出会いと別れと復讐と

カザハナ

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 カルラは彼と話を詰めて、研究所を後にする。

 街に戻り、口当たりの軽い物を少し購入して食べながら宿屋に向かう。昏睡状態の間は時間が止まったような状態なので、それ程腹が減ってる状態ではないからだ。旅立ってると良いなぁと淡い期待を持っていたが、宿屋に入る前にその期待は打ち砕かれる。

 宿屋に入るまえに、カルラの荷物を背負ったティファが飛び出して来たからだ。

 どうやら、部屋から大通りを見下ろしていたのだろう。守護者達を振り切って、宿屋を飛び出し、カルラと目が合うと満面の笑みを浮かべる。その行動はカルラの弟、ヒースを思い起こす。

 (期待は打ち砕かれたけど、やっぱりティファは可愛いぃ~~~っっ!!本当、ヒースと似た行動するなぁ。私がいつもお使いから帰ると、ヒースもよくああやってよく飛び出して来てたっけ)


「ただいまティファ、荷物を有難う」


 カルラがティファにお礼を言うと、守護者達が時間差で宿屋から飛び出して来る。

 ティファはそれ程足が速いと言う訳ではないが、ティファの唐突な行動に反応が遅れたのだろう。


「何事かと思えば、お前が原因か!」

「そうだとは思ったけど、あまり僕等と離れちゃ駄目だよ、ティファ。お嬢に会いたかったのは分かるけど、目の前でティファが拐われたりしたら、お嬢だって心配するんだからね」


 (いや、その場合、私は拐った奴を攻撃するわよ。地面を隆起させるぐらい簡単だし、記憶を掻き混ぜて混乱させる事だって出来るもの)

 口に出してまで言わないが、魔力無効保持者でなければカルラの敵ではない。目の前で可愛いティファを拐われる失態なんて冒すつもりは無い。自身が拐われるなら話は別だが。


「相変わらずの過保護っぷりね。あまり束縛し過ぎると逆に嫌われるわよ?」

「煩い!ティファは解ってくれてるんだ!」

「煩いのはエンヤさんでしょ?自分の考えを押し付けない方が良いわよ?ティファはあなたじゃないんだから」

「それよりお嬢、用事は終わったんだよね?」

「ええ、ここでの用事は済んだわ。時間も時間だから、宿で一泊して次に向かうつもりよ」

「それなら僕等の隣を使えば良いよ。ザアイが泊まる時に二部屋頼んでたから」

「……あたし、相部屋は嫌なんだけど?」

「ああ、大丈夫だよ。お嬢一人で使ってくれて。その為に取った部屋だから」


 (なんて難迷惑がためいわく、無駄なお金の使い方……。隣部屋じゃなければ、気配が紛れて旅立てたかも知れないのに!満室なら、じゃあ違う宿屋に行くって言えたのに!!)

 用意周到な彼等に、カルラは本気で嫌気が増した。
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