出会いと別れと復讐と

カザハナ

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 宿に戻ってカルラは服の調整を全て済ませ、ティファに着せておかしな所は無いかを一通り確認する。

 早めに寝て翌朝、朝食を済ませて粉ものや燻製されたお肉と言った少し重い物を買ってから出発する。


「この道を進むって事は、お嬢、次はこの村に寄るの?」

「そうね。その村に寄れば、野宿しなくて済むわ」


 大体半日程掛かるような場所に村があると聞いていたので、先ずはそこを目指す。


「おい。それならこんなに買い込む事は無いだろうが」

「この村に宿屋は無いそうよ。農家ばかりだから納屋は借りれるけど、よく来る行商人なら未だしも、見知らぬ旅人にすんなり家を貸す訳無いでしょ。まぁ、あなた達はすんなり貸して貰えたのかも知れないけど、はっきり言って、お勧め出来ないわね。食べ物や飲み物に薬を混ぜて、眠った隙に金品強奪とか、人身売買に掛けられる事もあるから。さすがに大きな街の側でやる村は少ないけど、無いとは言い切れないもの。村人全員が盗賊だったって村もあるって聞くわ」

「そんな所もあるって知ってて一人旅してたの?!無謀過ぎるよお嬢……」

「あたしなんかより、あなた達の方が狙われるわよ。あたしはどう見てもお金を持っていそうに見えないから、人身売買される可能性が高いけど、それだって普通のどこにでもいるような小娘だから、人数を掻き集めてるぐらいの大掛かりな物でないと、拐われたりしないわね。この前のはその大掛かりな方だったけど」


 カルラ一人ならば、どうとでも出来る。狙われた所で反則級の能力を複数持ち合わせているのだ。


「あたしは兎も角、ティファやあなた達の方が狙われ易いわよ。あなた達の場合はあたしと真逆なの。あなた達は立ち振舞いがお金持ち連中と似てるわ。それに顔も良いから、金品を持ってそうだし、無くても売れば高値が付くって思われるわね。襲われる確率から言えば、あたしは一人旅の方が安全なんだけど?」


 カルラは旅の同行者である守護者、特にザアイを睨み付ける。


「ですが、私達は腕が立つので、襲われても返り討ちに出来ますよ?その点で言えば一緒にいる方が安全です」

「そうは言うけど、あたしからすれば、襲われる可能性が低い方が嬉しいわ。死体をゴロゴロ見なきゃならないなんて、何の試練よ」

「誰も殺すとは言ってないだろうが」

「あら、集団で襲って来られてもそんな事が言えるの?ティファが人質に取られそうになっても?いつでも手加減出来ると思わない方が良いわよ。相手は飢えた村人って事もあるんだから」


 カルラはエンヤの言葉を軽く嘲笑ってやった。
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