出会いと別れと復讐と

カザハナ

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キノコとかは、判別が難しかったり似た物もあるから、ヒューリー達だけで採集しない方が良いわよ。毒茸とかも結構生えてるから。あ、それは食べれるわ」


 カルラがヒューリーの足元を指差しながら、茸や木の実、野草等を次々見付け出して採集していく。


「お嬢って逞しいなぁ。頼りになるって言うか」

「あたしからすれば、あなた達の方が物凄く頼りないわよ。干し肉をそのままかじってるのが普通だとか言うわ、それを堂々と干し肉は長期保存食だ、なんてとんちんかんな返答するわ、得体の知れないあたしを旅の同行者にするわ、本当に大丈夫なの?そんなので」

「あー……面目ない。確かに僕達は旅に向いてないんだけど……。ザアイが言ってたよね、ティファは普通の子じゃないって。利用価値が高いから、知ったら利用しようとする奴等が多すぎて、一ヵ所に留まる方が危険なんだ。でも僕達だけだと旅に不安。だから、お嬢も一緒にいてくれると助かるなぁ」

「残念ながら、あたしはあたしの都合で旅してるの。あなた達に合わせる事は出来ないわ。いずれ、必ず別れる時がくるのよ。なら、深まらない内に離れるのが賢明じゃないかしら?」

「う~ん、そうかも知れないけどさ、取り敢えず、ティファの気が済むまでは付き合ってよ。エンヤは放って置いて良いから」

「気が済むまでって、いつなの?適当な事言わないで」


 (そう言ってズルズルと旅して、研究所の本部に近付かれると危険が増すだけなのよ!私との旅は危険が伴う上に、時間が経てば経つ程危険度が増すんだから、連れて行きたくないこっちの身にもなってほしいわ……)

 ただ、カルラは復讐を中断する事は出来ない。時間が限られているからだ。

 魔力研究所の連中は、貴重な能力者や手放したくない能力者に限り、特殊な薬を投与する。裏切らないよう、逃げ出さないよう、定期的に取り入れなければ幻覚、激痛を伴い、後に死を引き起こす薬を。

 その薬の原料は秘匿され、その製造は研究所でしか作られていない。

 力のある能力者が歯向かわないのは、使えると思われた時点でその薬を投与されるからだ。

 そして、薬を止められ自ら禁断症状を体験するか、投薬された他のモルモットがどうなるかを見せ付けられたかしてる為、研究所を潰そうという気にはなれない。潰せば、投薬出来ずに死に至るからだ。

 カルラのように、研究所を襲い、薬を奪って壊滅させる方法を取れる者はいない。機械を壊せる者はいても、中身を改竄出来る者なんて誰一人としていないからだ。
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