氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 エヴァンス領での結婚式は、街の中心に有る教会で、王都の大聖堂と比べれば少しだけ小さいが、他の領地と比べれば大きい部類に入り、リラもここで結婚式を挙げていた。

 そして、エヴァンス家の使用人達は、王都で貴族が挙げる結婚式と同様、家の中で花嫁姿を見る事は出来ず、教会の前で、馬車から降りて来る花嫁と、初めて合流する事が叶うのだ。

 そして街の者達も、結婚式を挙げてる最中は、教会に入る事は出来ないので、教会の前で、花嫁を一目見ようと、街の者達が押し寄せているのだ。

 これは一種のお披露目で、エヴァンス家の後ろ楯が有る事を示している。

 そして、街に住む住民達は、全員参加で、教会の式が終われば、教会の近くに有る中央広場へと主役の二人が移動するのを見守り、広場の中央で再度、二人の誓いのキスが交わされるのだ。

 サイナスは、モーラの姿を早く見たくて堪らない。

 モーラが着る、サイナスの為だけのウエディングドレス。

 クレアが用意した、着る者モーラに一番似合うドレス。

 そう考えるだけで、身体がソワソワして仕方無い。

(モーラのドレス姿、どんな感じのドレスだろう?)

 モーラのドレス姿を幾通りも想像するが、モーラはどれも似合っていると思える為に、サイナスの中では一つに纏まらず、参考にならない。

 そんな事を思っていると、モーラを乗せているだろう待ちに待った馬車が、サイナスの前へと止まった。

 中から現れたモーラはとても美しく、髪も華やかに結われ、白い生花が焦げ茶の髪を、引き立てる。

 ドレスはモーラの胸が強調されてはいるものの、上品さが際立ち、大人の魅力を纏うが、可愛らしさも残るようなドレスになっていて、モーラの魅力が存分に引き出された物となっている。

(……エドワルド様が三日間、寝室から出さずに、休暇中も、部屋に籠り切りになる理由が、嫌と言う程理解出来る。自分の為に、こんなに綺麗に着飾られた上に、周囲の男共の視線が物凄い。一人で立っている時とは全然違う。見せ付けたいのと隠したいが半々で、それ以上に早く独り占めして、この清らかで美しい姿を自分の欲で汚し、今まで以上に、自分の存在を相手に刻み付けたい。……この状態が、半日以上続くんだよなぁ。今直ぐにでも、部屋に閉じ込めたい……)

 出来ない事だと理解しわかっていても、考えずにはいられないサイナスだったが、長年執事として鍛えた表情と態度には、そんな邪な思惑を考えてるだなんて少しも漏らさずに、心底幸せそうに微笑む姿を、周囲に印象付けていた。
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