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Schicksalhafte Begegnung (運命的な出会い)

Der Wolfshunger ist nicht zufrieden (腹ぺこ狼は満足しない)

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閨への誘いに、トールは頬を染めて呟いた。

「侯爵がしたいなら……、」
侯爵、か。

「トール。そろそろ、身分ではなく名前で呼んでくれないだろうか?」

頷いて。
トールは少々緊張したような面持ちで。

「テ、テオドゥルフ……?」


む、言いにくそうだな。
侯爵、の方が言いやすかったのか?

愛称コーゼナーメでいいぞ?」
どうせ皆、呼びたいように適当に省略して呼ぶ。

つくづく、”トール”は呼びやすくて良い名前だ。
”ラズール”もわかりやすくて良い名前だが。


トールは、しばし悩んで。
「……ティディ……?」

ティディ。
それは初めて聞く略し方だ。

異世界では言語体系が違うのだろう。
”パジャマパーティー”とやらも、聞きなれない言葉の綴りであった。


「ふむ、トールの世界ではそのように略すのか。面白いな」

トールだけがそう呼び、トールからだけ、そう呼ばれるのである。
何と幸福な愛称コーゼナーメであろうか。

少し舌足らずな呼び方も愛らしい。


「他の誰にも呼ばれない、特別な呼び方も良いものだ」

トールのこの姿も、名も。
私だけのものとして、独り占めしてしまいたいが。

それは贅沢というものだろう。


*****


トールはベットの上で、恥じらいながらも真の姿に戻った。


愛らしい唇に接吻しようとしたが。
貌全体を舐めてしまった。

しまった。
この口では、出来なかったのを忘れていた。

まあいい、舌で味わうことは可能である。

トールの細い首や、淡い色の突起を舐めると、くすぐったそうにしていて愛らしい。
舌での愛撫を快楽に感じるように、教えてやらなければ。

肌の薄い部分に舌を這わせ。

「ふぁ、はぅ、」
愛撫に声を漏らし、恥ずかしげに身動みじろぎをするさまも、たまらなく劣情を煽る。


これまで、何度も抱いたというのに。いつも初めてのように恥らうのだ。

大胆に誘う姿も見てみたい。
しかし、こうして慎ましいのも可愛らしく思う。

一気に突き入れ、思うさま揺さぶりたい衝動に駆られるが。

小さな身体に無茶は出来ない。
元々、ここは受け入れるようにできている器官ではないのだ。

繊細な蕾は、傷付きやすい。充分に解さなければ怪我をする。


「……トール、四つん這いになって、腰を上げて欲しい」

トールは私の要求に頬を染め。
うつ伏せ、恥じらいつつも、そろそろと腰を上げた。

その、無防備な体勢に。これはお互いに合意でしているのだと感じ、安堵する。


肉体的な接触を。
愛する人との睦み合いを欲しているのは、私だけではないのだと。


*****


「ひ、……ああ、」
蕾に舌を這わせ、襞を解すように愛撫し、中を探る。


何故舌で慣らすのか、訊かれた。
専用の潤滑剤や香油も存在するのだが。この姿では鋭い爪で傷付けてしまう。

なるべく自分で慣らしたいし、舌での愛撫は、トールも感じている。

何より、これは性欲を解消するだけではない。
互いに愛を確かめる行為である。なるべく、悦くしてやりたいのだ。

トールの粘膜、というか体液が甘いせいもあるか。

舌先を尖らせ、狭い肉の筒を掻き分け、奥へと進ませる。
舌先でトールの感じる場所を突いてやれば、悩ましい声を上げ、身悶えるのがたまらない。


「や、ああっ、そこ、やだぁ、あ、」
きゅう、と舌を締め付けられ。

トールがこの愛撫に感じているのが伝わる。

「ひ、……いやぁ、だめ、」
口では拒む素振りをしているが。

それでおとなしく引けば、物足りない風情でこちらを見るので、それも愛らしく思う。
焦らしたくないので、しないが。

思わず拒絶の言葉が出てしまうのは、感じすぎてこわいせいだろう。
まだ、交合の快楽を教えたばかりの未熟な身体だ。


「ひっ……!?」
舌で犯すように、出し入れしてやる。

「いやぁ、や、あ、んっ、あ、あっ、」
トールは枕を抱き締め、悦さそうに鳴いている。


私だけのために鳴く、可愛い小鳥。


*****


声も、中も甘い。
舌に犯される快楽に、トールの腰が揺れている。

……そろそろ、良いだろう。


「トール、もう、大丈夫だな?」

トールはこくこくと頷いて。
「ティディ、……もう、して?」

甘えた声で愛称コーゼナーメを呼ばれ、ねだられて。
理性が吹っ飛びそうになるのを、何とか堪える。

「……どうしてトールはそう、私の理性を木っ端微塵にするのだ」


爪で傷つけないように腰を掴み。
ほのかにほころんだ蕾に、今にも爆発寸前のものをあてがう。

「ひ、ああっ、」

先端をめりこませ、少しずつ、先に進ませる。
一気に突き入れたいが。

まだ慣れていない奥は狭く、固いのだ。


「や、おっき……、」

人間の姿の時より大きいせいか、つらそうだ。
私も、きゅうきゅうと締め付けられて。

「く、……搾り取られそうだ……、」


最初の時は、早急に呪いを解く必要があったため、我慢せずに射精したが。

私だけ、悦くなるわけにはいかない。
トールを感じさせてやらねば。


*****


しばらく、馴染むように軽く揺すっていたが。

中を穿たれる快楽を思い出したか、内部が柔かくなってきた。
ぐい、と腰を突き上げて。先へ進む。

腰を掴んでいる指の腹で、トールの胸の飾りを刺激してやる。
すぐに固くなったそれを、くにくにと捏ねてやると。

「ひぁ、ああっ、」
感じて、更にきつく締め付けられる。

更にぐっ、と腰を押し付け、根元まで挿入した。


「ん、……は、……ん、」
ゆるく抜き差ししてやると、小さく声を漏らして。

もっと、声が聞きたい。
悦くしてやりたい。

こんな、醜い獣に抱かれているのに、感じてくれている。
人の時と同じように。

トールも。
私の、外見ではなく。私自身を愛してくれているのだろうか?


「っく、」
そろそろ、限界だ。

「や、ああっ」
トールの腰を持ち上げ、座った状態で突き上げた。

この体勢なら、華奢なトールの身体に体重を掛ける心配なく、可愛がってやれる。

「トール、可愛い私の妃。……愛している」
囁きながら、あたたかく締め付けるトールの中に放つ。


しかし。

……不思議な感覚だ。
ペニスの根元が膨らんでいる。精液は、止まらず放たれているのだが。

……随分、出ているな。いつまで出るのだろう。


「ん、……いっぱい、出てる……、」

トールの内股が、ぶるぶると震えている。
この長い射精に、感じているようだ。


不可解な現象であるが。
……トールが悦さそうなら、良いか。
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