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しおりを挟むちゅ、ちゅと濡れた水音が薄暗い廊下に響く。
執拗に唇を重ねられながら、誰が来るともしれない廊下で必死に押し寄せる快感に耐える。
いつの間にかズボンの中に入り込んだ七海の手が、俺の自身を捉え容赦ない刺激を与えてくる。
唇を塞がれながら下も弄られ、同時に与えられる刺激に堪らず頭を振って七海の身体を押した。
「んー…ッ、ちょっ…ま、待ってくれ…っ」
「…っは、なんすか」
少し唇を離されたが、コツンと額を合わせられる。
すぐ鼻先の距離で、酷く熱の籠もった視線に見つめられた。
ビリビリと苦しいほど快感を与えられた身体が、どうしようもなく熱を出すことを望んでいる。
「ど、どっちかにしてくれないか。両方は分からなくなる…っ」
なんとか必死にそう言ったら、目の前の瞳がキョトンと丸くなる。
何が可笑しいのか一度ふっと笑ってから、どこか和らいだ瞳が俺を見つめた。
「りょーかいです」
先程までのキスが、驚くほどがっつかれるようなキスに変わる。
息が出来ないほどぴったりと重なった唇に瞠目する。
コイツとキスしたことは何度もあったが、今までのは手加減していたんじゃないかと思えるほど急くようなキスだった。
歯列をなぞられ上顎をくすぐられ、絡んだ舌先を強く吸われる。
堪らない感覚が背筋を突き抜け、あっという間に酸欠になる。
と、不意に唇を離され下がった七海の頭が、ズボンを押し上げているそれに近づく。
「ちょっ――」
嫌な予感がして後ずさろうとしたが、あっさりとそこに唇を寄せられた。
「おい…っ。それは――」
「ん、ダメですか?みーちゃんきっと好きですよ」
「す、好きって…」
そうこうしているうちにズボンと一緒に下着を摺り下げられ、取り出されたそれが外気に曝される。
先程から与えられ続けた刺激のせいで、待ち望むようにとろりと先端が濡れた自分の性器を見て思わず目を逸らした。
七海はそのまま、躊躇することもなく口に含む。
「んー…っ」
温かい咥内の感触。
丁寧に舌で舐め上げられ、直接的すぎる快感が身体に響く。
「ま…っ、待ってくれ。これはさすがに――」
生徒に自分の性器を舐められるなど、本当にどんな冗談だ。
だが熱い舌が形をなぞり、じゅっじゅと音をさせて何度もストロークされると堪らない快感が込み上げる。
直接的すぎる愛撫に、あっけなく身体が昂ぶっていく。
「…あっ、あ…ッ、ダメだ。ダメだっ、七海――」
「…っふ、早すぎですよ。ひょっとして舐められるの初めてですか?」
「あっ、あっ…喋るなっ」
舌が擦れて敏感な先端に触れる。
背筋がビクリと反って、驚くほどあっけなく俺は七海の口の中に精を吐き出してしまった。
「…っん、ごちそうさまです」
「――っの…飲ん…っ」
ゼイゼイと肩で荒く息をしながら、躊躇せずにコクリと動いた喉に戸惑う。
思わず羞恥で身体を震わせると、七海は親指で唇を拭いながら顔を持ち上げた。
あまりにもあっさりとイッてしまったこともあり、威厳も何もないが何か言わないとというなけなしのプライドで口を開く。
「お、おおお前はっ…」
「ん、気持ちよかったですね。それじゃ突っ込まれるのと俺の舐めるのどっちがいいですか」
「――はっ?」
伸びてきた手が俺の頭を撫でる。
だがニッコリとした表情で言うその言葉は、優しげな手付きとは真逆すぎて身体が強張る。
なんだその二択は。
だが言われてみれば七海がまだ熱を持て余したままだという事に気付く。
「っな、何もしないって最初に――」
「分かりました。じゃあ後ろ向いて下さい」
何が分かったのか七海は強引に俺の身体を反転させると、容赦なく伸し掛かってくる。
服越しに尻に硬いものをグイと押し付けられて、慌てて首を振り向かせた。
「ま、待て。こんなところで誰か来たらどうするっ」
「みーちゃんの身体なら視姦プレイとかも喜んでくれそうですけどね」
「何の話をしているんだっ」
コイツの言っている事が分からず混乱したまま藻掻く。
だが今しがたイかされて体力も奪われているというのに、圧倒的な力の差で抑えつけられてしまえばどうすることも出来ない。
意図を持った手付きで尻を撫でられて、嫌でも最悪の事態が頭を過る。
どう考えてもこの場所はマズイし、正直自分の身体が快感に抗えるとも思えない。
認めたくないが快感に堕ちて訳がわからないまま七海に好き勝手されてしまったことは何度もある。
慌てて尻を撫でるその手を取ると、苦渋の決断をした。
「…わ、分かった。お、お前と同じことをしてやるから…っ」
正直あんな行為、今までしたこともされたこともない。
過去に女性経験がないことはないが、性行為はほとんどしてないし淡々としたものだった。
だがそれももう大学時代の話だ。
「えっ、マジですか。みーちゃんがしてくれるとか超嬉しいです」
俺の心境など全く知る由もない七海は嬉しそうにそう言ったが、どの道コイツを満足させなければ終われない。
半ばヤケクソというわけではないが、身体の負担と場所も考えてどっちがマシか天秤に掛けた結果だ。
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