私と罪を重ね

まだ侍と呼ばれる者たちがいた頃。君主を失った跡取りの京介(きょうすけ)は、その君主の生前の暴君ぶりから城を追われた。

一人で統治などできるはずもない。だが荒れ果てた領土にはびこる野党達に襲われつつも、鍛えた腕で来る日も来る日もその者達を斬っていった。

ある日、以前城に仕えていた青年、右京(うきょう)と新月の下で再会する。右京はその見た目から周りに疎まれ、窮屈ながらも城の世話人として、そして京介の良き話し相手として側にいた人間だった。

京介は見た目などで判断することはなく、むしろ右京の世話をよく焼いた。そんな京介に、日に日に右京は惹かれていく。気味悪がられている自分を綺麗だと言ってくれる京介に、心身を賭けて側で尽くしたいとの思いを抱くのだった。

君主、宗一郎(そういちろう)が亡くなるずっと前に城から追い出されてしまった右京。その間の右京の様子を知る由もなく、京介は右京の強引な要求にたじろぎながらも彼を受け入れるのであった。


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