出会いと別れと復讐と

カザハナ

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「お前は、それを知ってるなら何故自らしないんだ?」


 男の言葉にカルラは自虐めいた笑みを浮かべる。


「私は循環型なのよ。他人に時間を使って寿命を迎えるぐらいなら、大元潰して死んだ方がマシよ。あいつ等に思い知らせてやる事も出来るし、自分達を神か何かだと勘違いしてる馬鹿連中は、滅べば良いのよ」


 カルラには救いが無い。元に戻る術も、逃げて生き延びる術も無いのだ。ならば、寿命を削ろうが、生死の境を彷徨おうが、大好きな家族を奪った元凶を道連れに復讐する方が良い。世の中の為だなんて言う気はない。カルラは自分の復讐の為にしてるのだから。


「今から出してあげる。念の為に言っておくけど、間違っても私に攻撃しないでね?そうなった場合、私はあなたを敵と見なし、これまであいつ等にして来た様に、あいつ等と同じ目に合わすから。どこもかしこも魔力汚染で研究所関連が閉鎖したってなるより、ここは正常に動いてるって思わせたいの。全て書き換えるし、姿も開放する人達から写すようにするから、元研究所員がモルモットになってるなんて、誰も思わないわ」

「攻撃なんかしない。が、書き換え?写す?」

「ああ、私の能力の中に、人や機械の記憶やデータを改竄するのがあるの。後、姿を変える事も出来る能力もね。最初の能力は見たでしょ?あれは他人相手でも使える能力よ」


 カルラの言葉に納得する男。記憶やデータの改竄なんて普通は出来ない。こうしていても、いつ改竄されるか、それとも既に改竄されているのかすら分からないのだから、ゾッとする。


「……俺にもその能力は使うのか?」

「あなたが私に攻撃しなければ、私に関する記憶だけは使わせて貰うわ。ここに他の研究所員が来て、過去視や記憶視、自白させる能力者がいたら困るもの。勿論、ちょっとした仕掛けも施すし罠も施すから、そいつ等もあなたが好きにすれば良いわ。なんなら今後、薬の中毒者だけでなく、壊滅させた研究所の所員をここに送り込んでも良いわよ?勿論、ちゃんと区別出来るようにはするけど、どう?」


 カルラの言葉に男は目を細める。


「ーー乗った。いくらでも送り込んでこい。どうせクズばかりだ、心を痛める相手じゃない」


 男のやる気が高いのは、カルラにとっても有難い。


「でも、本当にいいの?管理者になると言う事は、あなた自身がここの研究所員だと誤認されるのよ?知らずに来た他の研究所員からは仲間扱いされるだろうし、能力者に狙われるかも知れないわよ?」

「構わない。仲間扱いした馬鹿連中も、俺が好きにして良いんだろ?能力者には気を付けるが、俺に植え付けられた能力もあるからな。何とかなる。あいつ等に復讐出来るなら、俺は悪魔にだって魂を売ってやるさ」
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