382 / 805
本編
330
しおりを挟む
その夜は、エヴァンス令嬢として最後の夜を迎え、家族や使用人達に、今までお世話になった事や、感謝の言葉を述べ、今までの人生を振り返る。
本当にこの家族の娘として産まれて来て良かったと、平凡で、大した取り柄もない自分に溢れる程の愛情を注ぎ込んでくれて、感謝しかないと思っているリラに、家族は、嫁いでも家族でいる事に変わりは無い。姓が変わろうとも、自分達にはエドワルドと言う家族が増えただけで、離れて暮らしていても、頼ってきて良いし、甘えても良いのだと言ってくれる。
そんな家族が大好きで、思わず泣いてしまい、みっともない顔を晒していると言うのに、誰も文句を言わずに、ただ抱き締めてくれた。
リラにとっては最高の宝物で、最高の家族だ。
明日は準備に時間が掛かるのだから、早めに寝なさいと言われてベッドに潜り込むも、緊張と不安で中々寝付けないでいると、寝室に、ジーンとレベッカが現れる。
「ジーン兄様……」
「大丈夫。式はちゃんと予定通りに進むし、書き仕損じたりしないから。リラは正々堂々エドワルド殿の隣に立って、エドワルド殿を夫にすれば良いんだから。リラだって、エドワルド殿と夫婦になりたいのだろう?なら、大丈夫。喩え失敗したって、エドワルド殿がフォローしてくれるよ」
ジーンはリラの頭を優しく撫でて、額にお休みのキスを贈り、レベッカは、安眠出来るようにと良い匂いのするポプリをリラの枕元に置く。
「あたしやダンさん、双子達も一緒に嫁ぎ先に行くんですから、何の心配も要りませんよ。それに、他の侍女達だって、交代制で行くんです。会おうと思えば、いつだって皆様と会えるんですから、心配には及びませんよ」
そんなレベッカの声を聞きながら、リラは目を閉じ安心して眠りに身を委ねる。
翌朝、割りと早い時間からエヴァンス家の関係者は朝食を取り、リラの結婚式に備える。
と言っても、既に準備は万端、リラを磨きに掛かり、ウエディングドレスを着て貰い、不備が無い事を確認し、レベッカがリラの髪とメイクを手掛ける。
勿論、いつものようなキツく見えるメイクでは無く、リラの美しさと可愛さを、最大限引き立てるメイクだ。
そして、このウエディングドレスもそうだ。
ウエディングドレスはエヴァンス家の侍女である、謎の仕立屋、クレアの作で、手作りの手編み総レースで作られたヴェールに、お揃いのレースで肩や腕、首元から胸元部分までが総レースになってるシルエットが綺麗なウエディングドレスなのだ。
品の良さと可愛さを引き出し、更に透ける肩やレースで縁取られた首筋の素肌部分で、色気も上乗せされたドレスは、クレア渾身の逸品と言っても過言ではない。
そして、ウエスト部分はキュッと締まってシンプルなのに、裾は沢山の布地を使い、襞もたっぷり有るが、前部分はストンと真っ直ぐで、ドレープは、横や後ろに流れているから見た目よりも歩き易い。
とは言えこのドレスは、リラみたいに相当スタイルが良くないと着こなせないだろう。
自らが産み出した最高傑作であるリラの姿を眺め、クレアとレベッカは、大満足の笑みを浮かべた。
本当にこの家族の娘として産まれて来て良かったと、平凡で、大した取り柄もない自分に溢れる程の愛情を注ぎ込んでくれて、感謝しかないと思っているリラに、家族は、嫁いでも家族でいる事に変わりは無い。姓が変わろうとも、自分達にはエドワルドと言う家族が増えただけで、離れて暮らしていても、頼ってきて良いし、甘えても良いのだと言ってくれる。
そんな家族が大好きで、思わず泣いてしまい、みっともない顔を晒していると言うのに、誰も文句を言わずに、ただ抱き締めてくれた。
リラにとっては最高の宝物で、最高の家族だ。
明日は準備に時間が掛かるのだから、早めに寝なさいと言われてベッドに潜り込むも、緊張と不安で中々寝付けないでいると、寝室に、ジーンとレベッカが現れる。
「ジーン兄様……」
「大丈夫。式はちゃんと予定通りに進むし、書き仕損じたりしないから。リラは正々堂々エドワルド殿の隣に立って、エドワルド殿を夫にすれば良いんだから。リラだって、エドワルド殿と夫婦になりたいのだろう?なら、大丈夫。喩え失敗したって、エドワルド殿がフォローしてくれるよ」
ジーンはリラの頭を優しく撫でて、額にお休みのキスを贈り、レベッカは、安眠出来るようにと良い匂いのするポプリをリラの枕元に置く。
「あたしやダンさん、双子達も一緒に嫁ぎ先に行くんですから、何の心配も要りませんよ。それに、他の侍女達だって、交代制で行くんです。会おうと思えば、いつだって皆様と会えるんですから、心配には及びませんよ」
そんなレベッカの声を聞きながら、リラは目を閉じ安心して眠りに身を委ねる。
翌朝、割りと早い時間からエヴァンス家の関係者は朝食を取り、リラの結婚式に備える。
と言っても、既に準備は万端、リラを磨きに掛かり、ウエディングドレスを着て貰い、不備が無い事を確認し、レベッカがリラの髪とメイクを手掛ける。
勿論、いつものようなキツく見えるメイクでは無く、リラの美しさと可愛さを、最大限引き立てるメイクだ。
そして、このウエディングドレスもそうだ。
ウエディングドレスはエヴァンス家の侍女である、謎の仕立屋、クレアの作で、手作りの手編み総レースで作られたヴェールに、お揃いのレースで肩や腕、首元から胸元部分までが総レースになってるシルエットが綺麗なウエディングドレスなのだ。
品の良さと可愛さを引き出し、更に透ける肩やレースで縁取られた首筋の素肌部分で、色気も上乗せされたドレスは、クレア渾身の逸品と言っても過言ではない。
そして、ウエスト部分はキュッと締まってシンプルなのに、裾は沢山の布地を使い、襞もたっぷり有るが、前部分はストンと真っ直ぐで、ドレープは、横や後ろに流れているから見た目よりも歩き易い。
とは言えこのドレスは、リラみたいに相当スタイルが良くないと着こなせないだろう。
自らが産み出した最高傑作であるリラの姿を眺め、クレアとレベッカは、大満足の笑みを浮かべた。
55
あなたにおすすめの小説
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる