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7 カーマインのピアノの音
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「ウル!」
「カーマイン!やっほ!」
昨日あったばかりなのに何故か彼の顔を見ると安心した。多分彼は暴力を振るったり暴言を吐かないからだと思う。
俺がしっぽを振りながら近づくと彼は嬉しそうに両手を広げた。
「そんなに僕と会えたのがうれしい?かわいいね」
そう強く抱きしめてくれた。人の高い体温が心地良い。その時、彼の右手が後頭部に触れた。
「痛っ」
ズキッとさっきぶつけた傷が痛む。
「もしかして怪我してるの?酷いたんこぶだね」
「こ、転んだだけ。大丈夫」
「冷やすものあげるからうちに入りなよ」
カーマインの家…?
俺は昨日見つけた川辺の小屋へと連れて行かれた。中はそんなに広くはないが、天井が高く壁もきれいで外見ほど古びた様子はない。
高くそびえ立つ本棚には分厚い本がぎっしりと詰まっていた。天井近くには小さな窓がついていて暖かい日差しが差し込んでいる。
赤ずきんはここに住んでいるのか。
「はい、保冷剤。最近ここに引っ越してきたばかりだからまだ散らかってるけどゆっくりしていってね」
「なんでこんな森に引っ越してきたの?」
俺はずっと疑問に思っていることをきいてみることにした。こんな誰も寄り付かない狼の森に人間が一人暮らしなんて聞いたことがない。危険すぎる。現にこうして俺みたいな狼に目をつけられてるし。
「街に疲れたんだ。ここはもともと祖母の家で空き家になってたから丁度いいかなって思ってね」
「ふーん。一人で寂しくないの?」
「一人は好きだから。君は?」
彼は窓の外を眺めた。
「俺も一人暮らし。親はいないけど寂しくはないかな」
そう伝えると彼は一瞬顔を曇らせた。なんだか少し悲しそうだ。
キョロキョロと視線を彷徨わせていると部屋の奥に小さな扉があることに気がついた。しかし扉の前には大きなダンボールが積み重なっていてうまく開きそうにはない。
「カーマイン、あれはなんの部屋?」
「あー物置部屋だよ」
すごいなぁ他にも部屋があるのか。この小屋外から見るより案外広いのかもしれない。隣の物置部屋とやらがどうなっているのか気になって、ドアを開けてみた。カーマインは特に咎めたりしない。
ドアを開けるとそこは真っ白い部屋だった。部屋の中心には大きな黒い機械のようなものがある。
床にはホコリが積もっていたが、その黒い機械にはチリ一つとしてなかった。
「これは…なに?」
近づいて触ってみた。硬い。なんの素材でできているのだろうか。
「カーマイン!やっほ!」
昨日あったばかりなのに何故か彼の顔を見ると安心した。多分彼は暴力を振るったり暴言を吐かないからだと思う。
俺がしっぽを振りながら近づくと彼は嬉しそうに両手を広げた。
「そんなに僕と会えたのがうれしい?かわいいね」
そう強く抱きしめてくれた。人の高い体温が心地良い。その時、彼の右手が後頭部に触れた。
「痛っ」
ズキッとさっきぶつけた傷が痛む。
「もしかして怪我してるの?酷いたんこぶだね」
「こ、転んだだけ。大丈夫」
「冷やすものあげるからうちに入りなよ」
カーマインの家…?
俺は昨日見つけた川辺の小屋へと連れて行かれた。中はそんなに広くはないが、天井が高く壁もきれいで外見ほど古びた様子はない。
高くそびえ立つ本棚には分厚い本がぎっしりと詰まっていた。天井近くには小さな窓がついていて暖かい日差しが差し込んでいる。
赤ずきんはここに住んでいるのか。
「はい、保冷剤。最近ここに引っ越してきたばかりだからまだ散らかってるけどゆっくりしていってね」
「なんでこんな森に引っ越してきたの?」
俺はずっと疑問に思っていることをきいてみることにした。こんな誰も寄り付かない狼の森に人間が一人暮らしなんて聞いたことがない。危険すぎる。現にこうして俺みたいな狼に目をつけられてるし。
「街に疲れたんだ。ここはもともと祖母の家で空き家になってたから丁度いいかなって思ってね」
「ふーん。一人で寂しくないの?」
「一人は好きだから。君は?」
彼は窓の外を眺めた。
「俺も一人暮らし。親はいないけど寂しくはないかな」
そう伝えると彼は一瞬顔を曇らせた。なんだか少し悲しそうだ。
キョロキョロと視線を彷徨わせていると部屋の奥に小さな扉があることに気がついた。しかし扉の前には大きなダンボールが積み重なっていてうまく開きそうにはない。
「カーマイン、あれはなんの部屋?」
「あー物置部屋だよ」
すごいなぁ他にも部屋があるのか。この小屋外から見るより案外広いのかもしれない。隣の物置部屋とやらがどうなっているのか気になって、ドアを開けてみた。カーマインは特に咎めたりしない。
ドアを開けるとそこは真っ白い部屋だった。部屋の中心には大きな黒い機械のようなものがある。
床にはホコリが積もっていたが、その黒い機械にはチリ一つとしてなかった。
「これは…なに?」
近づいて触ってみた。硬い。なんの素材でできているのだろうか。
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