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リシュリー㉕
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品評会から一週間経った今日、私とデイブさんは荷馬車に品評会に出したものと同じワインの入った木箱を載せ、王宮に向かっていた。王都に足を踏み入れるのは、イースと決別したあの日以来だ。
王宮が近づいてくるにつれ、門を守る騎士に不審者扱いされたことやエイダンさんに冷たく突き放された記憶が蘇ってくる。
「どうした? 顔色が悪いぞ」
デイブさんが私の顔を覗き込む。
「いえ……その、緊張しているだけなので」
「ああ、そりゃあ緊張するよなぁ。俺だって王宮に来るのは久々――」
「え? デイブさん王宮に入ったことがあるんですか?」
「あっ……いや、なんでもない! 昔、野暮用でちょっと入ったことがあるだけだ」
「へえぇ、凄いですねぇ」
デイブさんの目が泳いでいることにも気づかず、私は素直に感嘆していた。デイブさんのような立派な商会長ともなると、王宮へ出入りする機会もあるのだろう。
(でも、王宮で野暮用って……何かしら?)
不思議に思いながらも、すぐそこに門が近づいていることに気付いた私は顔を伏せた。今私たちが目の前にしている門は以前私がイースを訪ねた場所とは違う、業者や納品の荷馬車専用の門だ。デイブさんによると所謂裏方のための門と賓客などを迎え入れるための門とでは装飾から何まで違うそうだが、平民の私から見れば、立派な門はどれも同じに見える。
「ネルソン商会ですね。目的は?」
デイブさんが懐から許可証を取り出し騎士に渡す。
既視感のある光景だが、見覚えのあるデザインの騎士服を着ているのは私の知らない騎士だ。王宮への納品に同行すると決まってから、イースに遭遇してしまったらどうしよう、と密かに心配していたので内心ホッとした。
「今後ワインを納品させていただくことになりましたので、初回納品のご挨拶です」
「確認しました。中へどうぞ」
イースを訪ねた時はあんなに固く閉ざされていた門に、今日はあっさりと入れてしまった。まぁ、仕事で訪れているのだから当たり前なのだけれど――それでも、どこかビクビクして気が引けてしまうのは、イースを訪ねたあの日々に自分という存在に対する扱いの軽さを嫌という程思い知らされているからだろう。
一週間前、王都の広場で年に一度のワインの品評会が開かれた。国中のワイナリーや商会が集まり、その年のワインの出来を競うのだ。デイブさん率いるネルソン商会も勿論参加した――と言っても、エレノアの世話があるためお酒の飲めないリシュリーは留守番だったけれど。
品評会では、王族や美食家として名高い有名人などの審査員からの評価に加え、一般の民からの評価も考慮される。一般の人々に関しては早い者勝ちとなるが、それでも沢山のワインを無料で試飲出来るため、品評会は毎回沢山の人が集まり、お祭り騒ぎになるらしい。
短い期間とはいえ、ついこの間まで王都に住んでいたリシュリーがそれを噂でしか知らないのは、偏に引き籠っていたからである。
デイブさんによると、今年も例年に漏れず、品評会は大盛り上がりだったらしい。
研究を重ねた、デイブさんと作った自信作の白いワインは残念ながら最優秀賞には選ばれなかった。
だが、一般の大衆からの支持がダントツであったこと、また審査員として参加していた王女殿下が特に気に入ってくださったとのことで、特別賞という形で王家御用達の切符を手に入れた。
今後は、最優秀賞を受賞したワインと同じように、ネルソン商会のワインも取引してもらえるのだ。
デイブさんの帰宅と共にそれを知らされた商会の皆は大盛り上がりだった。当日の夜はリシュリーの両親含め、商会で働く従業員皆が集まりちょっとした宴会になった程だ。 ソファによじ登りきょとん、としていたエレノアも皆のはしゃいだ様子に思うところあったのか、楽しそうに手を叩いてニコニコと笑っていた。
自分が関わった商品が認めて貰えたことは、私にとって予想以上に嬉しいことだった。イースと暮らしていた(といってもイースは殆どいなかったけど)時の、あの閉塞感に満ちた鬱々とした日々を思うと、今の満ち足りた日々が嘘のようだ。
あの時の決断が間違いではなかったと、今は胸を張って言える。
「王宮に一緒に来て欲しい?」
翌朝、デイブさんから声を掛けられた私の頭は?で一杯だった。
何故、突然王宮に?
そして何故、私まで?
「王宮への最初の納品だからね。王家御用達の看板を掲げることを許された御礼を兼ねて、初回の納品は御礼の挨拶に伺うのが慣例なんだ。品評会は一緒に行けなかっただろう? だから、今回は一緒に行けたらと思って。リリーちゃんは功労者の一人だから」
「いえ、でも私はただの平民ですし……おこがましいと言いますか、他の従業員の方にお声掛けした方が宜しいのでは……」
「それを言うなら俺だってただの平民だよ。従業員の皆には感謝しているけど、ことこのワインに限ってはリリーちゃんのスキルあってのものだからね。君が一番相応しいと思う」
王宮には、騎士団がいる。イースやエイダンさん、そして恐らく私の顔を覚えているであろう、イースに会うべく日参していたあの時期に門を守っていた騎士の人たちに会う可能性もあるということで……正直、断ってしまいたかったけれど、デイブさんが完全な善意から言っているが分かるだけに、断りづらい。
それに、純粋に王宮内への興味がないと言ったら嘘になる。貴族だって用が無い限りはそうそう訪れるものではないと聞くから、平民の私が王宮に足を踏み入れる機会なんて、これを逃せば一生無いかも知れない。
悩んだ末、私はデイブさんと共に行くことに決めた。
■■■■■
初めて足を踏み入れた王宮は……一言で言って、別世界って感じだ。重厚そうな扉や壁に掛けられた絵画、そこかしこに置かれた調度品。一見して高級品だと分かるそれらに感動するよりも、萎縮してしまうのは私が根っからの平民だからなんだろう。
気を付けていてもあちこちキョロキョロしてしまう私とは対照的に、デイブさんは涼しい顔で案内の人に従って歩いている。デイブさんの先程の口ぶりからすると、王宮に足を運んだことは何回かあるようだったから、デイブさんにしたら慣れた風景なのかもしれない。
王宮に納品と言っても、てっきり厨房かどこかに荷物を下ろして終わりかと思っていたのだけど、中に入り許可証を見せると執事服を着た男性がやってきて、どこかへ案内されている。一応手持ちの服の中では一張羅と言っていいワンピースを着てきたけれど、荘厳な雰囲気の王宮ではどうみても場違いな気がする。
不安に思ってデイブさんを仰ぐと、「そんなに緊張しなくて平気だよ。ちょっと挨拶して帰るだけだから」って微笑みを返された。
頼もしく感じる反面、その落ち着きぶりはどこか不自然というか、違和感があるというか……デイブさんは、どうしてこんなに平然としていられるのだろうか? 商会長としての経験の豊かさに裏打ちされたものだとは思うのだけれど……いつものデイブさんとは違う気がして、私は首を傾げた。
案内された部屋にいたのは、驚いたことに王女殿下だった。平民の私が王族と同じ部屋にいるなんて信じられない。挨拶の正式な作法すら分からず、正直言って緊張しすぎて記憶がない。多分魂が半分抜けていたと思う。
王女様本人は、「正式な謁見の場でなくてごめんなさいね。とっても気に入ったワインだったから直接お渡ししたくて。でも、特定の商会だけ贔屓するのは立場上憚られるから、こんな部屋になっちゃったの」なんて眉を下げながら申し訳なさそうにしていたけど、大丈夫です、王女殿下。殿下の言う所のこんな部屋は、私たち平民にしてみたら充分すごい部屋ですから……!
王女殿下が直接下賜してくださったのは、王族御用達の看板の他、紋章入りの小さな旗のような布だった。その後は型通り(らしい)挨拶をして終わり。
結局、デイブさんが全ての受け答えをして無事終わった。私は本当にただ突っ立っていただけで、何の役にも立てず申し訳ない気持ちだったが、下手に発言して王族に無礼を働くより余程良かったと思おう。
帰り道、私は非日常すぎる諸々の衝撃でぼうっとしていたため、すれ違った明らかな貴族階級の人たちがデイブさんを見て少し驚いた顔を浮かべていたことに気付かなかった。
帰りの馬車でのデイブさんの説明によると、王族の方々にはそれぞれ紋章があって、王女殿下がくださった布の紋章は王女殿下個人のものらしい。
つまり、ネルソン商会は王女殿下お墨付きの看板を掲げることを許された、ということだ。
「それって、とっても凄いことでは?!」
「ふふ、うん。ありがたいことだね。王女殿下は天真爛漫な人だが、あれで公平を心掛けている人だから、こうして自分の紋章付きの物を下賜することはあまりないんだ。業者なら特にね。今回これを下賜してくれたっていうことは、余程あのワインが気に入ったってことなんだろうな。リリーちゃんのお陰だ、ありがとう」
まるで王女殿下と既知の間柄のような話しぶりだな、と思いつつも、デイブさんにお礼を言われたことが嬉しくて、感じた小さな違和感はすっかり頭の隅に追いやられた。
王宮が近づいてくるにつれ、門を守る騎士に不審者扱いされたことやエイダンさんに冷たく突き放された記憶が蘇ってくる。
「どうした? 顔色が悪いぞ」
デイブさんが私の顔を覗き込む。
「いえ……その、緊張しているだけなので」
「ああ、そりゃあ緊張するよなぁ。俺だって王宮に来るのは久々――」
「え? デイブさん王宮に入ったことがあるんですか?」
「あっ……いや、なんでもない! 昔、野暮用でちょっと入ったことがあるだけだ」
「へえぇ、凄いですねぇ」
デイブさんの目が泳いでいることにも気づかず、私は素直に感嘆していた。デイブさんのような立派な商会長ともなると、王宮へ出入りする機会もあるのだろう。
(でも、王宮で野暮用って……何かしら?)
不思議に思いながらも、すぐそこに門が近づいていることに気付いた私は顔を伏せた。今私たちが目の前にしている門は以前私がイースを訪ねた場所とは違う、業者や納品の荷馬車専用の門だ。デイブさんによると所謂裏方のための門と賓客などを迎え入れるための門とでは装飾から何まで違うそうだが、平民の私から見れば、立派な門はどれも同じに見える。
「ネルソン商会ですね。目的は?」
デイブさんが懐から許可証を取り出し騎士に渡す。
既視感のある光景だが、見覚えのあるデザインの騎士服を着ているのは私の知らない騎士だ。王宮への納品に同行すると決まってから、イースに遭遇してしまったらどうしよう、と密かに心配していたので内心ホッとした。
「今後ワインを納品させていただくことになりましたので、初回納品のご挨拶です」
「確認しました。中へどうぞ」
イースを訪ねた時はあんなに固く閉ざされていた門に、今日はあっさりと入れてしまった。まぁ、仕事で訪れているのだから当たり前なのだけれど――それでも、どこかビクビクして気が引けてしまうのは、イースを訪ねたあの日々に自分という存在に対する扱いの軽さを嫌という程思い知らされているからだろう。
一週間前、王都の広場で年に一度のワインの品評会が開かれた。国中のワイナリーや商会が集まり、その年のワインの出来を競うのだ。デイブさん率いるネルソン商会も勿論参加した――と言っても、エレノアの世話があるためお酒の飲めないリシュリーは留守番だったけれど。
品評会では、王族や美食家として名高い有名人などの審査員からの評価に加え、一般の民からの評価も考慮される。一般の人々に関しては早い者勝ちとなるが、それでも沢山のワインを無料で試飲出来るため、品評会は毎回沢山の人が集まり、お祭り騒ぎになるらしい。
短い期間とはいえ、ついこの間まで王都に住んでいたリシュリーがそれを噂でしか知らないのは、偏に引き籠っていたからである。
デイブさんによると、今年も例年に漏れず、品評会は大盛り上がりだったらしい。
研究を重ねた、デイブさんと作った自信作の白いワインは残念ながら最優秀賞には選ばれなかった。
だが、一般の大衆からの支持がダントツであったこと、また審査員として参加していた王女殿下が特に気に入ってくださったとのことで、特別賞という形で王家御用達の切符を手に入れた。
今後は、最優秀賞を受賞したワインと同じように、ネルソン商会のワインも取引してもらえるのだ。
デイブさんの帰宅と共にそれを知らされた商会の皆は大盛り上がりだった。当日の夜はリシュリーの両親含め、商会で働く従業員皆が集まりちょっとした宴会になった程だ。 ソファによじ登りきょとん、としていたエレノアも皆のはしゃいだ様子に思うところあったのか、楽しそうに手を叩いてニコニコと笑っていた。
自分が関わった商品が認めて貰えたことは、私にとって予想以上に嬉しいことだった。イースと暮らしていた(といってもイースは殆どいなかったけど)時の、あの閉塞感に満ちた鬱々とした日々を思うと、今の満ち足りた日々が嘘のようだ。
あの時の決断が間違いではなかったと、今は胸を張って言える。
「王宮に一緒に来て欲しい?」
翌朝、デイブさんから声を掛けられた私の頭は?で一杯だった。
何故、突然王宮に?
そして何故、私まで?
「王宮への最初の納品だからね。王家御用達の看板を掲げることを許された御礼を兼ねて、初回の納品は御礼の挨拶に伺うのが慣例なんだ。品評会は一緒に行けなかっただろう? だから、今回は一緒に行けたらと思って。リリーちゃんは功労者の一人だから」
「いえ、でも私はただの平民ですし……おこがましいと言いますか、他の従業員の方にお声掛けした方が宜しいのでは……」
「それを言うなら俺だってただの平民だよ。従業員の皆には感謝しているけど、ことこのワインに限ってはリリーちゃんのスキルあってのものだからね。君が一番相応しいと思う」
王宮には、騎士団がいる。イースやエイダンさん、そして恐らく私の顔を覚えているであろう、イースに会うべく日参していたあの時期に門を守っていた騎士の人たちに会う可能性もあるということで……正直、断ってしまいたかったけれど、デイブさんが完全な善意から言っているが分かるだけに、断りづらい。
それに、純粋に王宮内への興味がないと言ったら嘘になる。貴族だって用が無い限りはそうそう訪れるものではないと聞くから、平民の私が王宮に足を踏み入れる機会なんて、これを逃せば一生無いかも知れない。
悩んだ末、私はデイブさんと共に行くことに決めた。
■■■■■
初めて足を踏み入れた王宮は……一言で言って、別世界って感じだ。重厚そうな扉や壁に掛けられた絵画、そこかしこに置かれた調度品。一見して高級品だと分かるそれらに感動するよりも、萎縮してしまうのは私が根っからの平民だからなんだろう。
気を付けていてもあちこちキョロキョロしてしまう私とは対照的に、デイブさんは涼しい顔で案内の人に従って歩いている。デイブさんの先程の口ぶりからすると、王宮に足を運んだことは何回かあるようだったから、デイブさんにしたら慣れた風景なのかもしれない。
王宮に納品と言っても、てっきり厨房かどこかに荷物を下ろして終わりかと思っていたのだけど、中に入り許可証を見せると執事服を着た男性がやってきて、どこかへ案内されている。一応手持ちの服の中では一張羅と言っていいワンピースを着てきたけれど、荘厳な雰囲気の王宮ではどうみても場違いな気がする。
不安に思ってデイブさんを仰ぐと、「そんなに緊張しなくて平気だよ。ちょっと挨拶して帰るだけだから」って微笑みを返された。
頼もしく感じる反面、その落ち着きぶりはどこか不自然というか、違和感があるというか……デイブさんは、どうしてこんなに平然としていられるのだろうか? 商会長としての経験の豊かさに裏打ちされたものだとは思うのだけれど……いつものデイブさんとは違う気がして、私は首を傾げた。
案内された部屋にいたのは、驚いたことに王女殿下だった。平民の私が王族と同じ部屋にいるなんて信じられない。挨拶の正式な作法すら分からず、正直言って緊張しすぎて記憶がない。多分魂が半分抜けていたと思う。
王女様本人は、「正式な謁見の場でなくてごめんなさいね。とっても気に入ったワインだったから直接お渡ししたくて。でも、特定の商会だけ贔屓するのは立場上憚られるから、こんな部屋になっちゃったの」なんて眉を下げながら申し訳なさそうにしていたけど、大丈夫です、王女殿下。殿下の言う所のこんな部屋は、私たち平民にしてみたら充分すごい部屋ですから……!
王女殿下が直接下賜してくださったのは、王族御用達の看板の他、紋章入りの小さな旗のような布だった。その後は型通り(らしい)挨拶をして終わり。
結局、デイブさんが全ての受け答えをして無事終わった。私は本当にただ突っ立っていただけで、何の役にも立てず申し訳ない気持ちだったが、下手に発言して王族に無礼を働くより余程良かったと思おう。
帰り道、私は非日常すぎる諸々の衝撃でぼうっとしていたため、すれ違った明らかな貴族階級の人たちがデイブさんを見て少し驚いた顔を浮かべていたことに気付かなかった。
帰りの馬車でのデイブさんの説明によると、王族の方々にはそれぞれ紋章があって、王女殿下がくださった布の紋章は王女殿下個人のものらしい。
つまり、ネルソン商会は王女殿下お墨付きの看板を掲げることを許された、ということだ。
「それって、とっても凄いことでは?!」
「ふふ、うん。ありがたいことだね。王女殿下は天真爛漫な人だが、あれで公平を心掛けている人だから、こうして自分の紋章付きの物を下賜することはあまりないんだ。業者なら特にね。今回これを下賜してくれたっていうことは、余程あのワインが気に入ったってことなんだろうな。リリーちゃんのお陰だ、ありがとう」
まるで王女殿下と既知の間柄のような話しぶりだな、と思いつつも、デイブさんにお礼を言われたことが嬉しくて、感じた小さな違和感はすっかり頭の隅に追いやられた。
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