
俺は地獄に落とされるほどの罪は犯していません。
殺されましたが俺に非はありません。
ちゃんと調べてください。
俺は慎重に旅をすることにした。
酒屋は危険だと身をもって知ったばかりなので、働き口は慎重に探して食堂にした。
日中の仕事だ。
食べ物は支給される。
女の子として雇ってもらい、丁寧に働いた。
「ずっとここで勤めていてもいいよ」と言ってくれる女将もいた。
それでも、ある程度の金額が貯まると、旅に出た。
最初の時は、馬で早駆けをしたので、それほど遠いと感じなかったが、今回の旅は時間もかかる。
働いたお金で、針と糸とハサミを買い、古着を買って布きれにすると巾着を作り、財布を作った。それから着替えを入れる鞄を作った。
余った布で髪飾りや袋を作り、食堂に置かせて貰った。
僅かな賃金でもないより助かる。
お金に困ったみなしごというストーリーを作って、それを演じた。
すると、古着を譲ってくれる人が現れた。その姿では寒かろうと上着をくれる人も現れた。
「もう着られないものだからね。洋服もこちらになさいな。継ぎ接ぎだらけの服ではみっともないだろう」
そう言って、小さくなった服を差し入れしてくれる。
食べ物屋さんの女将さんや、お客さんは親切だった。
最初に騙されたので、警戒したが警戒する理由を話すと、「可哀想に」と慰めてくれる。
「人は全てが悪者ではないから、少なくとも、今は善意でハルちゃんに、着てもらえたら嬉しいと思って声をかけているんだよ」
「ありがとうございます」
人の善意は優しくて、最初の酒場で襲われて以来、俺は精神的に楽な気持ちで働いて、お金を貯めている。
「うちの息子の嫁にならないか?ハルちゃんなら、可愛いし、こんないい子は、そうそういないと思ってね」
ありがたいお話ですけれど、どうやら私の体には、呪いがかかっているようなのです。
その事は口が裂けても話す気持ちにならないので、違う理由でお断りした。
「どうして会わなければならない人がいるんです」
そう言うと、大抵引き下がってくれた。
「遠い旅なのね?」
「ええ、とても」
「ここで少しでも旅賃を稼いで行きなさい」
住み込みの上に食事も3食付いてくる。
あまりに魅力的なので、時々、オブリガシオン様の事を忘れようと思ってしまうこともあった。
けれど、呪われた体は元に戻して貰わなければ、この先生きて行く為にとても邪魔になると心に言い聞かせて、俺はひたすら働いた。
オブリガシオン様の宮殿まで、頑張って歩いて行こうと決心した。
「どうか、呪いを解いて貰えますように」
俺の最近の日課だ。
神様がいるなら、どうか願いを叶えてください。
前世の俺は被害者です。
俺は地獄に落とされるほどの罪は犯していません。
殺されましたが俺に非はありません。
ちゃんと調べてください。
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