妄想の館

守 秀斗

文字の大きさ
8 / 12

第8話:智弘さんに電話するけど、相談できない

しおりを挟む
 私は急に和美さんに怖い顔でにらまれて怯えてしまう。

(え、こんな人だったの……やさしい人だと思ってたのに……)

 ドキドキしてなんて答えようかと思っていると、和美さんが怖い顔から、またやさしい表情に戻って、さらに私にすり寄ってくる。

「ねえ、私はあなたにクビになってはもらいたくないのよ。それに、いいじゃない、あなたはそうしたいんでしょ」
「……あの、妄想なんで、現実にするなんて考えたことないです……そんな、全くの他人に見られるなんていやですよ」

「愛する智弘君には見られたいんじゃないの」
「……ええ、彼なら別に……かまいません」

「智弘君ならいいんだ、いや、見られたいんでしょ、オナニーもおしっこするのもウンチするのも、全て見られたいんでしょ、あなたは。濡れたあそこも思いっ切り見られたいんでしょ」
「はい……でも、そんなパーティではしたくないです」

「あなたの小説にやたら出てくるけどねえ。妄想の館でオナニーやらセックスやりたい放題じゃないの」
「……そ、そうなんですけど……」

 なぜかそういう願望があるのよ、私には。
結局、変態なんだろうなあ。

「でも、他人の前で顔を見られて、しかも裸なんて、そんなこと絶対いやですよ」
「大丈夫よ、顔は黒い布で目隠しするから。顔の三分の一くらいの幅広い布でね」

「で、でも、やっぱり恥ずかしいです。いやです、和美さん、お願い、許してください」
「そう、じゃあ、あの記録動画を提出するしかないわねえ。何であのグラスが壊れたのか説明しろって言われてるのよ」

 それは困るわ。どうしよう。すると、和美さんがまた私の顔を見て、いやらしい笑顔で頼み込んでくる。

「ねえ、お願いよ。お金は弾むから。五十万円よ。どう、おしっこするだけで五十万。あ、そうだ、もう一つ頼み事があったわ、それも含めると百万円ね」
「何ですか……」
「おしっこした後、オナニーしてよ」
  
 また、淫らなことを言われて、私は仰天してしまう。

「そんな、人前でオナニーなんて……」
「でも、それがあなたの願望でしょ。そんな描写ばっかりよ、あの小説」

「いや、だから妄想ですから」
「今まで、彼の前でもしたことないの」

「ないですよ」
「私はあるけどね。彼の前でオナニーをしたのよ。気持ち良かったわよ。あなたも智弘君の前でしてみたら」

「……彼に命令されたらするかもしれませんけど……でも、さっき行ったように他人に前でオナニーなんて出来ません」
「でも、本当は智弘君の前でしたくて仕方がないんじゃないの。いや、実際は大勢の前で全裸でオナニーをしたいんじゃないの。あなたはそうしたくて仕方が無いんじゃないの。濡れたあそこから恥ずかしい液を噴き出すのを見られたいのよ」

 からかうような笑みを見せる和美さん。
本当にからかってるんじゃないかと思ってしまう。

「あの冗談で言ってるんですよね……」
「違うわ。でも、貴賓室でオナニーしてたわよね、おまけにあそこから噴き出してた。やっぱり大勢に見られるのを妄想してたんでしょ、理奈ちゃんは」

 その通りなのよねえと私は思った。大勢の金持ちの前で全裸でオナニーをさせられる性奴隷になりきってオナニーをしていた。ああ、なんてところを見られてしまったのかしら。あそこからはしたない液を噴き出して。どうしようかしら、百万円って、貧乏な私には大きい金額よね。

「……あの、絶対に私の身元とかバレないんですよね」
「もちろん、お金持ちさんたちだって、こんなSMショーに参加していたなんて知られたくはないわ」

「その……レイプされたりはないですよね」
「ないわよ、そんなことは。あなたの小説では、レイプされまくって絶頂へ何度もいってるけどねえ、主人公の理奈ちゃんは」

「……あの、お願い……虐めないでください」
「ごめん、ごめん。でも、ちょっとおしっこして、オナニーしたら百万円よ、いいバイトじゃないの」

 どうしよう、妄想と現実は違うと思う。でも、高価な記念品を壊して、そのために和美さんを困らせてしまった。あんな貴賓室でオナニーなんてバカなことをして。悪いことをしてしまった。

「……あの、本当に絶対に身バレはしないんですよね」
「大丈夫よ」

「……じゃあ、わかりました……します……」
「ありがとう、じゃあ、明日は土曜。休日だから車で朝に迎えにいくからね」

 ニコニコ顔で部屋から出て行く和美さん。
 でも、私は急に不安になってしまった。
 金持ちたちの慰み者になるんではないかと。

……………………………………………………

 仕事が終わって、家に帰って、悩んでしまう。でも、あの和美さんが、私が金持ちたちにレイプされることを強いるわけはないとは思う。でも、SMパーティってなんだろう、そんなことしてたんだ、山下家は。

 金持ちってそういうことをしてるのかしらね。私は智弘さんに相談しようかと思った。でも、そうすると貴賓室でオナニーしたことも言わなくてはならない。恥ずかしいわ、言えないわよ。

 どうしよう。

 悩んだすえ、私はスマホで智弘さんに電話した。やはり正直に会社でオナニーしたことを言おう。

「もしもし」
「あ、理奈ですけど……」
「ああ、明日は僕のマンションに来るの」

 どうしようかしら、ああ、急に恥ずかしくなってきた。それに、智弘さんは知ってるのかしら、山下家でそんな淫らなパーティが開かれてるって。和美さんからは特に口止めされなかったけど。

 それに、貴賓室でオナニー。
 ああ、やっぱり言えないわ。

「あの……」
「え、どうしたの、理奈」
「えっと、明日、女性のお友達と映画を見に行くことになって、その、智弘さんのとこへは行けないって、連絡しようと思って」
「ああ、そうなの。別にかまわないけど。食事は自分で何とかするよ」

 毎週、料理を作ってあげてたんだけどね。智弘さんに。
 もう習慣になってた。

「理奈は、日曜は来れるの」
「はい」

「じゃあ、映画楽しんで来なよ」
「そうします」

 結局、智弘さんには言えなかった。
 でも、まさか、土曜日に金持ちの性奴隷になって行方不明とかないわよね。

 不安になってしまう。

 不安を紛らすために、またオナニーしちゃおうかしら。

 そんなことを考えてしまう。
 変態ね、私。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

初体験の話

東雲
恋愛
筋金入りの年上好きな私の 誰にも言えない17歳の初体験の話。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...