3 / 7
3 身体検査
しおりを挟む
俺は村から南の方角へひたすら走った。確か噂になっているのはこの付近だったはずだ。狼村からはかなり離れてしまった。
人の匂いは微かにあるのに目的の赤ずきんはまったく姿を現さなかった。
というか川が近くにあるからイマイチ鼻が効かないんだ。
「ん?あれは…」
ふと森の奥になにかの建物を見つけた。茶色の尖ったあれは…。煙突?
近づいてみると、川の近くにまるで隠れるようにして一件の小屋が建っていた。小屋は古びていてボロボロだ。人が使われている形跡はない。
ここが赤ずきんの家なのだろうか。
俺は茂みの中からこっそりと観察した。建付けの悪そうな木の扉は開けっ放しになっている。でも人は見当たらない。
その時だった。
「そこで何してるの?」
背後から高めの男性の声がした。
「ひっ!!」
恐る恐る振り向くとそこには青年が立っていた。
彼は赤い髪に黒い頭巾を被っている。シャープな輪郭に通った鼻、キリッとした眉にパッチリとした紅の瞳をした美しい男性だった。彼は手に猟銃を持っている。
「赤い髪に黒い頭巾…。赤ずきん…いた!!」
俺は大声でそう叫ぶとその場でジャンプした。やった。やっと見つけたぞ!本当にいたんだ!
「へぇ…。僕のこと知ってるの?君は狼族か。珍しい」
赤ずきんは興味深そうに俺のことを観察した。
「見たところ敵意はなさそうだね。この前のは威勢がよかったんだけどなぁ」
ひとしきり観察したあと彼はそう呟いた。
「あの!赤ずきん!お願いがあります」
ウルは目を輝かせ赤ずきんに詰め寄った。
「襲わせてくれませんか?」
「僕のこと食べるわけ?」
「いや、違くて」
「じゃあどうするの?」
それに対して彼はにこにこと楽しそうに笑っている。
あれ、どうするんだっけ。俺は一瞬首を傾げた。そもそも襲うってどうすればいいんだろう。
「え…と、俺と喧嘩をして、俺が赤ずきんを倒すの」
「ほう」
「すると村の奴らに強いってわからせることができるんだよ」
そう力説をするとやがてクスクスと笑い始めた。
「何がおかしいんだよ」
「いや、僕喧嘩なら負けないけど大丈夫?」
「もちろん!狼が人間に負けるわけないだろ」
「そうかな」
「そうだよ。だってほら見てみろよ」
狼の強さをわからない人間に少しムッとした俺は手を突き出し爪を見せつけた。
「爪も歯も刃物みたいに尖ってるし、耳だってこんなに大きい」
「ほんとだ。危ないね。もっと見せてよ」
すると赤ずきんは一歩こちらに近づくと、ハグでもするんじゃないかってぐらい体を密着させた。ふわりとおひさまの香りがした。
人の匂いは微かにあるのに目的の赤ずきんはまったく姿を現さなかった。
というか川が近くにあるからイマイチ鼻が効かないんだ。
「ん?あれは…」
ふと森の奥になにかの建物を見つけた。茶色の尖ったあれは…。煙突?
近づいてみると、川の近くにまるで隠れるようにして一件の小屋が建っていた。小屋は古びていてボロボロだ。人が使われている形跡はない。
ここが赤ずきんの家なのだろうか。
俺は茂みの中からこっそりと観察した。建付けの悪そうな木の扉は開けっ放しになっている。でも人は見当たらない。
その時だった。
「そこで何してるの?」
背後から高めの男性の声がした。
「ひっ!!」
恐る恐る振り向くとそこには青年が立っていた。
彼は赤い髪に黒い頭巾を被っている。シャープな輪郭に通った鼻、キリッとした眉にパッチリとした紅の瞳をした美しい男性だった。彼は手に猟銃を持っている。
「赤い髪に黒い頭巾…。赤ずきん…いた!!」
俺は大声でそう叫ぶとその場でジャンプした。やった。やっと見つけたぞ!本当にいたんだ!
「へぇ…。僕のこと知ってるの?君は狼族か。珍しい」
赤ずきんは興味深そうに俺のことを観察した。
「見たところ敵意はなさそうだね。この前のは威勢がよかったんだけどなぁ」
ひとしきり観察したあと彼はそう呟いた。
「あの!赤ずきん!お願いがあります」
ウルは目を輝かせ赤ずきんに詰め寄った。
「襲わせてくれませんか?」
「僕のこと食べるわけ?」
「いや、違くて」
「じゃあどうするの?」
それに対して彼はにこにこと楽しそうに笑っている。
あれ、どうするんだっけ。俺は一瞬首を傾げた。そもそも襲うってどうすればいいんだろう。
「え…と、俺と喧嘩をして、俺が赤ずきんを倒すの」
「ほう」
「すると村の奴らに強いってわからせることができるんだよ」
そう力説をするとやがてクスクスと笑い始めた。
「何がおかしいんだよ」
「いや、僕喧嘩なら負けないけど大丈夫?」
「もちろん!狼が人間に負けるわけないだろ」
「そうかな」
「そうだよ。だってほら見てみろよ」
狼の強さをわからない人間に少しムッとした俺は手を突き出し爪を見せつけた。
「爪も歯も刃物みたいに尖ってるし、耳だってこんなに大きい」
「ほんとだ。危ないね。もっと見せてよ」
すると赤ずきんは一歩こちらに近づくと、ハグでもするんじゃないかってぐらい体を密着させた。ふわりとおひさまの香りがした。
25
あなたにおすすめの小説
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
悪役令嬢の兄、閨の講義をする。
猫宮乾
BL
ある日前世の記憶がよみがえり、自分が悪役令嬢の兄だと気づいた僕(フェルナ)。断罪してくる王太子にはなるべく近づかないで過ごすと決め、万が一に備えて語学の勉強に励んでいたら、ある日閨の講義を頼まれる。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
陥落 ー おじさま達に病愛されて ー
ななな
BL
眉目秀麗、才ある青年が二人のおじさま達から変態的かつ病的に愛されるお話。全九話。
国一番の璃伴士(将棋士)であるリンユゥは、義父に温かい愛情を注がれ、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日、一人の紳士とリンユゥは対局することになり…。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる