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Ⅵ
異世界で、会議する
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神職プレストンと神職見習いが数人。森の管理人、スペンサー夫妻がご近所さんになった。
それからしばらくして。
もう死の荒野ではなくなったリズリーの空き地を農地や牧場にするため、いくつかの世帯が引っ越してきた。
予定地は、今すぐでも農地にできるように加工済みだ。
王都であるロチェスターも、周辺に貯水池や湖が出来たので、これでもう水には困らなくなったと喜ばれているそうだ。
塩湖も、そこから採れる塩は上質だし。景観もすばらしく。
今や観光名所にもなってるとか。
ロチェスターからリズリーまで、時速70キロ以上で走る馬で片道一時間ちょっと、馬車では二時間もかかる距離だというのに。
ウィリアムやオズワルド、オーソンは毎日のようにこっちに顔を出してはご飯を食べて帰って行った。晩御飯だけじゃなく、昼ご飯も食べていく時もある。
忙しい時でも、最低一週間に二回は来る有り様。
一応、巡回するって名目で来ているそうだが。
本職は大丈夫なのか訊いてみたら、俺の料理を食べたらもう満足できない胃袋になっちゃったんだって。
そう言われたら、嫌な気はしないというか、正直、嬉しい。
でも、毎日のように外食してたんじゃ、結婚した時に奥さんから怒られないかな? 今は皆独身で、結婚しないことが決まってるのは神職のプレストンくらいだけど。
奥さんもここに連れてくる気だったりして……。
*****
かつて魔物の大繁殖により荒野になってしまったリズリーは、今や緑豊かな森と湖のある肥沃な土地になり。
俺の家と教会、管理人小屋だけだったここにも冒険者組合の支店やスキート商会の出張所、人家などが増え、にぎやかになって来た。もう村といってもいいだろう。
生まれ変わって、この世界に来て。
そろそろ、生活の基盤も出来てきたと思う。
若返った身体や異世界の習慣にも、まだ完全には慣れてないけど。
じきに馴染んでいくだろう。
俺も大人になったら、恋人とか作れるだろうか?
今度こそ、前世では邪魔された、幸せな結婚とやらが出来たらいいなあ。
せっかく国の代表が来てる訳だし。国の発展に繋がるようなものを作る時は、ウィリアムと相談してから作ることにしてるので。暇を見ては、何かと作戦会議をしている。
その時だけ、オズワルドとオーソンには席を外してもらっている。
というか、二人はリビングルームでおやつを食べて待機してるんだけど。たまにプレストンも加わってたりする。平和だ。
*****
書斎に本が欲しくなったし。スキート商会の協力のもと、試しにひとつ、印刷会社を立ち上げてみることになった。
ウィリアムも凸版くらいは仕組みを知ってたけど。何もない状態からやるのは大変なので、二の足を踏んでたらしい。
記憶を取り戻してからほとんどずっと魔物と戦ってたそうだし。そんな暇もなかったんだろう。
輪転機のドラムを回転させる動力はペダル式にするか魔力にするか、とか。タイプライターなら作れそうなのでどっちを先に普及させるか、とか話し合ったりして。
「ウィルは、他に何か作りたいものとかある? さすがにパソコンとかは構造とかわかんないから、無理だと思うけど」
小さな基盤とファンがあればいいんだっけ? パソコン本体の中身って、開けてみたらスカスカだったな。改造する人は更に色々取り付けるみたいだが。
「では、電話も無理かな? あれば便利なのだけどね」
電話か。確かに、あれば便利だ。
一応、通信用の魔法もあることはあるみたいだけど、かなりややこしい魔法陣を構成しないといけないという。
スマフォじゃなく、無線の受信機なら作れる……んじゃないかと思う。分解したことあるし。でも、電波はどうしたら飛ばせるのか、その仕組みまでは知らない。
もっと色々なことを勉強しておけばよかったなあ。
そもそも電話もパソコンも、電気がないと、ただの箱だ。
「まずは発電所。それから変電所、電線が必要だよね……」
「発電か。そのことで我が国は大いに発展するだろうが。さすがにそこまでの改革は、やりすぎではないかな?」
「だよねー、」
石炭や石油がない世界じゃ、火力発電は難しい。
ダムを作って水力? 開発で、大規模な自然破壊とかになっちゃうかな。それは避けたい。
「えー、『何でも望むものを作って良い、詳しく思い浮かべなくてもおっけー』、だそうです」
……ん?
プレストン? いつの間に会議に割り込んで来てたんだ⁉
*****
「い、いつから聞いてたの?」
恐る恐る訊いたら。
「お二人がお話しされていた内容は、浅学なわたしには全く理解できませんでしたが。先ほど下された神託をお伝えしに参りました」
恭しく頭を下げられる。
子供の頃から教会にいたので、自分は世間の物事をよく知らないため、相談に乗れず残念だという。
何かの専門用語だと思ったようだ。
まあ、ある意味専門用語かもな。異世界の。
それにしても。わざわざお勤め中の神職にそんな伝言を頼むとか。
内容といい、神様、過保護過ぎない? これが”神の加護”の力なのかな?
でも、言われてみれば。
発電機とか給湯器を作ってないのに、何故かお湯や電気がついてたのって、『電気を必要としない家電』を作っちゃってたのかもしれない。
水道も、水源の必要がなかったり? プロパンガスのコンロは、火力が高いって知識があったから作ったけど。もしかして、ガスも別に必要なかったりする?
そういえば補給とかしてないな。
”創造”魔法で、水も火も出せるわけだし。
そんなの、何でもアリじゃないか。
神様ってば、いくらお詫びだからって。とんでもない能力を授けすぎだよ。
……まあ、こうして神様の声が聴ける神職もいるんだし。もしやりすぎたら、注意してくれる……よな?
それからしばらくして。
もう死の荒野ではなくなったリズリーの空き地を農地や牧場にするため、いくつかの世帯が引っ越してきた。
予定地は、今すぐでも農地にできるように加工済みだ。
王都であるロチェスターも、周辺に貯水池や湖が出来たので、これでもう水には困らなくなったと喜ばれているそうだ。
塩湖も、そこから採れる塩は上質だし。景観もすばらしく。
今や観光名所にもなってるとか。
ロチェスターからリズリーまで、時速70キロ以上で走る馬で片道一時間ちょっと、馬車では二時間もかかる距離だというのに。
ウィリアムやオズワルド、オーソンは毎日のようにこっちに顔を出してはご飯を食べて帰って行った。晩御飯だけじゃなく、昼ご飯も食べていく時もある。
忙しい時でも、最低一週間に二回は来る有り様。
一応、巡回するって名目で来ているそうだが。
本職は大丈夫なのか訊いてみたら、俺の料理を食べたらもう満足できない胃袋になっちゃったんだって。
そう言われたら、嫌な気はしないというか、正直、嬉しい。
でも、毎日のように外食してたんじゃ、結婚した時に奥さんから怒られないかな? 今は皆独身で、結婚しないことが決まってるのは神職のプレストンくらいだけど。
奥さんもここに連れてくる気だったりして……。
*****
かつて魔物の大繁殖により荒野になってしまったリズリーは、今や緑豊かな森と湖のある肥沃な土地になり。
俺の家と教会、管理人小屋だけだったここにも冒険者組合の支店やスキート商会の出張所、人家などが増え、にぎやかになって来た。もう村といってもいいだろう。
生まれ変わって、この世界に来て。
そろそろ、生活の基盤も出来てきたと思う。
若返った身体や異世界の習慣にも、まだ完全には慣れてないけど。
じきに馴染んでいくだろう。
俺も大人になったら、恋人とか作れるだろうか?
今度こそ、前世では邪魔された、幸せな結婚とやらが出来たらいいなあ。
せっかく国の代表が来てる訳だし。国の発展に繋がるようなものを作る時は、ウィリアムと相談してから作ることにしてるので。暇を見ては、何かと作戦会議をしている。
その時だけ、オズワルドとオーソンには席を外してもらっている。
というか、二人はリビングルームでおやつを食べて待機してるんだけど。たまにプレストンも加わってたりする。平和だ。
*****
書斎に本が欲しくなったし。スキート商会の協力のもと、試しにひとつ、印刷会社を立ち上げてみることになった。
ウィリアムも凸版くらいは仕組みを知ってたけど。何もない状態からやるのは大変なので、二の足を踏んでたらしい。
記憶を取り戻してからほとんどずっと魔物と戦ってたそうだし。そんな暇もなかったんだろう。
輪転機のドラムを回転させる動力はペダル式にするか魔力にするか、とか。タイプライターなら作れそうなのでどっちを先に普及させるか、とか話し合ったりして。
「ウィルは、他に何か作りたいものとかある? さすがにパソコンとかは構造とかわかんないから、無理だと思うけど」
小さな基盤とファンがあればいいんだっけ? パソコン本体の中身って、開けてみたらスカスカだったな。改造する人は更に色々取り付けるみたいだが。
「では、電話も無理かな? あれば便利なのだけどね」
電話か。確かに、あれば便利だ。
一応、通信用の魔法もあることはあるみたいだけど、かなりややこしい魔法陣を構成しないといけないという。
スマフォじゃなく、無線の受信機なら作れる……んじゃないかと思う。分解したことあるし。でも、電波はどうしたら飛ばせるのか、その仕組みまでは知らない。
もっと色々なことを勉強しておけばよかったなあ。
そもそも電話もパソコンも、電気がないと、ただの箱だ。
「まずは発電所。それから変電所、電線が必要だよね……」
「発電か。そのことで我が国は大いに発展するだろうが。さすがにそこまでの改革は、やりすぎではないかな?」
「だよねー、」
石炭や石油がない世界じゃ、火力発電は難しい。
ダムを作って水力? 開発で、大規模な自然破壊とかになっちゃうかな。それは避けたい。
「えー、『何でも望むものを作って良い、詳しく思い浮かべなくてもおっけー』、だそうです」
……ん?
プレストン? いつの間に会議に割り込んで来てたんだ⁉
*****
「い、いつから聞いてたの?」
恐る恐る訊いたら。
「お二人がお話しされていた内容は、浅学なわたしには全く理解できませんでしたが。先ほど下された神託をお伝えしに参りました」
恭しく頭を下げられる。
子供の頃から教会にいたので、自分は世間の物事をよく知らないため、相談に乗れず残念だという。
何かの専門用語だと思ったようだ。
まあ、ある意味専門用語かもな。異世界の。
それにしても。わざわざお勤め中の神職にそんな伝言を頼むとか。
内容といい、神様、過保護過ぎない? これが”神の加護”の力なのかな?
でも、言われてみれば。
発電機とか給湯器を作ってないのに、何故かお湯や電気がついてたのって、『電気を必要としない家電』を作っちゃってたのかもしれない。
水道も、水源の必要がなかったり? プロパンガスのコンロは、火力が高いって知識があったから作ったけど。もしかして、ガスも別に必要なかったりする?
そういえば補給とかしてないな。
”創造”魔法で、水も火も出せるわけだし。
そんなの、何でもアリじゃないか。
神様ってば、いくらお詫びだからって。とんでもない能力を授けすぎだよ。
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