出会いと別れと復讐と

カザハナ

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 カルラの言葉に、ヒューリーがエンヤを扉の前から少し押し退けてくれたので、カルラは手持ちの荷物をヒューリーに手渡す事にした。


「これ、ティファにあげる携帯食と服。後、ティファが着ていた服も。ついでだから言わせてもらうけど、旅する気あるの?」


 ズバッと切り込むカルラ。反射でカルラからの物を受け取るが、当然、いきなりそんな事を言われて驚くヒューリー。


「えっ?えっ?」

「街に住み着くにしろ、服装には気を付けてくれない?あなた達のはどうでも良いけど、ティファの服は可愛すぎよ」

「はっ、僻みかよ。お前にそんな事言われる筋合いは無い!」


 エンヤの嘲りに対し、つい本音を口にするカルラ。


「失せろ、ロリコン!じゃなくて、こんな服だとティファが狙われるから言ってるのよ。その頭に脳ミソ入ってるの?脳筋なの?煩い短気なエンヤさん」

「だっ誰がっ!!!」

「エンヤさんに決まってるじゃない。検討違いな方向に話を持っていくんだもの。違うと言う気なら、黙って聞きなさいよ。ティファが着てた服は旅に向かないの。動き難い、引っ掻け易い、汚れ易い、洗い難い、嵩張る、直ぐ着れなくなる、悪目立ちする。ねぇ、旅、嘗めてる?明らかに一般人から浮くわよね?犯罪者に狙われたいの?余所者の金持ちなんか、犯罪者にとっては獲物なだけよ?」


 カルラの嘲笑に何も言えないエンヤとヒューリー。

 (自分達がいるから大丈夫?それで人拐いに拐われたのはどこの誰かしらね?あたしに噛み付く前に、もっと色々努力しろっての。この世の中、どれだけ犯罪が横行してると思ってんだか)


「女の子なんだし着飾らせたくなる気持ちは分かるわよ。でも、そういった事は部屋でやって。服装や帽子で防犯率が変わるんだから、少しは考えなさいよね」


 (って言うか、こんな事、あたしに教えられるまで気付かないなんて、どれだけぬるま湯育ちなの?まぁ、守護者って事で、周りが色々やってたんでしょうけど、それならいっそ、旅になんか出ずにどこかで定住すれば良いのに)

 真眼持ちは神の愛し子と呼ばれ、真眼持ちが居着く街は必ずと言って良い程栄える。その為、真眼持ちは通常街から出ないが、時折真眼持ちを巡って争いが勃発する。ただ、神の愛し子、つまり神子が殺害された場合、その地は荒れ、病が蔓延し、不毛の地と成り果て、殺害した者も、非業の死を遂げる。そうならない為に、神子を最優先に守護する者を各々で付けるようになったとされている。

 だが、神子を死なせなければ良いと考える者も多く、賊や他国に狙われ、その特異性から魔力研究所まで欲しがる始末だ。だからこそ、守護者は強さや能力を重要視されるのだ。

 (強さや能力を重要視しても、常識や世間を知らず、学ぶ事もしないなんて、世の中嘗めてるとしか言い様が無いわよ。定住してるなら問題無く過ごせても、旅するには不向きだわ)
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