出会いと別れと復讐と

カザハナ

文字の大きさ
15 / 116

14

しおりを挟む
 カルラの脳裏によぎるのは、あの日の出来事。

 一人での隣町へのお使いの帰り、村の様子が遠目でも異様な事が判り、村の入口へと帰り着いた時の恐怖と絶望。

 大好きな家族の無惨な死。

 (帰れるものなら帰りたいわよ!あの日の前の日常に!!)

 カルラの攻撃的な雰囲気に、三人の男達がたじろぐ。

 カルラは歯を食い縛り、自分の掌に爪を食い込ませて俯き、心を落ち着かせようと瞳を閉じ、息を吐く。と、手首が温かいもので包まれる。

 ティファと呼ばれた少女の手だ。

 瞳を開けば、そこにはとても心配そうな少女の顔がある。

 (本当、ヒースと似た行動を取るなぁ、この……)

 カルラの弟ヒースは、カルラが大好きで、よくカルラの後ろを引っ付いて来ていた。

 ただ、身体が弱く、よく熱を出したりしていた為、いつも一緒とはいかず、家の手伝いは一人でする事の方が多かったが、『身体が弱いのは、子供の頃だけ。大人になれば、きっと丈夫になるよ』と、そう励ましていたカルラ自身もヒースの事が大好きだった。

 それなのに、カルラだけが生き残った。

 何故?どうして?消化しきれない疑問だけが心に残る。

 そして、偶然知った、あの日の真相。

 事故でも天災でもなかったあの日の真実。

 その日を境にカルラは一人、復讐者へと成り変わる。

 だからこそ、別れなければならない。


「ごめんね、ティファ。あたしは貴女と一緒に行けない。ここでお別れしよう」


 カルラの言葉に目を見開き、首を大きく横に振る。絶対嫌だと言うように。

 (さて、どう説得したものか……)

 カルラに復讐を諦めるという選択肢はない。復讐の為に生きるという選択肢を選んだようなものだから。

 だからこそ、別れなきゃいけない。深く関われば関わる程に、辛い思いをする羽目になるのだから。





「それならば、一先ず次の街までご一緒させて下さい」

 ティファのあまりのなつきっぷりにザアイが折衷案を出す。

 カルラは知らなかったが、ティファと呼ばれるこの少女が、同性相手にここまでなついた事は今までなかった事だ。それ所か、守護者である彼等にすら、これ程のなつき方をした事がない。

 ティファと呼ばれる少女は、真眼の持ち主である為、本能的に解るのだ。

 カルラは決して自分ティファを利用しようとしない事。他人の評価に左右されない事。そして何より、真眼持ちであろうと何だろうと、ティファをティファとして扱い、特別視しない事。

 カルラはティファにとって、かけがえのない初めての存在だった。

 だからこそ、このまま別れるのは嫌だった。

 ティファには、一度別れてしまうと自分の能力を使ってでも、姿を変えているであろうカルラを捜し出せる自信がなかったからだ。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

処理中です...