出会いと別れと復讐と

カザハナ

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「バカじゃない?何が可愛いよ!あんた達、状況が分かってんの?あたし達は今、人売りに捕まって、明後日にはどこの誰とも知れない奴に身売りされるのよ?!」


 カルラは一つ溜め息を吐く。


「騒ぎを起こした所で、誰も助けに来ないって事は分かってるつもりよ」


 カルラが苛立つ少女に返答する。見た目だけなら同じ年齢に近い筈のカルラが、年齢にそぐわない大人びた口調で。

 ただ、その事が余計に少女の苛立ちを大きくしたのだが。


「何よ!大して可愛くもないのに余裕ぶっちゃって!あんたなんか安く買い叩かれて、酷い目に合えばいいんだわ!」

「大して可愛くないのは知ってるし、その事については認めるわ。でも、だからって他人に当たるのはどうかと思うけど?そんな暇があるなら体力温存して、逃げる方法でも考えたらどう?」


 逃げ道はない。何度考えても彼女等の考えた結果は変わらないだろう。


「そんなの、考えたってムダよ!どうやったって逃げられないんだから!」

「方法はある。と言っても?」


 そんなのは嘘っぱちだと叫ぼうと思ったが、カルラの落ち着きっぷりに口を閉ざす少女。そしてカルラの言葉に、その場にいた女性達がまさか、といった顔をカルラに向ける。

 その視線を一人一人返しながらカルラは告げる。


「だけど、それには皆の協力が必要なの。奴等が来てもさとられないで。今までと変わらず、売られるんだと思い込んでて」

「……どうやって逃げる気?」


 他の女性がカルラに訝しげに問い掛ける。


「それは、言えない。というかまだ知らない方がいい。もし怪しまれたとしても、知らないなら言い様がないでしょ?」


 彼女等は疑心暗鬼に囚われる。


「もし、失敗したら?あなた一人逃げる気じゃ?」

「そもそも、そんな方法無いんじゃないの?」


 彼女達がカルラを不安の目で見つめる。そんな彼女達にカルラは溜め息一つ。


「悪いけど、あたし一人ならいつでも逃げられたのよ。だけど、逃げなかった。何故だと思う?」

「え……」


 困惑する女性達にカルラが不敵な笑みを向ける。


「あいつ等に、痛い目見てもらう為よ。あなた達は知らなくていいわ、あたしが何者か、なんて」


 普通の子供には出せない迫力に、その場にいた女性達は固唾を飲む。


「今は身体を休めて明日に備えなさい」


 子供とは思えない口調と雰囲気に、誰もが口を閉ざし気圧される。

 (これで暫くは静かになるでしょうよ。そして、誰も私に深入りしたがらないわ)
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