出会いと別れと復讐と

カザハナ

文字の大きさ
74 / 116

71

しおりを挟む
 宿屋には四~五人部屋が大体角に設置され、他は二人部屋、一人部屋が階で別れている事が多い。

 ザアイが取った部屋は一人部屋の並ぶ階の角部屋と隣の一人部屋。そこにカルラを連れて行く。


「この部屋使用しなかったの?」


 使用された形跡がない部屋を案内され、カルラは疑問を口にする。

 勿論、使用済みのシーツだった場合は、宿の人間を呼んで即、取り替えて貰う気ではいたが。


「うん。お嬢の為に取ってた部屋だから。お嬢は1週間から10日って言ってたけど、早まったり相手が不在だったりする事もあるだろうからね。満室でも部屋さえ確保してれば、お嬢が帰って来た時、部屋がなかったって事にならないし、隣なら一応、異変に気付けるからね」


 部屋があって喜ぶべきか、監視されてるみたいだと怒るべきか、微妙な所だ。

 カルラはティファに預けてた荷物を宿屋の入口で受け取っていたので、手持ちの荷物と一纏めにする。

 本当なら、夕食まで寝ていたいが、そうもいかない。そんな事をすれば、何かあったのか、体調が悪いのかと、詮索され兼ねないからだ。

 魔力は半分程しかないが、カルラの消費魔力は能力と比べてもかなり少ない方になる。それに彼等がいるなら、カルラが魔力を大量に使用するような事にはならないだろう。

 (時間的に後2~3時間後で夕食だから、街中を歩いて時間を潰す方が部屋に籠ってるよりかは良いかも知れない。安全とは言い難いけど、今までティファが無事だから、研究所関連の人間がいたとしても、目は付けられてない筈。仮に付けられてた所で、私がいる分どうとでもしてみせるわ)

 一人二人の記憶改竄なら全くと言って問題ない。カルラが研究所でする改竄人数は、実験体モルモットを含めれば百を軽く越すのだから。その上機械も全て乗っ取るのだから、かなりの低燃費魔力と言えるだろう。


「ティファ、街を一緒に出歩かない?ずっと同じ建物内にいたから、まだ街を散策してないの。生鮮食品は明日の朝、出立前に買いに出るつもりだけど、一応売り場とか把握しておきたいのよね」


 カルラの言葉に直ぐに頷くティファ。その顔は、ご主人が散歩に連れて行ってくれると知った時の子犬のようだ。

 (ヤバい、何か最近ティファがお嬢の飼い犬みたいに見えてくる……)


「よし、じゃあ行こうか」

「ーーってちょっと待ったお嬢!ザアイも連れて来ないと駄目だから!今直ぐ声掛けて来るからちょっと待ってて!」


 (呼ばなくても良いのに……。寧ろ目立つから三人もいらないのになぁ)

 部屋を取ってくれてたのはザアイと聞いたが、囲い込んで逃がさないよう企むザアイに感謝する気は全くないカルラだった。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

処理中です...