出会いと別れと復讐と

カザハナ

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「ここでお別れね。貴女達はサルマの町に向かい、町の人達に事情を話して保護してもらいなさい。町の女性が被害に遭ってるなら、そのままにはしないでしょう。後、この子はあたしが預かるわ。この近辺の子じゃないんでしょ?この子の連れはどうなったか知らないけれど、この子一人を放り出す訳にはいかないもの。そういう事だから、あいつ等が気付いて追ってくる前に行って。直ぐにバレる事はないと思うけど、保障は出来ないから出来るだけ急いで町に入って。いいわね?」


 カルラの言葉に女性達が頷く。


「あのっ、有難う」

「あなたがいなければ私達、逃げる事も出来なかったわ」


 女性達の感謝の言葉にカルラは頷き返すが、時間を無駄にはしたくない。


「気を付けて」


 カルラは一言、彼女達に向けて別れの言葉とし、余所者の少女の手を取り反対側へと歩き出す。

 少しの間、黙々と歩いていたが、隣からぐぅ~っとお腹の鳴る音が聞こえ、隣の少女を見るとお腹に手を当てていた。

 一応出された食べ物はちゃんと食べてはいたが、少女にとっては少なかったのだろう。

 こんな可愛い子にひもじい思いはさせたくない。そう思ったカルラは足を止め、声を掛ける。


「ちょっと待ってね、確か荷物に……」


 カルラが荷物をガサゴソとかき回す。カルラのそんな姿を少女は首を傾げて見ているが。


「あ、あった。携帯食。歩きながらになっちゃうけど、これでも食べて」


 カルラがスティック状のブロッククッキーを少女に手渡すと、少女の瞳は輝き出す。

 (何か、性別も見た目も全然違うのに、生きてた頃のヒースを思い出すなぁ。多分、本質的なものが似てるんだと思うけど)

 カルラの弟は、いや、カルラの家族は、カルラが十二才の頃に亡くなった。

 村を襲った災害で、カルラは偶然村にいなかった為難を逃れたが、カルラの家族と村にいた村人全員が、その災害で犠牲になった。

 そう、カルラのように偶々村から離れていた人以外、村にいた人達は、全滅したのだ。

 生き証人すらいなかった為、何が起きたか詳細は不明だが、残された遺体の大半は、誰が誰なのか判別し辛い程の凄まじい損傷を受け、運良く判別出来る者達ですら、むごたらしい火傷の痕がその身体に刻まれ、村そのものも建物全てが壊れ、廃墟と化していた。

 偶々村を離れていた十数人程の大人達は近隣に報せ、ただひたすら家族と村人達の墓を作り続ける事しか出来なかった。

 カルラもまた、村外れに近い場所にある自分の家へと向かい、比較的判別のしやすかった家族全ての遺体を見付け、自らの手で墓を作った。

 心身共にボロボロになり、頭も心も麻痺した状態で、ただ野獣に家族を食べられない為だけに、ひたすら手足を動かしたのだ。
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