出会いと別れと復讐と

カザハナ

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「さて、あまりこの部屋にいると、あの人達が焦れてるかもね。そろそろ隣に戻ろうか」


 カルラの言葉にあからさまにしゅんとするティファ。

 (うわぁ、何か、物凄い罪悪感……。いやいや、でも本当に突撃されそうなんだけど。あー、でもなぁ……)


「……それとも、お迎えが来るまでここにいる?」


 ティファがパッと満面の笑顔を見せて、ブンブン頷く。

 (うん。この笑顔には逆らえないわね……)

 思わず苦笑するが、カルラもティファといるのは楽しいので、来るまでなら良いだろうと会話を続ける。と言っても、喋るのはカルラで、ティファはカルラの言葉を聞いて頷いたり、首を傾げたりする。

 ティファは表情にしろ身振り手振りにしろ、言いたい事が分かり易いので、カルラは別段気にしてない。

 (喋れないのかどうかは知らないけど、意思疏通出来てるし、問題ないわ。寧ろ、問題なのは守護者の方よ。どうにかならないのかしら、あの世間知らず共……)

 カルラの実年齢に近いだろう守護者達には、苛立ちしかいだけない。やる事なす事、子供のティファに皺寄せが来てる気がして、腹立たしい。

 道中の食の事情しかり、群がる女達の対処しかり、服選びしかり、どれを取り上げても落第点だ。

 (多分、金銭感覚も狂ってると思うわ。あの見た目で脳筋なのかしら?いや、単に考え無しなだけね、あいつ等は何せ世間知らずの非常識だもの。でも普通、まともなのが一人ぐらい居ても良いのに。寧ろ、居ろって感じよね。守護者が対象者に迷惑掛けてるって、どう考えてもおかしいわよ)

 ずっと一ヵ所に留まるなら問題は無いが、それでも世の中、何が起こるか分からない。だからこそ、能力や腕を上げる事だけに意識を向けるのではなく、世間の常識や情報を気にするべきなのだ。

 (真眼持ちの守護者達って、全員あんなのばっかなのかしら……?)

 深く考えると頭が痛くなりそうなので、カルラは考える事を放棄した。





 ティファとまったり時間を過ごしていると、扉をガンガン叩く音がする。

 こんな叩き方をするのはエンヤぐらいだろうと思いながらも一応声を上げる。


「はい」

「ここを開けろ!いつまでティファといる気だ!」

「あら、遅かったわね。お迎えが来るのを待ってただけよ。周りに迷惑だから、怒鳴るの止めてくれない?非常識よ」

「っっ!!いいから開けろ!」

「エンヤうるさい。お嬢の言う通り、迷惑だから」


 ティファに携帯食を半分持ってもらい、カルラは残りの半分とティファの服を持つ。

 扉を開けると、エンヤが相変わらず苦虫を噛み締めてるような顔でカルラを睨んでくる。


「遅い!」

「そこ邪魔。入口に立たないで。迷惑だわ」


 カルラは冷ややかに言い返す。
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