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17章 王族としての生活
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私は奥の部屋へとローザ様に拉致されて行った。
あれよあれよと言う間に、お仕着せを脱がされて、メジャーを持ったローザ様にあちこち測られる。
いつの間にか、ローザ様の周りには、助手らしき女性が3人ほどやってきて、ローザ様を手伝っていた。
腕を上げたり背中を向けたり。
あっを向いて、こっちを向いて、くるくるくる。
ありとあらゆるデータを取られ、やっとワンピースを着ても良いと、ローザ様からお許しがでた。
ドレスって、こんなに測らないと作れないものなのかしら…。初めてなのでわからないけれど。
少し疲れた私が紺のワンピースに袖を通すと、ローザ様はちらっと私の服を見た。
ワンピースを着終わって一番広い部屋に行くと、ジュディも来ていて、応接セットにお茶の用意がしてあって、ほっこりする。
マリーがローザ様をソファに促すと、ローザ様はにっこりと微笑んでソファに座った。
マリーが紅茶を入れてくれる。
ローザ様は一口飲んで喉を潤してから、私に向き合った。
「シャーロット殿下は、どんなタイプのドレスがお好きですか?」
ローザ様に言われて、少し考えてみる。
うーん。
今までドレスはお下がりで、選べるものではなかったから、検討もつかないわ。
私が答えられずに悩んでいると、ローザ様はにこりと笑う。「では、今日の午後にでもいくつか届けさせますのでお気に召したものがあれば、おしえていただけると嬉しいですわ」
「わかりました」
私がそう返事をすると、ローザ様は満足げに頷いて帰って行った。
その日の午後。
見事なドレスが3着届いた。
白いフワリとしたレースが素敵なドレスに、青い光沢のある生地で作られたドレス、淡いピンクに腰の横にリボンのついたドレス。
マリーはトルソーにドレスを着せて私に見せた。
ジュディもドレスを見て目をキラキラさせている。
「姫様~、素敵なドレスですよ。このピンクなんか、姫様に似合いそうですね。早く着て見せてくださいよ」
ジュディは私の着るドレスのアレンジをいつもやってくれていたので、新しいドレスは気になるようだった。
「マリー、この中から1着選べばいいのかしら?」
私の問いに、マリーは首を傾げた。
「3着とも、もう代金はお支払い済みですよ? 全部姫様のものです」
え…?
私は1人しかいないのに、3着も買うの?
「また舞踏会でもあるの?」
「いいえ。こちらにあるのは普段着ですよ」
「普段着……」
どう見ても、普段着とは思えない。
飾りはたくさん付いているし、生地も高そうだし。
私が、じーっとドレスを眺めていると、何かを察したジュディが呆れたように言う。
「もしかして、姫様「高そう」とか思っていませんか?思い出してくださいよ。セリーヌ様はもっと豪華なドレスを普段着にしていたじゃないですか」
ジュディの言葉に私は記憶をたどる。
ボナールにいた頃の、セリーヌ様。あと王妃様。
うん。確かにもっと豪華なドレスを普段着ていた。
「そうね、わかったわ。マリー、ちなみになんだけど、このドレスたちっていくらかしら?」
マリーはあきれたように私を見た。
「姫様。値段を聞くのはマナー違反ですよ。ライリー殿下がご用意くださったものを」
「で、でも、気になるんですもの」
私が下を向くと、ジュディが助け船を出してくれる。
「かあさん、仕方ないわよ。姫様は今まであのワンピースで過ごされていたのよ。いきなり普通の王族みたいに振る舞えっていうのは酷だわ」
ジュディがそう言うと、マリーは嫌々ドレスの値段を教えてくれた。
「そっちのピンクは銀貨、」
「あ、待ってマリー。私、やっと自分で買い物するようになって、お金の価値を知ったの。できればランで教えてほしいわ」
銀貨で言われても、単位が大きくて想像ができないもの。
「では、このピンクは13万ランです。あちらはレースがありますので16万ラン。青い方は14万ランです。これらは既製品を手直ししたものなので、そう高くはない方ですよ」
じゅっ、16万ラン!?
私が一生懸命クッキーを焼いても、320袋売れないとこのドレスは買えないんだ。
1袋500ランで売っていたもの。
私が口を開けてドレスを眺めていると、マリーは優しく微笑んだ。
「姫様、ドレスの価値がわかるのはいいことです。ましてや、このドレス1着買うのに、税金がいくら使われているのか考えることも、大変素晴らしいと思います。ですがあんまりみすぼらしいドレスを着て振舞うのは、国の顔としては良いことではありません。他国は、王族を見てその国の雰囲気を掴みます。ですから、ある程度の嗜みとして、ドレスを身につけてください」
そうか。
私があんまりみすぼらしい姿でいると、ランバラルドの国民が他国からバカにされてしまうのね。
「わかりました。私、このドレスを着ます!」
そうして、青いドレスを試着していると、ライリー殿下がちょうどよく訪ねてきて「オレの贈ったドレスを、シャーロットが着ている!」と、やたら感動していた。
あれよあれよと言う間に、お仕着せを脱がされて、メジャーを持ったローザ様にあちこち測られる。
いつの間にか、ローザ様の周りには、助手らしき女性が3人ほどやってきて、ローザ様を手伝っていた。
腕を上げたり背中を向けたり。
あっを向いて、こっちを向いて、くるくるくる。
ありとあらゆるデータを取られ、やっとワンピースを着ても良いと、ローザ様からお許しがでた。
ドレスって、こんなに測らないと作れないものなのかしら…。初めてなのでわからないけれど。
少し疲れた私が紺のワンピースに袖を通すと、ローザ様はちらっと私の服を見た。
ワンピースを着終わって一番広い部屋に行くと、ジュディも来ていて、応接セットにお茶の用意がしてあって、ほっこりする。
マリーがローザ様をソファに促すと、ローザ様はにっこりと微笑んでソファに座った。
マリーが紅茶を入れてくれる。
ローザ様は一口飲んで喉を潤してから、私に向き合った。
「シャーロット殿下は、どんなタイプのドレスがお好きですか?」
ローザ様に言われて、少し考えてみる。
うーん。
今までドレスはお下がりで、選べるものではなかったから、検討もつかないわ。
私が答えられずに悩んでいると、ローザ様はにこりと笑う。「では、今日の午後にでもいくつか届けさせますのでお気に召したものがあれば、おしえていただけると嬉しいですわ」
「わかりました」
私がそう返事をすると、ローザ様は満足げに頷いて帰って行った。
その日の午後。
見事なドレスが3着届いた。
白いフワリとしたレースが素敵なドレスに、青い光沢のある生地で作られたドレス、淡いピンクに腰の横にリボンのついたドレス。
マリーはトルソーにドレスを着せて私に見せた。
ジュディもドレスを見て目をキラキラさせている。
「姫様~、素敵なドレスですよ。このピンクなんか、姫様に似合いそうですね。早く着て見せてくださいよ」
ジュディは私の着るドレスのアレンジをいつもやってくれていたので、新しいドレスは気になるようだった。
「マリー、この中から1着選べばいいのかしら?」
私の問いに、マリーは首を傾げた。
「3着とも、もう代金はお支払い済みですよ? 全部姫様のものです」
え…?
私は1人しかいないのに、3着も買うの?
「また舞踏会でもあるの?」
「いいえ。こちらにあるのは普段着ですよ」
「普段着……」
どう見ても、普段着とは思えない。
飾りはたくさん付いているし、生地も高そうだし。
私が、じーっとドレスを眺めていると、何かを察したジュディが呆れたように言う。
「もしかして、姫様「高そう」とか思っていませんか?思い出してくださいよ。セリーヌ様はもっと豪華なドレスを普段着にしていたじゃないですか」
ジュディの言葉に私は記憶をたどる。
ボナールにいた頃の、セリーヌ様。あと王妃様。
うん。確かにもっと豪華なドレスを普段着ていた。
「そうね、わかったわ。マリー、ちなみになんだけど、このドレスたちっていくらかしら?」
マリーはあきれたように私を見た。
「姫様。値段を聞くのはマナー違反ですよ。ライリー殿下がご用意くださったものを」
「で、でも、気になるんですもの」
私が下を向くと、ジュディが助け船を出してくれる。
「かあさん、仕方ないわよ。姫様は今まであのワンピースで過ごされていたのよ。いきなり普通の王族みたいに振る舞えっていうのは酷だわ」
ジュディがそう言うと、マリーは嫌々ドレスの値段を教えてくれた。
「そっちのピンクは銀貨、」
「あ、待ってマリー。私、やっと自分で買い物するようになって、お金の価値を知ったの。できればランで教えてほしいわ」
銀貨で言われても、単位が大きくて想像ができないもの。
「では、このピンクは13万ランです。あちらはレースがありますので16万ラン。青い方は14万ランです。これらは既製品を手直ししたものなので、そう高くはない方ですよ」
じゅっ、16万ラン!?
私が一生懸命クッキーを焼いても、320袋売れないとこのドレスは買えないんだ。
1袋500ランで売っていたもの。
私が口を開けてドレスを眺めていると、マリーは優しく微笑んだ。
「姫様、ドレスの価値がわかるのはいいことです。ましてや、このドレス1着買うのに、税金がいくら使われているのか考えることも、大変素晴らしいと思います。ですがあんまりみすぼらしいドレスを着て振舞うのは、国の顔としては良いことではありません。他国は、王族を見てその国の雰囲気を掴みます。ですから、ある程度の嗜みとして、ドレスを身につけてください」
そうか。
私があんまりみすぼらしい姿でいると、ランバラルドの国民が他国からバカにされてしまうのね。
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