出会いと別れと復讐と

カザハナ

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 カルラは男を牢から出し、両手足に付けられた機械を三つだけ外し、残りの一つだけ内容改竄する。

 これで彼がカルラに魔力放出しない限り、カルラが行う周りの改竄をする能力の影響を受けないだろう。彼の言葉を疑う訳ではないが、念の為に、万一を考えるのがこの世界の常識だ。

 ここは、あの守護者達のようなぬるい考え方で生き抜けるような場所では無いのだ。だからこそ、用心を怠る事は出来ない。


「私に攻撃さえしなければ、これはあなたの身を守る物よ。あなたを疑う訳じゃないけど、私は子供の頃に、同じ村の同世代の男の子に能力を見られた事があるの。口止めしたにも関わらず、周りにベラベラ話された上に、研究所員に売り飛ばされかけたの。その時は何とか助かったけど、それ以来、口約束は信用しない事にしてるのよ」


 そんなカルラの言葉に、男は当然の事だと納得出来るし、会って間もない状態で信じろとは言えない事も解っている為頷く。

 男からすれば、今以上に悪くなる事はないからカルラの手を取ったのだ。逆の立場なら、男も相手を直ぐに信用する事は出来ないだろう。

 (村にいたあの子も、顔がそこそこ整ってたから、女の子にキャーキャー言われてたわね。勝手に部屋を覗いて見てた挙げ句、絶対誰にも言わないでと言った言葉に頷いた癖に、飲食店でベラベラ喋って、たまたま村に来ていた旅の研究所員にまで話されて、連れ帰られそうになって、川に落ちて何とか難を逃れたけど、そのお陰で滅多に我が儘を言わないヒースが、自分の所為だって泣いて、暫く私から離れなかったのよね。勿論ヒースの所為じゃなく、あいつが悪いんだけど。暫くあいつとあいつの家族は村人から冷たい目で見られてたけど、当然よ。お小遣い欲しさに同じ村人なかま研究所員クズ共に売ったんだもの)

 村人同士の結束は固い。だからこそ、家族以外でカルラが魔力持ちと知っている大人は何人もいた。村人の中にも、魔力持ちが何人も存在していたのだ。そして、魔力研究所がどんな場所でどういう事をしているのかも噂で知っていたのだ。

 カルラがびしょ濡れで帰って来て、その元凶である男の子をカルラが殴り、怒鳴った事で事態を把握した村人達が、金に目が眩んだ裏切り者だと怒ったのは当然だ。

 いくらその子供が知らなかったとは言え、カルラが口止めしていた事も知れ渡り、同じ村人を売るなんてと陰口を叩かれたのは言うまでもない。
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