元悪役令嬢は何でも屋になる。

葉叶

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新しい依頼 X-01

クリスside

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用具小屋から男が出ていくのと同時に中に入ると
服は乱れ肌には白い体液がついた男の子が居た。
この子がジルニア・ドンスター…。

何だろ、エルに近い顔の整い方だなぁ…

ジルニア・ドンスターは落ちていた布で乱雑に体液を拭い布団と思わしき布の下から1冊のノートを取り出し何やら書き始めた。

バレないように書いてるモノを覗くとそこには今まで不審死で死んだ者達の名前や死に方、全てが記されていた。
新しく書いてるのは今の男の名前だろうか?

「全部…っ全部消えちゃえばいいのにっ…」

全てを恨み、世界に絶望した声。
悲しみ…嘆き…諦める。
俺はこの声を良く知ってる。
何度も…何度も聞いた事がある。

泣いてないのに泣いているような顔。
ジルニア・ドンスターと同じ顔を俺は何度も見た。
唇を強く噛み必死に耐えるその姿を…俺は何度も見てきた。

「…っ何で…何でっ…僕だけっ……!」

ノートを閉じて表紙をグチャグチャに塗りつぶしていくジルニア・ドンスター

彼が意識的に能力を使ってるのかまだわからないし
なんの能力かもわかってない。予測はたてれてもあくまで予測。
確証なんて何もない。

ただ、今わかるのは彼が危険な綱渡りをしているという事。
生きるか、死ぬかグラグラと揺れながら死ぬか生きるか悩んでる。

収穫的にはまずまずだ。
扉の鍵がかかってない今、此処から出ていくのが最善。
わかっているけど…
それでも俺はジルニア・ドンスターを置いていけなかった。

カチャリと鍵がかかる音が聞こえた。

俺はポケットに入れておいた紙切れに今の現状や能力の予測、そして俺がこれからやる事を書いた。
この紙は2つで一つ。
片方に書いた事はもう片方にも書かれる。
コイツの片割れはハルが持ってる。

軽く深呼吸して

「なぁ、何で泣かねぇの?」

エルの魔法を消して話しかけた。
ジルニア・ドンスターは突然現れた俺に驚き慌ててノートを隠した。

「だ、誰だっ
どうやって此処にっ!!」

「俺はクリス。
普通に扉から入ってきたよ。
俺はお前の質問に答えたんだからお前も俺の質問に答えてくれよ。
何で泣かねぇの?泣きたいなら泣けばいいじゃん」

「っ…泣いたって何も変わらないじゃないか 
泣いたってあいつ等を喜ばせるだけだっ!
だから俺はっ…!」

言いかけた言葉をのみこみぎゅうっと拳を握った

「殺した…って言いたかった?」

ジルニア・ドンスターの前に座り尋ねれば口をパクパクさせて信じられないものでも見るように俺を見た。
この感じじゃ無意識に使ってる訳じゃないのか。
って事はコントロールは出来てんだな。

「何でそんな事を知ってるかって?
最近この街で不審死が相次いで起きていた。
死に方も住まいもバラバラなそいつらには共通点が一個だけあってな、皆お前と肉体的な接触をしてるんだよ」

「っ…何が言いたい」

キッと俺を睨みつける

「ん?別に?何でやったのかなーって気になっただけ」

「…んなの…そんなの決まってるじゃないかっ!
僕を苦しめた奴を苦しめて何が悪い!
何で僕だけが苦しまなくちゃいけないっ!
僕は何もしてないのに…理不尽じゃないかっ!!
復讐して何が悪い!!」

怒りに満ちた目で俺を睨むジルニア・ドンスター
その目の奥には嘆き悲しむ姿が見えた

「別に悪いとは思わない。
復讐したいならすればいいと思う。
殺したいなら殺せばいい。
ただ、それなら何でここに閉じ込めた奴を殺さないのか気になってさ」

「…っ僕だって…殺せるならっ…殺してる!
あの女が来てから全部がおかしくなった!
僕を庇った使用人は皆殺された!使用人達の首が腐るまで僕の目の前に飾った…っ
お父様だって…帰ってこなくなった…っ」

目はウルウルしてるのに歯を食いしばり必死に泣くのを堪える

「それは、お前の能力の発動条件がお前の体液との接触だからか?」

「…そこまで知ってるのかよ… 
あいつ等は常に結界魔法の魔法具をつけてる。
体液を接触させようとしても弾かれて出来やしない。」

あの魔法具って結構なお値段するんじゃなかったっけ?
Diabloじゃ魔法具班が手作りしてるからお金はかかってねぇけどさ

「なるほどね。
なぁ、お前はこれからずっとここで生きていくの?
お前がどれだけ使用人を殺したってお前をここに閉じこめた奴は美味い飯食って綺麗な服着て幸せに暮らしてる。
お前、それでいいの?」

「っ…いいわけ無い!
だけど、どうしようないじゃないか!
鍵が開くのは使用人が来ている間だけだ
体力も腕力も今の僕にはない
そんな僕が大人を退けて逃げられると思うか…?」

そんなの…できる訳ないと言って下を向いた

カチャンッ

その時鍵が開く音がした。
ジルニア・ドンスターは慌てて俺を隅に追いやり布を被せた

俺を庇おうとしてるのか?

ガチャンっ

扉が開き誰かが中に入って来た
あぁ、この魔力はよく知ってる。
どうやら待っていてはくれなかったみたいだ

「私が貴方の願い叶えましょう」

凛とした声の持ち主は今きっと妖艶に微笑んでいるのだろう。

「もう、待っててって書いたのに…」

布を外せば無事な俺を見て少しホッとしてるハルが居た

「充分待ったわ
家族を危険には晒したくないのよ。」

「これでも我慢した方だから許してあげてよクリス。
ハル、この子わかってないみたいだし説明してあげてよ」

家族…その言葉は何度言われても少しこしょぐったい。
あの日血の契を交わしたあの日から俺達は家族となった。
お互いがお互いを支え合うと誓った。
Diabloは、俺達の様に人の輪からハジカれてしまった者達の為に作られた。
一人じゃないんだと教える為に。
最初は俺達だけだった。
いつからか少しずつメンバーが増えて行き今では数百人はいる。
メンバー全員が俺達を信頼し崇拝している。
まぁ、ここまで来るのに沢山の事を乗り越えてきたけど。

俺はきっとこれからも…何度でも命を賭ける。
それは、ハルとエルの為に…
だけどその度にハル達はこうやって俺を助けに来るんだろうなぁ

「あー!もう!ハル説明下手過ぎな!
俺が説明するから下がってなさい!」

「そ、そんなに下手じゃないわよ!」

やっとここまで回復したんだ。
もう二度と壊されない様に、その為なら俺は何度でもこの手を血に染めるよ。

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