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黒の王とスキーに行く
幸せな朝
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夜半。
ザラームの部屋に忍び込んで。
共に寝ようと思ったのに、居ないとは。
見回すと。
ザラームは、窓際に居た。
月を見上げている。
何を想っているのだろう?
今頃は、15年ぶりの蜜月を。
二人の時間を楽しんでいるであろう、母上のことだろうか。
◆◇◆
「夜這いか? 王子様」
ザラームが振り向いた。
わたしを見てくれた。
冷たい月ではなく、わたしを見て欲しい。
「共に寝ようと思って」
「子が欲しいのか?」
「ええ、授かれば嬉しいです」
頷いてみせる。
それは、互いに愛し合っているというあかしだから。
愛されていると、わかるから。
「ザラーム。どうか、わたしを愛してください。母上の代わりでも良いから」
「……そんなこと、言うな」
抱き締められた。
あたたかい腕。
胸から、確かな鼓動が伝わる。
生きている。
約束をしたのだから。共に生きて欲しい。
けれど、それだけでは足らない。
愛して欲しい。
わたしはこれほど欲張りな人間であったのか。
「こんな真っ白いの、俺が汚しちゃダメだろ……」
「よくわかりませんが。汚れたら、洗えばいいのでは?」
「……違いない」
ザラームは笑った。明るい笑顔だった。
「じゃ、いっぱい汚れてもらうか。後悔するなよ?」
寝台に、押し倒された。
ザラームのすることなら。
後悔など、するわけがない。
◆◇◆
「残念ながら、子は授からなかったようですね」
朝になったけど、二人の間に、子はいなかった。
互いに愛し合って。
床を共にすれば授かるという話なのに。
わたしはまだ親になるに足らぬ、ということであろうか。
「そりゃそうだ……」
「え?」
「アブヤドちゃんは、あれか。性教育の時間、寝てたのかな?」
何故、ザラームはやさぐれているのだろうか。
昨夜はあんなに愛し合ったというのに。
わたしがザラームの性器を擦って、精を吐き出させて。
ザラームはわたしの性器を口に含んでくれた。
わたしは幸せな気分のまま、眠りについたが。
何か、間違っていたのだろうか。
「あのな、俺のこれをだな、」
ザラームは、自分の性器を掴んで。
「アブヤドのここに入れて、中に精を出す。そこまでしないとダメなんだ」
わたしのおしりの間に、指を這わせた。
ここに、ザラームの。
あの、大きくて長いものを?
「ええっ、そんな、無理です! ラクはそんなこと、教えてくれませんでしたよ!?」
「やっぱりか。あいつ、過保護すぎんだろ……」
ザラームは頭を抱えた。
◆◇◆
「あの、今から、やり直します?」
こわいけれど。
愛し合うのに、必要なら。
「いいや、今日は、”夏の国”に戻って、挨拶しないと」
ザラームは寝台から降りて。衣服を身にまとった。
「挨拶?」
頬に、接吻される。
「……アブヤドと、死ぬまで共にいると誓った、と。アブヤドの両親であるイチとウルジュワーン王に報告しないといけないよな?」
「ザラーム。……大好き!」
わたしはザラームに抱きついた。
「負けた。氷を溶かす勢いの情熱に負けましたよ。まいったね」
苦笑している。
「じゃあ、今夜は、最後までしてくださいね?」
「口説き文句だけはいっちょ前だな?」
帰ったら、わたしの弟が出来ていたけど。
ザラームはそれほどショックを受けてないようで、よかった。
「次は、わたしたちの番ですね? 可愛い子を授かりましょうね。ザラーム」
「ああ」
「王子、目を覚ましてください!」
夢なら、覚めないで。
いつまでも、好きな人と共にいたいから。
おわり
ザラームの部屋に忍び込んで。
共に寝ようと思ったのに、居ないとは。
見回すと。
ザラームは、窓際に居た。
月を見上げている。
何を想っているのだろう?
今頃は、15年ぶりの蜜月を。
二人の時間を楽しんでいるであろう、母上のことだろうか。
◆◇◆
「夜這いか? 王子様」
ザラームが振り向いた。
わたしを見てくれた。
冷たい月ではなく、わたしを見て欲しい。
「共に寝ようと思って」
「子が欲しいのか?」
「ええ、授かれば嬉しいです」
頷いてみせる。
それは、互いに愛し合っているというあかしだから。
愛されていると、わかるから。
「ザラーム。どうか、わたしを愛してください。母上の代わりでも良いから」
「……そんなこと、言うな」
抱き締められた。
あたたかい腕。
胸から、確かな鼓動が伝わる。
生きている。
約束をしたのだから。共に生きて欲しい。
けれど、それだけでは足らない。
愛して欲しい。
わたしはこれほど欲張りな人間であったのか。
「こんな真っ白いの、俺が汚しちゃダメだろ……」
「よくわかりませんが。汚れたら、洗えばいいのでは?」
「……違いない」
ザラームは笑った。明るい笑顔だった。
「じゃ、いっぱい汚れてもらうか。後悔するなよ?」
寝台に、押し倒された。
ザラームのすることなら。
後悔など、するわけがない。
◆◇◆
「残念ながら、子は授からなかったようですね」
朝になったけど、二人の間に、子はいなかった。
互いに愛し合って。
床を共にすれば授かるという話なのに。
わたしはまだ親になるに足らぬ、ということであろうか。
「そりゃそうだ……」
「え?」
「アブヤドちゃんは、あれか。性教育の時間、寝てたのかな?」
何故、ザラームはやさぐれているのだろうか。
昨夜はあんなに愛し合ったというのに。
わたしがザラームの性器を擦って、精を吐き出させて。
ザラームはわたしの性器を口に含んでくれた。
わたしは幸せな気分のまま、眠りについたが。
何か、間違っていたのだろうか。
「あのな、俺のこれをだな、」
ザラームは、自分の性器を掴んで。
「アブヤドのここに入れて、中に精を出す。そこまでしないとダメなんだ」
わたしのおしりの間に、指を這わせた。
ここに、ザラームの。
あの、大きくて長いものを?
「ええっ、そんな、無理です! ラクはそんなこと、教えてくれませんでしたよ!?」
「やっぱりか。あいつ、過保護すぎんだろ……」
ザラームは頭を抱えた。
◆◇◆
「あの、今から、やり直します?」
こわいけれど。
愛し合うのに、必要なら。
「いいや、今日は、”夏の国”に戻って、挨拶しないと」
ザラームは寝台から降りて。衣服を身にまとった。
「挨拶?」
頬に、接吻される。
「……アブヤドと、死ぬまで共にいると誓った、と。アブヤドの両親であるイチとウルジュワーン王に報告しないといけないよな?」
「ザラーム。……大好き!」
わたしはザラームに抱きついた。
「負けた。氷を溶かす勢いの情熱に負けましたよ。まいったね」
苦笑している。
「じゃあ、今夜は、最後までしてくださいね?」
「口説き文句だけはいっちょ前だな?」
帰ったら、わたしの弟が出来ていたけど。
ザラームはそれほどショックを受けてないようで、よかった。
「次は、わたしたちの番ですね? 可愛い子を授かりましょうね。ザラーム」
「ああ」
「王子、目を覚ましてください!」
夢なら、覚めないで。
いつまでも、好きな人と共にいたいから。
おわり
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もう最高です♡
王子様たちみんなかっこよすぎてため息♡