出会いと別れと復讐と

カザハナ

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 途中、昼食を作り、夕暮れ時に村へ着く。

 大きくも無く小さくも無く、と言った所か。

 男三人の容姿を見た女性陣が、家に泊まっていかないかとあちこちから声が掛けられ、全員が一緒に休みたいとカルラが告げると敵意を剥き出しに睨み付け、そんな大きな部屋は無いから、バラバラで泊まって下さいなと男達に話し掛け、カルラをその輪の中から徐々に追い出そうと、男達に近寄りながらカルラを突き飛ばそうとした時、ティファがカルラと離れたくなくて、カルラにしがみ付いて来た。

 女の手が、ティファの顔に当たると判断したカルラが、動かせる右手でその手を弾こうとした時、その手を掴み上げた者がいた。


「ーーティファに何をする気だ?」


 低い、地を這うような声で手の主に問う。声の主はエンヤだ。


「ごっ、ごめんなさい!たまたま腕を動かした先にこの子がいたの!狙った訳では無いわ!」


 女は、カルラをティファと言う名前だと勘違いしたようだが、そこは今は黙っておく。


「お前も離れるな」


 エンヤは低い声のままカルラを見て言い、女の手を離す。


「分かったわよ」


 カルラはティファを大丈夫だからとポスポス肩を叩き、不安そうにするティファに笑顔を向ける。


「……“その二人には、手荒な事はしないで下さいね”」


 ザアイの声を聞いた瞬間、周囲の女性達はピタッと騒ぐのを止め、陶酔したような顔になり、口々に分かりましたと答えていくが、カルラには、周囲が色鮮やかに見えていた。

 (まさかの魅了か。魔力持ちには殆ど効果がないけど、魔力を持たない半数以上の人間には有効って訳ね。声を媒介にする物だから、声の届く範囲は有効で、機械を通した物も有効。ただし、録音とかの時間が経過した物の場合は無効になる、か。魔力対価は体温って事は、使用し過ぎると低体温になるって事ね)

 なるべくザアイの方を見ずに、周囲を取り巻く魔力を目で追わないよう、気付かれないように、こっそりカルラは魔力の解析をしてしまう。

 これはカルラにとっての常であり、見えない振りをするのも一苦労なのだ。

 他の人に見えない魔力ものが見える。

 しかもそれは呼吸をするのと同じで、カルラにとっては日常の生活の一部であり、見えると言う事は、回避も可能。

 しかしそれは、他から見ると何もない場所を見たり、回避したりと異様でしか無い行動を取る事になるのだ。

 だから、見えても見えていない振りをする。気付かれないように注意を払う。カルラが魔力研究所に捕まった切っ掛けでもある事だから、知られないように、気付かれないようにするのが一番良いのだ。
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