9 / 116
8
しおりを挟む
「ここでお別れね。貴女達はサルマの町に向かい、町の人達に事情を話して保護してもらいなさい。町の女性が被害に遭ってるなら、そのままにはしないでしょう。後、この子はあたしが預かるわ。この近辺の子じゃないんでしょ?この子の連れはどうなったか知らないけれど、この子一人を放り出す訳にはいかないもの。そういう事だから、あいつ等が気付いて追ってくる前に行って。直ぐにバレる事はないと思うけど、保障は出来ないから出来るだけ急いで町に入って。いいわね?」
カルラの言葉に女性達が頷く。
「あのっ、有難う」
「あなたがいなければ私達、逃げる事も出来なかったわ」
女性達の感謝の言葉にカルラは頷き返すが、時間を無駄にはしたくない。
「気を付けて」
カルラは一言、彼女達に向けて別れの言葉とし、余所者の少女の手を取り反対側へと歩き出す。
少しの間、黙々と歩いていたが、隣からぐぅ~っとお腹の鳴る音が聞こえ、隣の少女を見るとお腹に手を当てていた。
一応出された食べ物はちゃんと食べてはいたが、少女にとっては少なかったのだろう。
こんな可愛い子にひもじい思いはさせたくない。そう思ったカルラは足を止め、声を掛ける。
「ちょっと待ってね、確か荷物に……」
カルラが荷物をガサゴソとかき回す。カルラのそんな姿を少女は首を傾げて見ているが。
「あ、あった。携帯食。歩きながらになっちゃうけど、これでも食べて」
カルラがスティック状のブロッククッキーを少女に手渡すと、少女の瞳は輝き出す。
(何か、性別も見た目も全然違うのに、生きてた頃の弟を思い出すなぁ。多分、本質的なものが似てるんだと思うけど)
カルラの弟は、否、カルラの家族は、カルラが十二才の頃に亡くなった。
村を襲った災害で、カルラは偶然村にいなかった為難を逃れたが、カルラの家族と村にいた村人全員が、その災害で犠牲になった。
そう、カルラのように偶々村から離れていた人以外、村にいた人達は、全滅したのだ。
生き証人すらいなかった為、何が起きたか詳細は不明だが、残された遺体の大半は、誰が誰なのか判別し辛い程の凄まじい損傷を受け、運良く判別出来る者達ですら、惨たらしい火傷の痕がその身体に刻まれ、村そのものも建物全てが壊れ、廃墟と化していた。
偶々村を離れていた十数人程の大人達は近隣に報せ、ただひたすら家族と村人達の墓を作り続ける事しか出来なかった。
カルラもまた、村外れに近い場所にある自分の家へと向かい、比較的判別のしやすかった家族全ての遺体を見付け、自らの手で墓を作った。
心身共にボロボロになり、頭も心も麻痺した状態で、ただ野獣に家族を食べられない為だけに、ひたすら手足を動かしたのだ。
カルラの言葉に女性達が頷く。
「あのっ、有難う」
「あなたがいなければ私達、逃げる事も出来なかったわ」
女性達の感謝の言葉にカルラは頷き返すが、時間を無駄にはしたくない。
「気を付けて」
カルラは一言、彼女達に向けて別れの言葉とし、余所者の少女の手を取り反対側へと歩き出す。
少しの間、黙々と歩いていたが、隣からぐぅ~っとお腹の鳴る音が聞こえ、隣の少女を見るとお腹に手を当てていた。
一応出された食べ物はちゃんと食べてはいたが、少女にとっては少なかったのだろう。
こんな可愛い子にひもじい思いはさせたくない。そう思ったカルラは足を止め、声を掛ける。
「ちょっと待ってね、確か荷物に……」
カルラが荷物をガサゴソとかき回す。カルラのそんな姿を少女は首を傾げて見ているが。
「あ、あった。携帯食。歩きながらになっちゃうけど、これでも食べて」
カルラがスティック状のブロッククッキーを少女に手渡すと、少女の瞳は輝き出す。
(何か、性別も見た目も全然違うのに、生きてた頃の弟を思い出すなぁ。多分、本質的なものが似てるんだと思うけど)
カルラの弟は、否、カルラの家族は、カルラが十二才の頃に亡くなった。
村を襲った災害で、カルラは偶然村にいなかった為難を逃れたが、カルラの家族と村にいた村人全員が、その災害で犠牲になった。
そう、カルラのように偶々村から離れていた人以外、村にいた人達は、全滅したのだ。
生き証人すらいなかった為、何が起きたか詳細は不明だが、残された遺体の大半は、誰が誰なのか判別し辛い程の凄まじい損傷を受け、運良く判別出来る者達ですら、惨たらしい火傷の痕がその身体に刻まれ、村そのものも建物全てが壊れ、廃墟と化していた。
偶々村を離れていた十数人程の大人達は近隣に報せ、ただひたすら家族と村人達の墓を作り続ける事しか出来なかった。
カルラもまた、村外れに近い場所にある自分の家へと向かい、比較的判別のしやすかった家族全ての遺体を見付け、自らの手で墓を作った。
心身共にボロボロになり、頭も心も麻痺した状態で、ただ野獣に家族を食べられない為だけに、ひたすら手足を動かしたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる