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1.異世界召喚
22.
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(ライアスサイド)
スレーマンが美優を連れて部屋に戻って来た。今日も露出が高く派手なドレスに身に纏い化粧も完璧に仕上げている。
「お呼びでしょうか?国王陛下」
美優がドレスの裾をつまみちょこんと礼をする。
「突然呼び出してすまぬな。実は君の力を貸して貰いたくて呼んだのだ」
「国王陛下の頼みならなんなりと」
人当たりの良さそうな笑みを向ける。
「前にも話した通りここにいるアヒン王子の体調が良くなくてな。アヒンに力を貸してくれないだろうか?」
アヒンをちらりと見やりニコッと笑った。
「ええ、なんなりと」
「では早速「このネックレスに聖女の力を注いで欲しい」」
陛下が話しているのに被せる様にアヒンが喋りネックレスを美優に差し出した。なぜネックレスに力を注ぐんだ?直接やった方が分かりやすいだろうに。
「分かりました。出来るか分かりませんがやってみます」
美優はそのネックレスを手に取ると両手で包み胸に抱え込んだ。そして目を瞑り暫く動かなくなった。その様子を陛下、アヒン、俺、スレーマン、俺の従者がじっと見据える。
時間にして3分ほど経ちやっと美優が目を開けた。終わったのかと思いネックレスを見ると先程と変わりネックレスの先についた石が光っている様に見える。
「おお」
思わず感嘆の声が漏れた。
「陛下、美優様に聖女の力がある様ですね」
「その様だな」
何でだろうか?アヒンは特に嬉しそうではない。自分の呪いが解けるかもしれないのに何でそんな喜んでいないのだろうか?
ましてやそのネックレスをスレーマンに手渡した。
「美優殿。君に聖女の力がある事が判明した」
「本当ですか!?これで私は聖女として認められるんですね!」
美優は凄く嬉しそうだ。
「所で君の弟、三葉殿についてだが」
「愚弟が何かしましたか?」
「否、こちらの不手際で行方不明になっている。心配だろうが見つかるまで待って頂きたい」
「大丈夫です。弟は庶民の生活の方があっているのですぐ溶け込めるでしょう」
まるで自分は高貴な存在であるかの物言いをし弟の事は探さなくて良いと言っている様な気がする。
「…ふむ。所で三葉殿に呪いの力があると聞いたが誠かえ?」
「ええ、ほんと「儂に嘘をついた場合は虚偽罪で牢屋行きとなるから心して発言せよ?まぁ、美優殿なら問題ないだろうがな」」
陛下が美優に脅しをかける。美優は陛下の言葉に一瞬言葉を詰まらせた。
「陛下、愚弟に呪いの力があるのは本当です」
「私は三葉と長らく接していたが何もなかったぞ?」
アヒンが口を出した。
「それは胡麻をすっていたのでしょう。あいつはそういうのが得意ですから。油断した所を呪いに掛ける算段だったのです」
アヒンを小馬鹿にする様に少し上から目線で話す美優。
「では何故それを今迄黙っていた?」
「私も最近まで知らなかったのです。こちらの世界に来て聖女の力に目覚め、弟には別の力があると感じました。ですから気付いてすぐライアス殿下にお伝えしたのです」
「ええ、報告を受けたのは本当です。陛下」
俺は事実だけを陛下に述べる。
「うむ、そうか。では異世界人三葉の捜索はしない事とする」
「っ陛下っ!?」
アヒンが珍しく大きい声を出した。陛下も驚いたのか少し目を見張った。
「…美優殿。話は以上だ。部屋へ戻って休みたまえ」
「はい!またいつでもお呼び下さい」
美優は、嬉しそうに微笑むと部屋から出て行った。
「私も失礼します」
アヒンが徐に立ち上がり俺らに背を向けた。
「アヒン。怒らないでくれ。これは三葉殿の為でもあるんだ」
「分かっております…」
「彼が本物であれば自ずと名声が聞こえてくるだろう。それまで耐えるのだ」
「承知しました」
そう言い残すとアヒンはそのまま部屋から出て行った。
スレーマンが美優を連れて部屋に戻って来た。今日も露出が高く派手なドレスに身に纏い化粧も完璧に仕上げている。
「お呼びでしょうか?国王陛下」
美優がドレスの裾をつまみちょこんと礼をする。
「突然呼び出してすまぬな。実は君の力を貸して貰いたくて呼んだのだ」
「国王陛下の頼みならなんなりと」
人当たりの良さそうな笑みを向ける。
「前にも話した通りここにいるアヒン王子の体調が良くなくてな。アヒンに力を貸してくれないだろうか?」
アヒンをちらりと見やりニコッと笑った。
「ええ、なんなりと」
「では早速「このネックレスに聖女の力を注いで欲しい」」
陛下が話しているのに被せる様にアヒンが喋りネックレスを美優に差し出した。なぜネックレスに力を注ぐんだ?直接やった方が分かりやすいだろうに。
「分かりました。出来るか分かりませんがやってみます」
美優はそのネックレスを手に取ると両手で包み胸に抱え込んだ。そして目を瞑り暫く動かなくなった。その様子を陛下、アヒン、俺、スレーマン、俺の従者がじっと見据える。
時間にして3分ほど経ちやっと美優が目を開けた。終わったのかと思いネックレスを見ると先程と変わりネックレスの先についた石が光っている様に見える。
「おお」
思わず感嘆の声が漏れた。
「陛下、美優様に聖女の力がある様ですね」
「その様だな」
何でだろうか?アヒンは特に嬉しそうではない。自分の呪いが解けるかもしれないのに何でそんな喜んでいないのだろうか?
ましてやそのネックレスをスレーマンに手渡した。
「美優殿。君に聖女の力がある事が判明した」
「本当ですか!?これで私は聖女として認められるんですね!」
美優は凄く嬉しそうだ。
「所で君の弟、三葉殿についてだが」
「愚弟が何かしましたか?」
「否、こちらの不手際で行方不明になっている。心配だろうが見つかるまで待って頂きたい」
「大丈夫です。弟は庶民の生活の方があっているのですぐ溶け込めるでしょう」
まるで自分は高貴な存在であるかの物言いをし弟の事は探さなくて良いと言っている様な気がする。
「…ふむ。所で三葉殿に呪いの力があると聞いたが誠かえ?」
「ええ、ほんと「儂に嘘をついた場合は虚偽罪で牢屋行きとなるから心して発言せよ?まぁ、美優殿なら問題ないだろうがな」」
陛下が美優に脅しをかける。美優は陛下の言葉に一瞬言葉を詰まらせた。
「陛下、愚弟に呪いの力があるのは本当です」
「私は三葉と長らく接していたが何もなかったぞ?」
アヒンが口を出した。
「それは胡麻をすっていたのでしょう。あいつはそういうのが得意ですから。油断した所を呪いに掛ける算段だったのです」
アヒンを小馬鹿にする様に少し上から目線で話す美優。
「では何故それを今迄黙っていた?」
「私も最近まで知らなかったのです。こちらの世界に来て聖女の力に目覚め、弟には別の力があると感じました。ですから気付いてすぐライアス殿下にお伝えしたのです」
「ええ、報告を受けたのは本当です。陛下」
俺は事実だけを陛下に述べる。
「うむ、そうか。では異世界人三葉の捜索はしない事とする」
「っ陛下っ!?」
アヒンが珍しく大きい声を出した。陛下も驚いたのか少し目を見張った。
「…美優殿。話は以上だ。部屋へ戻って休みたまえ」
「はい!またいつでもお呼び下さい」
美優は、嬉しそうに微笑むと部屋から出て行った。
「私も失礼します」
アヒンが徐に立ち上がり俺らに背を向けた。
「アヒン。怒らないでくれ。これは三葉殿の為でもあるんだ」
「分かっております…」
「彼が本物であれば自ずと名声が聞こえてくるだろう。それまで耐えるのだ」
「承知しました」
そう言い残すとアヒンはそのまま部屋から出て行った。
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