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リシュリー⑯
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エイダンさんの背中が遠くなっていくのを見つめながら、頭の中ではエイダンさんに言われた衝撃的な言葉の数々がぐるぐる巡っている。
イースは私と、結婚してない……?
じゃあ、王都に来てからのこの一年半はなんだったの……。
どのくらい呆然としていたのか、ふと時計を見るとデイブさん達との約束の時間が近付いていた。
「そう、だ、デイブさんのとこ、行かなきゃ……」
頭は未だ、エイダンさんから告げられた真実を受け入れられず真っ白なのに、足は自然と店へと動く。
「リリーちゃん、今日は遅かったね……って、どうしたの?! 顔、真っ青だよ!」
「あの……遅くなってすみません……」
「そんなのいいから! 取りあえず中に入って座って!」
促されるまま、店員用の休憩スペースまで手を引かれ、ソファに座らされる。ぼうっとしていると、マイヤさんが果実水の入った冷たいグラスを差し出してくれた。遠慮なく頂くと、仄かな酸味がさっぱりとして心地良い。
「リリーさん、熱があるんじゃないですか? タオル冷やしてきますね」
マイラさんがそっと私の額に触れ、言った。
こんな風に他人に体調を気遣われるのは何時ぶりだろう。
マイラさんは私の両親よりずっと若い年齢なのに、なんたか実家で暮らしていた時のことが思い出された。
今なら、これまではずっと両親に守られていたんだ、と分かる。
でももう、私を守ってくれる人はいない。
お腹の子を産んだとして、両親が私にしてくれたように、この子を守ることなんて、出来っこない。
「リリーちゃん、いつから体調が悪いの?」
「………妊娠、してるんです」
気付けば、口から溢れていた。
「ええっ!? そうだったの?! 全然気付かなかったよ、おめでとう!」
「ううっ、うわああああん」
「えっ」
限界だった。驚きに目を見開きながらも、満面の笑みで祝福の言葉を口にするデイブさんの顔を見たら、これまで堰き止めていたものが一気に溢れ出し、涙となって次々頬を零れ落ちる。
一番に伝えるのはイースだって、頑なに思っていた。
だけどきっと、イースはそれを伝えても、デイブさんのようには喜んでくれない。
「ど、どうしたの?! ご、ごめん、俺何か悪いことを……」
子供のように声を上げて泣く私の目の前で、デイブさんがおろおろとしている。冷やしたタオルを片手に戻ってきたマイラさんが氷のような視線をデイブさんに送っていることには気付かず、声が枯れるまで泣き続けた。
******
「は? え、なにそいつ」
「控え目にいって、クズですね」
マイラさんから冷やしたタオルを受け取った私は、泣き腫らした目を冷やしながら、促されるままにこれまでのイースとのことを洗いざらいぶち撒けていた。
二人は私の話を遮ることなくじっと聞いてくれた。デイブさんは驚きに目を丸くし、マイラさんは人を殺めそうな雰囲気を醸している。
唯一の拠り所であったイースの心がどんどん離れていって、彼が変わってしまったことは分かっていた。
でも、私達にはこれまでずっと築き上げてきた長い歴史があるのだから、いつかきっと元に戻れる。イースも気付いてくれる、って、そう自分に言い聞かせていた。
だけど、本当はずっと誰かに聞いてほしかったんだ。
イースから冷たい態度を取られる度、鉛のように重く暗い気持ちを呑み込んで、なんとか今日までやってきた。
でも、もう駄目だ。
これ以上、頑張れない。
恋愛も、結婚も、相手があってのものだから。私一人が頑張ったって、もうどうしようもない。
「……辛かったな。それに、妊娠のことも。知らなかったから立ちっぱなしで色々やらせちゃったけど、身体辛かったんじゃない?」
「いえ、身体は大丈夫です。デイブさんは何も悪くありません。 私の方こそ、黙っていて申し訳ありませんでした。その、産むかどうかも決心がつかないのに、言えなくて。
でも、仕事の話を持ち掛けて下さった時点できちんとお話すべきでした」
「いいんだよ、そんなこと気にしないで。それより……これから、どうするの?」
私の向かい側に座る二人から、心配そうな視線が送られてくる。
思い切り泣いて、思いの丈をぶち撒けたからか、これまでグダグダと悩んでいたのが嘘のように、私の心は決まっていた。
「イースと、別れようと思います」
「そっか」
「それがリリーさんの決断なら、応援します」
「ありがとう……。あ、でも別れるっていっても、私とイースが本当に夫婦だったかどうかすら怪しいんですよね。この場合どうしたら……」
エイダンさんの話では、イースは私と結婚してないと言い張っているそうだし、王宮に確認してもその記録は無かったという。
でも、あくまでもそれはエイダンさんの話を信じるなら、ってことで、それが真実だという保証はない。
かと言って、私が王宮へ乗り込んだところで門を通してもらうことすら出来ないだろう。
頭を悩ませていると、マイラさんが突然ソファから勢いよく立ち上がった。
「あー!! もう、ほんっとムカつく! リリーさんの夫?彼氏?を悪く言いたくないけど、サイッテーじゃない?!」
「落ち着け、マイラ」
「デイブさん! だって!」
「俺もリリーちゃんには悪いけど、最低な人間だと思うよ。でもそれを今ここで言っても何も解決しないだろ」
「そりゃそうですけど……」
普段清楚でいつもニコニコしているマイラさんの豹変ぶりは、驚くと同時に、嬉しかった。彼女が私のことを思って怒ってくれているのが分かるから。
「えーと、確認だけど、リリーちゃんはその彼……イースくんだっけ? と、教会で誓約書は書いたんだよね?」
「はい」
「うろ覚えだけど……貴族が結婚する場合、確かに王宮への書類提出が必要だけど、婚姻が無事承認されたら、最初に誓約書を書いた教会にもその控えが送られてくる筈なんだよね」
「じゃあ、教会に行けば確認出来るってことですか?」
「うん、まぁその筈なんだけど……正直言って、リリーちゃん一人で行ってもまともに相手にしてもらえないだろうね」
「どうしてですかっ?!」
目を見開く私とは裏腹に、マイラさんは「あー」とどこかへ納得したような顔をしている。
「嫌な話、教会側に何のメリットもないからね」
デイブさんは少し気まずそうな顔をしながらも説明してくれた。
そもそも、教会で婚姻する人たちは毎日何組もいるから、書類を確認するだけでも一苦労。余程寄進を詰まない限り、優先順位は限りなく低いと判断され、良くて数ヶ月、悪ければ確認してもらうまでに年単位で時間がかかるだろうこと。
それに、嫌な話だが、貴族と平民の間で、こういった話はよくあるんだと。
平民を見初めた貴族や裕福な身分の人が、相手を弄ぶだけ弄んで捨てる、なんてことは身分社会ではよく聞く話で、その際に相手の平民をその気にさせるために形だけ教会で婚姻誓約書にサインすることもままあるそうだ。
相手には無事夫婦になったように告げ、甘い態度や献身を引き出し、実際には王宮に何の連絡もせず独身のまま。
たとえ子供が出来ても、婚外子に爵位の継承権や財産相続の権利は発生しないため、都合がいいのだそうだ。
騙されたと知った女性が後から教会に訴えても、貴族のような権力も金もなく、結局は黙殺されてしまう。
イースは貴族といっても殆ど平民と変わりないが、だからといってあえて身分社会にヒビを入れるようなことを権威主義的な教会が積極的に行うわけはない。
「そんな……」
「ただ、それは俺の方でなんとか出来るかも知れない」
「えっ?」
「知り合いの弁護士に頼んでみるよ。あいつなら多分なんとかしてくれると思う」
「え、でも……そんなによくしていただいても、私、お金を払えません……」
「それは後で考えよう。働きながら返してくれてもいいし……って、今更だけど、彼と別れるならうちで働いてくれるんだよね?!」
「私、雇ってもらえるんですか。迷惑ばかりかけてるのに」
「勿論だよ! 君のスキルの価値は君が思っているよりずっと高いんだよ?!」
両手を広げ力説するデイブさんの脇腹を、マイラさんが肘で突く。
(な、なんか鈍い音がしたけど平気かな……)
「も、勿論、スキルだけじゃなくて、リリーちゃん本人の人柄も好ましく思ってるよ! 子供のことがあるから無理にとは言わないけど、一緒に働いてくれたら嬉しいよ!」
「リリーさん。私もあなたが来てくれたら嬉しいわ。デイブさんの商会は皆いい人だけど、歳の近い女性がいなくて寂しかったのよね」
「デイブさん……マイラさん……」
「あ、でも田舎に帰ったりするつもりとかある?」
デイブさんの問いかけに、私は首を横に振った。
村には帰れない。両親はきっと、何も言わず受け入れてくれるだろう。でも周囲は……。
お腹の子を産むにしろ、さよならするにしろ……あの村に帰っても、私の居場所はない。
「村に、帰る気はありません。私に出来ることなら何でもします! だから、どうか私を一緒に働かせて下さい!!」
「やっと頼ってくれたね」
「さ、そうと決まったらこれからのことを一緒に考えましょう? 私達が、力になるから」
二人が当たり前のように笑うから、さっき枯れたはずの涙で視界が滲んだ。
イースは私と、結婚してない……?
じゃあ、王都に来てからのこの一年半はなんだったの……。
どのくらい呆然としていたのか、ふと時計を見るとデイブさん達との約束の時間が近付いていた。
「そう、だ、デイブさんのとこ、行かなきゃ……」
頭は未だ、エイダンさんから告げられた真実を受け入れられず真っ白なのに、足は自然と店へと動く。
「リリーちゃん、今日は遅かったね……って、どうしたの?! 顔、真っ青だよ!」
「あの……遅くなってすみません……」
「そんなのいいから! 取りあえず中に入って座って!」
促されるまま、店員用の休憩スペースまで手を引かれ、ソファに座らされる。ぼうっとしていると、マイヤさんが果実水の入った冷たいグラスを差し出してくれた。遠慮なく頂くと、仄かな酸味がさっぱりとして心地良い。
「リリーさん、熱があるんじゃないですか? タオル冷やしてきますね」
マイラさんがそっと私の額に触れ、言った。
こんな風に他人に体調を気遣われるのは何時ぶりだろう。
マイラさんは私の両親よりずっと若い年齢なのに、なんたか実家で暮らしていた時のことが思い出された。
今なら、これまではずっと両親に守られていたんだ、と分かる。
でももう、私を守ってくれる人はいない。
お腹の子を産んだとして、両親が私にしてくれたように、この子を守ることなんて、出来っこない。
「リリーちゃん、いつから体調が悪いの?」
「………妊娠、してるんです」
気付けば、口から溢れていた。
「ええっ!? そうだったの?! 全然気付かなかったよ、おめでとう!」
「ううっ、うわああああん」
「えっ」
限界だった。驚きに目を見開きながらも、満面の笑みで祝福の言葉を口にするデイブさんの顔を見たら、これまで堰き止めていたものが一気に溢れ出し、涙となって次々頬を零れ落ちる。
一番に伝えるのはイースだって、頑なに思っていた。
だけどきっと、イースはそれを伝えても、デイブさんのようには喜んでくれない。
「ど、どうしたの?! ご、ごめん、俺何か悪いことを……」
子供のように声を上げて泣く私の目の前で、デイブさんがおろおろとしている。冷やしたタオルを片手に戻ってきたマイラさんが氷のような視線をデイブさんに送っていることには気付かず、声が枯れるまで泣き続けた。
******
「は? え、なにそいつ」
「控え目にいって、クズですね」
マイラさんから冷やしたタオルを受け取った私は、泣き腫らした目を冷やしながら、促されるままにこれまでのイースとのことを洗いざらいぶち撒けていた。
二人は私の話を遮ることなくじっと聞いてくれた。デイブさんは驚きに目を丸くし、マイラさんは人を殺めそうな雰囲気を醸している。
唯一の拠り所であったイースの心がどんどん離れていって、彼が変わってしまったことは分かっていた。
でも、私達にはこれまでずっと築き上げてきた長い歴史があるのだから、いつかきっと元に戻れる。イースも気付いてくれる、って、そう自分に言い聞かせていた。
だけど、本当はずっと誰かに聞いてほしかったんだ。
イースから冷たい態度を取られる度、鉛のように重く暗い気持ちを呑み込んで、なんとか今日までやってきた。
でも、もう駄目だ。
これ以上、頑張れない。
恋愛も、結婚も、相手があってのものだから。私一人が頑張ったって、もうどうしようもない。
「……辛かったな。それに、妊娠のことも。知らなかったから立ちっぱなしで色々やらせちゃったけど、身体辛かったんじゃない?」
「いえ、身体は大丈夫です。デイブさんは何も悪くありません。 私の方こそ、黙っていて申し訳ありませんでした。その、産むかどうかも決心がつかないのに、言えなくて。
でも、仕事の話を持ち掛けて下さった時点できちんとお話すべきでした」
「いいんだよ、そんなこと気にしないで。それより……これから、どうするの?」
私の向かい側に座る二人から、心配そうな視線が送られてくる。
思い切り泣いて、思いの丈をぶち撒けたからか、これまでグダグダと悩んでいたのが嘘のように、私の心は決まっていた。
「イースと、別れようと思います」
「そっか」
「それがリリーさんの決断なら、応援します」
「ありがとう……。あ、でも別れるっていっても、私とイースが本当に夫婦だったかどうかすら怪しいんですよね。この場合どうしたら……」
エイダンさんの話では、イースは私と結婚してないと言い張っているそうだし、王宮に確認してもその記録は無かったという。
でも、あくまでもそれはエイダンさんの話を信じるなら、ってことで、それが真実だという保証はない。
かと言って、私が王宮へ乗り込んだところで門を通してもらうことすら出来ないだろう。
頭を悩ませていると、マイラさんが突然ソファから勢いよく立ち上がった。
「あー!! もう、ほんっとムカつく! リリーさんの夫?彼氏?を悪く言いたくないけど、サイッテーじゃない?!」
「落ち着け、マイラ」
「デイブさん! だって!」
「俺もリリーちゃんには悪いけど、最低な人間だと思うよ。でもそれを今ここで言っても何も解決しないだろ」
「そりゃそうですけど……」
普段清楚でいつもニコニコしているマイラさんの豹変ぶりは、驚くと同時に、嬉しかった。彼女が私のことを思って怒ってくれているのが分かるから。
「えーと、確認だけど、リリーちゃんはその彼……イースくんだっけ? と、教会で誓約書は書いたんだよね?」
「はい」
「うろ覚えだけど……貴族が結婚する場合、確かに王宮への書類提出が必要だけど、婚姻が無事承認されたら、最初に誓約書を書いた教会にもその控えが送られてくる筈なんだよね」
「じゃあ、教会に行けば確認出来るってことですか?」
「うん、まぁその筈なんだけど……正直言って、リリーちゃん一人で行ってもまともに相手にしてもらえないだろうね」
「どうしてですかっ?!」
目を見開く私とは裏腹に、マイラさんは「あー」とどこかへ納得したような顔をしている。
「嫌な話、教会側に何のメリットもないからね」
デイブさんは少し気まずそうな顔をしながらも説明してくれた。
そもそも、教会で婚姻する人たちは毎日何組もいるから、書類を確認するだけでも一苦労。余程寄進を詰まない限り、優先順位は限りなく低いと判断され、良くて数ヶ月、悪ければ確認してもらうまでに年単位で時間がかかるだろうこと。
それに、嫌な話だが、貴族と平民の間で、こういった話はよくあるんだと。
平民を見初めた貴族や裕福な身分の人が、相手を弄ぶだけ弄んで捨てる、なんてことは身分社会ではよく聞く話で、その際に相手の平民をその気にさせるために形だけ教会で婚姻誓約書にサインすることもままあるそうだ。
相手には無事夫婦になったように告げ、甘い態度や献身を引き出し、実際には王宮に何の連絡もせず独身のまま。
たとえ子供が出来ても、婚外子に爵位の継承権や財産相続の権利は発生しないため、都合がいいのだそうだ。
騙されたと知った女性が後から教会に訴えても、貴族のような権力も金もなく、結局は黙殺されてしまう。
イースは貴族といっても殆ど平民と変わりないが、だからといってあえて身分社会にヒビを入れるようなことを権威主義的な教会が積極的に行うわけはない。
「そんな……」
「ただ、それは俺の方でなんとか出来るかも知れない」
「えっ?」
「知り合いの弁護士に頼んでみるよ。あいつなら多分なんとかしてくれると思う」
「え、でも……そんなによくしていただいても、私、お金を払えません……」
「それは後で考えよう。働きながら返してくれてもいいし……って、今更だけど、彼と別れるならうちで働いてくれるんだよね?!」
「私、雇ってもらえるんですか。迷惑ばかりかけてるのに」
「勿論だよ! 君のスキルの価値は君が思っているよりずっと高いんだよ?!」
両手を広げ力説するデイブさんの脇腹を、マイラさんが肘で突く。
(な、なんか鈍い音がしたけど平気かな……)
「も、勿論、スキルだけじゃなくて、リリーちゃん本人の人柄も好ましく思ってるよ! 子供のことがあるから無理にとは言わないけど、一緒に働いてくれたら嬉しいよ!」
「リリーさん。私もあなたが来てくれたら嬉しいわ。デイブさんの商会は皆いい人だけど、歳の近い女性がいなくて寂しかったのよね」
「デイブさん……マイラさん……」
「あ、でも田舎に帰ったりするつもりとかある?」
デイブさんの問いかけに、私は首を横に振った。
村には帰れない。両親はきっと、何も言わず受け入れてくれるだろう。でも周囲は……。
お腹の子を産むにしろ、さよならするにしろ……あの村に帰っても、私の居場所はない。
「村に、帰る気はありません。私に出来ることなら何でもします! だから、どうか私を一緒に働かせて下さい!!」
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