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大和撫子、砂漠の王子に攫われる

仕切り直しをする

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サリールベッドで、愛を確かめ合う行為の仕切り直しを要求しても?」

蜂蜜よりも甘い誘いに、頷いてみせる。
でも。

「ん、いいけど。……とりあえず、一度コレ、抜かないか?」


アスランの、ずっと中に入れっぱなしで話してた。

しかも、もうすっかり硬くしてるし。
回復早すぎる。


……残念そうな顔をするな。

入れたまま移動するつもりだったのかよ。
嫌だよ。


†††


お姫様みたいに抱き上げられて。
ベッドに運ばれる。

「……っ、同じような、体位でも。さっきとは、全然違う、感じがする」

横になったアスランの上に乗っけられた。
騎乗位というのか。

この状態で、俺に腰を振って欲しいと御所望なのだが。

無理。
動けません。

必死に首を横に振った。


「痛いのか?」
「いや、痛くは、ないんだけど。……何か、ここまで、串刺しに、されてるみたいで、」

自分の胃の辺りを撫でて、示したら。

うわ。
どくん、て。


「……今のがアスランのツボなの?」
串刺しって単語で達くとか。

魔王こわっ。


「ツボが何処かを問われれば、ユキヤの言動全てがツボであるが。このような小さな身体で、健気に受け入れてくれているのだ、と思うと昂ぶりが治まらず……」

……そうか。
悪気なくdisってくれるよな。

この王子様め。
男に対して小さくて可愛い、は褒め言葉じゃねえぞ。


†††


「頭も小さく、手も。並べば、大人と子供のようではないか」

いや、それはアスランがでかいだけだってば。
190cmくらいあるんだし。

確かに俺は男にしては小さい方だけど。
アスランと並べば、日本人のほとんどが子供に見えちゃうんじゃないか?


「私が欲望のままユキヤを抱けば、壊してしまいそうで、怖い」
俺の頬に触れる手は大きくて、優しいけど。

凄い力持ちだよな。
こないだハマド国王を引っ張り出すときに掴まれた部分、痣みたいになってたし。

後でそれに気付いたアスランに、めちゃくちゃ謝られたっけ。


全身しなやかな、鞭みたいな筋肉だ。
肉食獣を思わせる、無駄な部分が一切ない、理想的な肉体。

油断するとつい、見惚れてしまう。


「……それでも、ユキヤを求めずにはいられぬのだ。こうして夫婦となり、心身ともに通じ合っているというのに。日々欲望は募る。触れたい。嗅ぎたい。舐めたい。味わいたい。抱きたい。奥まで貫き、快楽に啼く姿を見聞きしたい、五感でユキヤを感じたい、と常に思っている。理性を失えば獣の如く遅い掛かりそうになるほど発情している。……異常であろう?」

常時それなんだ……。

変態っぽいっていうか。
間違いなく変態属性だけど。

自覚はあるし、自制してるなら、いいんじゃないかな……。


「壊れなかっただろ? 案外丈夫なんだぜ、俺」

何しろ雷に撃たれても死なないくらいだ、……とは言えなかった。
アスランは落雷で母親を亡くしてるからな。

決まり文句みたいなもんだったけど。
封印だな。


「それに、十代のうちなんて頭の中が欲望でいっぱいでもしょうがないって。男って生き物のサガってやつだ」

「まさかユキヤも欲望をもてあましたことがあるというのか?」
何で驚いた顔をしているのか。

「この顔で、草食系に見えるのも仕方ないけど。俺だって男なんだから。当然だろ? 竹輪の穴にすら悶々とした頃だってあるし」

「チクワ?」

そこに引っ掛かるか……。


†††


「えーと。竹の輪っか、で竹輪。白身の魚を練ったのを細い竹に巻くようにつけて、くるくる回しながら焼いたり蒸したりする食べ物」
「ああ、カマボコやナルトのようなものか」

蒲鉾とナルトは知ってるんだ……。
おでんも食おうぜ。


「食べ物を粗末にするのはどうかと思うが」

変態に真顔で一般常識を諭されるこの屈辱。
どうしてくれようか。


「してねえよ! それの穴にすら入れてみたくなるくらい、モヤモヤしてたって話!!」


世の中にはコンニャクや冷ましたカップ麺でレッツトライするチャレンジャーもいるようだが。
食べ物でそういうことをするのには、どうにも拒絶反応を起こす。

そんな俺でも、そういった気になってしまうこともあるのが思春期の性欲の恐ろしさである訳で。


「アスランは俺のこと、当たり前みたいに抱いてるけど。俺にだって性欲はあるんだからな?」

アスランは怪訝な顔をした。

「……私を、抱きたいと?」
「え、それは無理」

即答してしまった。

むっとした顔をするな。
俺に抱かれてもいいのかよ。やだよ。

マッチョだから大臀筋に挟まれただけで折れそうだし……って理由ではなく。


アスランのことは、好きだ。
でも、アスランを抱きたい、とは思わないんだよな。

元々ガチなゲイって訳じゃないし。
悪いけど、いくら美形でも、自分よりも大きな男相手なんて、勃つ気がしない。


「最初は、男なのに女の格好させられて、女みたいに犯されて。男としての矜持をズタズタにされたって思ったよ」

「……!」
顔色が変わった。


「でも今は、他の誰かを抱きたいとか思わないし、」

ナカに入ってるアスランのを。
お尻に力を入れて、きゅっと締め付けてやる。

ぐん、と硬くなってきたのがわかる。

「……ん、こうして、アスランのこと、気持ち良くしてやりたいって思ってる。……抱かれるのも、アスランになら、かまわない、っていうか。もう、を入れられないと、満足できないし?」

アスランは、俺の頬に手を当てて、微笑んだ。
「……ユキヤは、少女のように愛らしい顔をしているのに、中身は私よりもずっと男らしいと思うぞ」

一言多いっての。


大きくなったアスランのが、悦いところに当たって。
気持ち良い。

「ん、……俺を、ここで感じる身体にした責任、取れよな?」
「ああ、勿論だ。一生をかけて」


キスを交わして。
たくさん愛を確かめ合った。


今となっては、コンプレックスだった女顔も。
アスランが好きだって言うなら。自分でも、好きになれるかもしれない、って思えるよ。
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