658 / 805
後日談
60
しおりを挟む
「ネイル殿も、奥方と共にこちらへどうぞ」
元々ゆったり出来るようにとゆとりの有るスペースを取ってある特別席だが、ジーンがエドワルドに、エヴァンス家と親交の有る、ネイル=グリマードが奥方と一緒に来る予定だと、理由と共に告げていた為、彼等の分のソファーも用意させていたのだ。
「有難う御座います。お久し振りですねクルルフォーン公爵。それと、遅くなりましたがご結婚おめでとう御座います」
ネイルが頭を下げると、ネイルの斜め後ろにいる女性も、慌てたように頭を下げる。
「有難うネイル殿。ネイル殿の活躍も耳にしていますが、エヴァンス家と親交が有るとは知りませんでした。もしかして、私の妻とは子供の頃に面識が有るのですか?」
エドワルドの疑問にネイルが答える。
「私は殆ど面識が無いですよ。元々人よりも、植物に興味の有る人間でしたから」
それでどうして伴侶を持ったのか、気になる所だ。
エドワルドは植物にも興味は湧かなかったが、人で唯一、リラだけは物凄く惹かれたので、奥方を自身にとってのリラなのだろうと納得したが、アシュリーは思わず奥方を見てしまい、それに気付いたネイルがニッコリと笑顔で説明する。
「妻は元々、私の幼馴染みですが、私が妻に興味を持ったのは、私と真逆だったからですよ」
「……真逆?」
「ねねねねっ、ネイル様?!」
今まで黙りを決め込んでいた奥方が声を上げる。
「私は植物を育てるのが得意ですが、妻は植物を枯らすのが得意です」
「ぎゃーっ!!言わないで言わないで言わないでぇ~~~!!!」
「凄いですよね。同じように育てていても、何故か妻のだけが枯れ易く、私が傍に居ないとどれだけ育て易い植物でも枯らしてしまうのです」
「ちょっ、ネイル様っ、言わないで下さい!これでもわたし、気にしてるんですからぁ~!!!」
涙目でネイルをガクガクと揺さぶる奥方。
「大丈夫だよ。私はそんなレイニーも好きだからね」
「嬉しいけど、嬉しく無いです~!!」
「駄目だよ、レイニー。彼等は上位貴族とその奥方だから。あまり騒ぐと迷惑になる」
「騒がせたのは誰ですか?!黙ってようと思ってたのにぃ~!」
「無理して黙る必要は無いよ。レイニーは元気が一番だから」
「そういう問題じゃ有~り~ま~せ~ん~!」
レイニーは顔を赤く染めて、ネイルに抗議したが、ネイルは飄々としている。
アシュリーはオロオロとし、自分の所為で喧嘩になったと思ったようで、小声でジーンに謝罪する。
「ももっ、申し訳有りません……」
「大丈夫だよ。これは彼等流の夫婦のじゃれ合いで、本当の喧嘩じゃないから。多分奥方の緊張を解す為の物だよ。ネイル、アーシュが困惑しているから、そろそろ止めて貰っても良いかな?」
「了解。ジーンがああ言ってるから、一旦終了。不満なら二人切りの時に聞くよ。私の妻はこのような裏表の無い者なので、ここにいらっしゃる女性陣と仲良くして頂ければ幸いです。それとレイニー、ここに居る女性陣は、君を蔑むような方々では無いから安心しなさい」
ネイルはそう言って、一般的な貴族女性が苦手な妻の後押しをした。
元々ゆったり出来るようにとゆとりの有るスペースを取ってある特別席だが、ジーンがエドワルドに、エヴァンス家と親交の有る、ネイル=グリマードが奥方と一緒に来る予定だと、理由と共に告げていた為、彼等の分のソファーも用意させていたのだ。
「有難う御座います。お久し振りですねクルルフォーン公爵。それと、遅くなりましたがご結婚おめでとう御座います」
ネイルが頭を下げると、ネイルの斜め後ろにいる女性も、慌てたように頭を下げる。
「有難うネイル殿。ネイル殿の活躍も耳にしていますが、エヴァンス家と親交が有るとは知りませんでした。もしかして、私の妻とは子供の頃に面識が有るのですか?」
エドワルドの疑問にネイルが答える。
「私は殆ど面識が無いですよ。元々人よりも、植物に興味の有る人間でしたから」
それでどうして伴侶を持ったのか、気になる所だ。
エドワルドは植物にも興味は湧かなかったが、人で唯一、リラだけは物凄く惹かれたので、奥方を自身にとってのリラなのだろうと納得したが、アシュリーは思わず奥方を見てしまい、それに気付いたネイルがニッコリと笑顔で説明する。
「妻は元々、私の幼馴染みですが、私が妻に興味を持ったのは、私と真逆だったからですよ」
「……真逆?」
「ねねねねっ、ネイル様?!」
今まで黙りを決め込んでいた奥方が声を上げる。
「私は植物を育てるのが得意ですが、妻は植物を枯らすのが得意です」
「ぎゃーっ!!言わないで言わないで言わないでぇ~~~!!!」
「凄いですよね。同じように育てていても、何故か妻のだけが枯れ易く、私が傍に居ないとどれだけ育て易い植物でも枯らしてしまうのです」
「ちょっ、ネイル様っ、言わないで下さい!これでもわたし、気にしてるんですからぁ~!!!」
涙目でネイルをガクガクと揺さぶる奥方。
「大丈夫だよ。私はそんなレイニーも好きだからね」
「嬉しいけど、嬉しく無いです~!!」
「駄目だよ、レイニー。彼等は上位貴族とその奥方だから。あまり騒ぐと迷惑になる」
「騒がせたのは誰ですか?!黙ってようと思ってたのにぃ~!」
「無理して黙る必要は無いよ。レイニーは元気が一番だから」
「そういう問題じゃ有~り~ま~せ~ん~!」
レイニーは顔を赤く染めて、ネイルに抗議したが、ネイルは飄々としている。
アシュリーはオロオロとし、自分の所為で喧嘩になったと思ったようで、小声でジーンに謝罪する。
「ももっ、申し訳有りません……」
「大丈夫だよ。これは彼等流の夫婦のじゃれ合いで、本当の喧嘩じゃないから。多分奥方の緊張を解す為の物だよ。ネイル、アーシュが困惑しているから、そろそろ止めて貰っても良いかな?」
「了解。ジーンがああ言ってるから、一旦終了。不満なら二人切りの時に聞くよ。私の妻はこのような裏表の無い者なので、ここにいらっしゃる女性陣と仲良くして頂ければ幸いです。それとレイニー、ここに居る女性陣は、君を蔑むような方々では無いから安心しなさい」
ネイルはそう言って、一般的な貴族女性が苦手な妻の後押しをした。
24
あなたにおすすめの小説
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる