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13話 

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 「次は建物内の案内をしますね~。」
 俺たちはいったん倉庫から離れ、建物内へと戻った。
 「入り口から入ってすぐ右手のドアが図書室となってます。自由に使って構いませんよ。」
 さらなる活字の集合体にヒヨリの目が輝く。
 「そして、その奥の扉が浴室です。男湯と女湯が別れてるので、特にアキトちゃんは気をつけて下さいね♪」
 「そこまで念押しされなくても…俺ってそういうことするイメージなのか?」
 「ただ言ってみただけですよ~♪」
 「わ、私はアキトさんを信じてます!」
 ヒヨリにまで変なイメージが移っちゃったよ…。
 「えーっと。さっき私たちが話した階段の裏の扉は、管理人部屋になってるので何かあったら気軽に声かけて下さいね。それから~、入り口左側手前のドアから談話室、食堂になっています。」
 「ここで飯は食べられるのか?」
 「私が作って出します。でも、流石に食費三人分はまかなえないので、一人一月3000Gいただくことになります。」
 「そのくらい構わないよ。と言うかそんなんでお金足りるのか?」
 「そこはこのベテランメイドのメリーちゃんに任せて下さい!」
 メリーは見た目は幼く見えるものの、凄く頼れそうだ。
 「私もできるだけ料理のお手伝いやります。」
 「本当!誰かとお料理できるなんて、いつぶりだろ~。」
 今のメリーは会ったばっかりのときより、確実に嬉しそうで楽しそうだ。

 「次は二階でーす!」
 俺たちもメリーについていって二階に登った。
 「二階が実際に宿泊してもらうところになりまーす。え~っと二人だと…この部屋なんてどうです?」
 メリーが勧めてきた部屋にはテーブルに椅子が二つに、枕が二つ設置された大きいベッドが1つ置いてある。
 「って、相部屋になるじゃないか!」
 「えっ、違いました?お二人の仲では相部屋は当然だと…」
 「メリーちゃん、私たちは別、別に付き合ったりとか結婚とかしてないよ!ねっアキトさん?」
 「おぉうそうだぞメリー。だから相部屋はちょっと…」
 ヒヨリが真っ赤になって否定するから俺も焦ってしまったじゃないか。
 「そうなんですか~?じゃ~あ、ヒヨリちゃんはあそこの一人部屋に泊まって~、アキトちゃんは管理人部屋でどう?」
 「俺も一人部屋を希望します!」
 メリーはなにを考えているんだよ。
 「冗談ですよ~。アキトちゃんはヒヨリちゃんの隣のあの部屋ね。ちょっとカギ取ってきますね♪」
 なんだかどっと疲れた気がする。今夜はよく眠れる、のかな?

 「はい、どうぞ!」
 俺とヒヨリは、メリーにそれぞれの部屋のカギを渡された。
 「今から夕食作りますので、できたら呼びに来ますね~。」
 「そうだ、食費渡しとくよ。」
 俺がそう言うとヒヨリも頷き、3000Gをそれぞれメリーに渡した。
 「確かに貰いました。私の絶品ディナーを楽しみにしておいて下さいね!」
 「メリー、私も手伝います。」
 「じゃあ調理場に案内しますね~。」
 「俺は少し部屋で休ませてもらうよ。」
 そして俺たちはいったん別れた。
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