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第5章★月読教典★
★閑話8★「あと4人」
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カルラ「ふ~、これで青薔薇の刻印の候補は4人に絞られたか」
亘「外れた3人は誰なんだよ? おれとカルラと?」
菫「リョウマ様」
亘「リョウマ? あの権力至上主義者が、よく女中のお前に裸を晒したな。誘惑でもして寝たのか?」
菫「リョウマ様に正体バラしました。権力至上主義ならその方が話が通じそうな方でしたから」
亘「まじかよお前……天界国に潜入するおれたちのことは誰にも内緒にして、母さんを救い出そうと誓い合ったあの日の純真なおれの心よ……」
菫「ごめんね」
亘「だから女は信用できないんだ。すぐに情に流されて裏切る」
カルラ「ヒヒっ、優しいんだよ、菫は」
亘「優しいったって、こんなに天界国で仲間……心を通じ合うやつ作って、最終裏切れるのか?」
菫「裏切る?」
亘「天界国を滅ぼせるか、と問うている」
菫「そうですね……」
亘「天界国は倭国の敵だ。自国民を不条理に殺された。リョウマなど、父さんの首を取った男だ。おれは正直、リョウマに対して穏やかならざる感情を抱いている。そんな男に、良く心を許せるな、と言ったんだ」
菫「うーん……なんて言えば良いかな……」
カルラ「……」
菫「わたしは、戦争で憎むべきは結果ではなく原因だと思うのです。まずその原因を取り除けなかった両国の為政者のせい。それ以外は全て被害者。つまりわたしは、倭国王族……わたしや亘、父のせいだと思っています」
亘「ふむ、なるほど? だからリョウマは悪くない、憎まないということか」
菫「むしろなぜリョウマ様を憎むのか、まずわかりません。彼は上からの命令で父を討った。命令で殺めたのに、リョウマ様を恨む意味がわからないのです」
亘「ふー。お前は昔から感情が希薄だったからな。肉親である父を殺されても涙も流さねー。一滴も泣かないんだ。冷たいだろ、カルラ」
カルラ「冷たくないよ。菫は国民のために涙を流せる人なんだよ。感情が希薄なんかじゃないよ……」
亘「……おれは家族を殺されて泣いた。カルラは戦争のとき、どうだった?」
カルラ「妹が死んだと思ってたとき、泣いた」
亘「ほらな。共感する力はあるのに、自分のことに対して希薄なんだ」
菫「泣いてないから悲しくないということはないですよ」
亘「もういいや。それより青薔薇の刻印の候補、どうやって調べるつもりなんだ? リョウマやおれみたいに追い剥ぎみたいな真似するのか?」
菫「ヒサメ様はあなたが誘惑して寝て確かめたら?」
亘「はあ? お前っ、何を言ってるんだ、このアバズレめ!」
菫「はいはい、アバズレね……」
カルラ「? なんでこっち見るの」
菫「……いえ」
亘「全く、とんでもねえな。なるほどな、お前はゼンタやコウキ、御雷槌と寝て確かめるんだな」
菫「亘が初めに言ったのよ、リョウマを誘惑でもして寝たのかって。だから仕返しのつもりだったんですけど……」
亘「おれは無理。カルラ、菫のためだからヒサメと寝てこいよ」
カルラ「えっ、俺? あ……あの、その……俺、ヒサメに嫌われてるし……俺は……えっと、菫しか……えっと……あの、菫じゃないと、嫌で……」
菫「?」
亘「……何言ってるか聞こえねえよ、小さすぎて……」
カルラ「菫は……コウキと寝たいの?」
菫&亘「ブーっ」
カルラ「えっ、どうしたの急に吹き出して。大丈夫?」
亘「カルラの口から寝るなんて言葉が出るなんて……」
菫「寝たいなんてまさか。そのために死体になりたくないです……」
カルラ(あっ、そうだった)
亘「えっ! 何だよ菫。コウキの屍体愛好癖も知ってるのかよ」
カルラ「俺が教えた。ダメだった?」
亘「いや、だめじゃねえけど、今後あからさまに不自然にコウキを避けたりしねえか?」
菫「大丈夫よ」
カルラ「あの、その……菫のことは、俺が守……」
亘「コウキが菫にこれ以上興味を持たないようにして調べないとな、カルラ?」
カルラ「あっ、うん……」
菫「亘は誰が刻印の持ち主だと思います?」
亘「そうだな……わからねーな。ゼンタは怪しいぜ。あいつ天満納言のこと尊敬してるから」
菫「そうなんだ」
カルラ「菫はヒサメかコウキが怪しいと思ってるんだよな」
亘「へー、なんで?」
菫「天満納言が母を気に入っているなら、女性か、絶対に手を出さないとわかっている人に不在時の世話を任せると思いました」
亘「ああ、そうかなるほど。だがヒサメは聖女の末裔だから、下手すれば裸なんて見るの難しいだろ」
菫「口説いてみてよ」
亘「てめー……根に持つな……」
菫「ああ、亘は一途なんでしたっけ? 誰か想ってる方がいるんでしたっけ」
亘「あー、そうそう。だから無理」
カルラ「なんか適当な返事……」
亘「……」
カルラ「え、何?」
亘「何でもねーよ。まあとにかく、青薔薇の刻印の持ち主を探しつつ、邪神国偵察……いや、裕リョウマアコヤ奪還か」
カルラ「そうだね~」
菫「……気を付けてね、2人共」
亘「菫もな」
☆終わり☆
亘「外れた3人は誰なんだよ? おれとカルラと?」
菫「リョウマ様」
亘「リョウマ? あの権力至上主義者が、よく女中のお前に裸を晒したな。誘惑でもして寝たのか?」
菫「リョウマ様に正体バラしました。権力至上主義ならその方が話が通じそうな方でしたから」
亘「まじかよお前……天界国に潜入するおれたちのことは誰にも内緒にして、母さんを救い出そうと誓い合ったあの日の純真なおれの心よ……」
菫「ごめんね」
亘「だから女は信用できないんだ。すぐに情に流されて裏切る」
カルラ「ヒヒっ、優しいんだよ、菫は」
亘「優しいったって、こんなに天界国で仲間……心を通じ合うやつ作って、最終裏切れるのか?」
菫「裏切る?」
亘「天界国を滅ぼせるか、と問うている」
菫「そうですね……」
亘「天界国は倭国の敵だ。自国民を不条理に殺された。リョウマなど、父さんの首を取った男だ。おれは正直、リョウマに対して穏やかならざる感情を抱いている。そんな男に、良く心を許せるな、と言ったんだ」
菫「うーん……なんて言えば良いかな……」
カルラ「……」
菫「わたしは、戦争で憎むべきは結果ではなく原因だと思うのです。まずその原因を取り除けなかった両国の為政者のせい。それ以外は全て被害者。つまりわたしは、倭国王族……わたしや亘、父のせいだと思っています」
亘「ふむ、なるほど? だからリョウマは悪くない、憎まないということか」
菫「むしろなぜリョウマ様を憎むのか、まずわかりません。彼は上からの命令で父を討った。命令で殺めたのに、リョウマ様を恨む意味がわからないのです」
亘「ふー。お前は昔から感情が希薄だったからな。肉親である父を殺されても涙も流さねー。一滴も泣かないんだ。冷たいだろ、カルラ」
カルラ「冷たくないよ。菫は国民のために涙を流せる人なんだよ。感情が希薄なんかじゃないよ……」
亘「……おれは家族を殺されて泣いた。カルラは戦争のとき、どうだった?」
カルラ「妹が死んだと思ってたとき、泣いた」
亘「ほらな。共感する力はあるのに、自分のことに対して希薄なんだ」
菫「泣いてないから悲しくないということはないですよ」
亘「もういいや。それより青薔薇の刻印の候補、どうやって調べるつもりなんだ? リョウマやおれみたいに追い剥ぎみたいな真似するのか?」
菫「ヒサメ様はあなたが誘惑して寝て確かめたら?」
亘「はあ? お前っ、何を言ってるんだ、このアバズレめ!」
菫「はいはい、アバズレね……」
カルラ「? なんでこっち見るの」
菫「……いえ」
亘「全く、とんでもねえな。なるほどな、お前はゼンタやコウキ、御雷槌と寝て確かめるんだな」
菫「亘が初めに言ったのよ、リョウマを誘惑でもして寝たのかって。だから仕返しのつもりだったんですけど……」
亘「おれは無理。カルラ、菫のためだからヒサメと寝てこいよ」
カルラ「えっ、俺? あ……あの、その……俺、ヒサメに嫌われてるし……俺は……えっと、菫しか……えっと……あの、菫じゃないと、嫌で……」
菫「?」
亘「……何言ってるか聞こえねえよ、小さすぎて……」
カルラ「菫は……コウキと寝たいの?」
菫&亘「ブーっ」
カルラ「えっ、どうしたの急に吹き出して。大丈夫?」
亘「カルラの口から寝るなんて言葉が出るなんて……」
菫「寝たいなんてまさか。そのために死体になりたくないです……」
カルラ(あっ、そうだった)
亘「えっ! 何だよ菫。コウキの屍体愛好癖も知ってるのかよ」
カルラ「俺が教えた。ダメだった?」
亘「いや、だめじゃねえけど、今後あからさまに不自然にコウキを避けたりしねえか?」
菫「大丈夫よ」
カルラ「あの、その……菫のことは、俺が守……」
亘「コウキが菫にこれ以上興味を持たないようにして調べないとな、カルラ?」
カルラ「あっ、うん……」
菫「亘は誰が刻印の持ち主だと思います?」
亘「そうだな……わからねーな。ゼンタは怪しいぜ。あいつ天満納言のこと尊敬してるから」
菫「そうなんだ」
カルラ「菫はヒサメかコウキが怪しいと思ってるんだよな」
亘「へー、なんで?」
菫「天満納言が母を気に入っているなら、女性か、絶対に手を出さないとわかっている人に不在時の世話を任せると思いました」
亘「ああ、そうかなるほど。だがヒサメは聖女の末裔だから、下手すれば裸なんて見るの難しいだろ」
菫「口説いてみてよ」
亘「てめー……根に持つな……」
菫「ああ、亘は一途なんでしたっけ? 誰か想ってる方がいるんでしたっけ」
亘「あー、そうそう。だから無理」
カルラ「なんか適当な返事……」
亘「……」
カルラ「え、何?」
亘「何でもねーよ。まあとにかく、青薔薇の刻印の持ち主を探しつつ、邪神国偵察……いや、裕リョウマアコヤ奪還か」
カルラ「そうだね~」
菫「……気を付けてね、2人共」
亘「菫もな」
☆終わり☆
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