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第10話 話し合いは雰囲気も大事
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「あーあ。京太お兄ちゃんが来るなら、予定空けておけば良かった」
「俺も残念だよ。またイカトゥーンしようね」
「うん♪ それじゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
玄関で優美ちゃんを見送ってあげる。どうやら今日はお友達と約束があるみたいだ。
朝から遊びに行くなんて元気だなぁと思ったが、そういえば俺も小学生の頃はよく朝から晩まで遊んでいたことを思い出す。今となっては腑抜けたものよ……。
「で?」
隣に立つルリレッドを見る。
「こんな朝早くから呼び出してルリレッドの教育ですか? ええ?」
嫌味ったらしく言ってのけると、「ちっちっちっ!」とルリレッドが指を振ってくる。
「わたしはルリレッドだけではありません。わたしはルリキュア全てに変身出来ます。ルリブルー、ルリイエロー、ルリピンク……」
「やかましっ! ルリキュアの話をしに来たんじゃねーよ!」
「え? 違うんですか?」
「知らねーよ! 呼び出されたんだよ! お前に! 朝の7時から! 鬼電で!」
はぁはぁと息を切らして言ってやる。
「まぁまぁ。ルリヒール」
そう言って手でハートを作った。
「これで枚方くんの体力も回復です」
「誰のせいで体力減ったと思っとんだ」
「ささ。わたし達の青春は限られております。早速会議を始めますよぉ」
「こんにゃろ……」
しかしまぁ、朝から血圧を上げても仕方ない。
俺は少し冷静になり、ルリレッドに続いて家の階段を上がっていく。
自室で会議をするものと思い、俺も彼女へと付いていく。
女子の部屋に入る、それも高嶺の花と呼ばれている女子の部屋に入るなんて普通は緊張するものだろう。男の夢が詰まった美少女の部屋。
「俺にもそんなことを夢見た時期がありました」
なんだろうね。別に漫画やアニメ、ポスターに囲まれた部屋だからってわけじゃない。女の子特有の良い匂いのする部屋だし、緊張を嗅ぎ立てるものはあるはずだ。
なのに、無の感情が渦巻く。無の極地。それが俺の心情。
「あ、すみません枚方くん。今から着替えますので少しだけ外で待っていてくださいますか?」
「お構いなく」
俺は部屋に留まる。
すると、ルリレッドは変身を解くようにゴスロリ衣装を脱いで、下着姿となり、東堂優乃へと戻って行った。
その様子を腕を組んで見守る。
「って! なんで出て行ってくれないんですか!?」
「おろ? ツッコミが遅いな。流行りの時間差ツッコミ? 流行ってるとか知らんけど」
「違います! 出て行ってください! 着替えてるでしょ!」
「いや、もう良いかなって……」
「はい?」
「だって、下着姿で写真撮られて、言うこと聞かないと写真ばら撒くって脅されてさ」
「酷い話ですね」
「お前だぞ」
「ぅぉへ」
多分、「てへぺろ」をしたいんだろうけど、笑い方が気持ち悪くてできていない。顔は可愛んだけどな。
「それで、脅されてるなら生着替えくらい見てもいっかって思ってさ」
「変態じゃないですか」
「1回見てるし、いっかなって」
「あ、そういえばそうですね」
「そこで納得されるとは思わなんだ」
まさか納得するとはまじで思わず、驚いていると、東堂はブラのホックに手をやった。
「おい! なにしてんの?」
「なにって、汗かいちゃったのでブラを外そうかと」
「待て待て待て! 流石にそれはえぐい! 下着姿はまだ良いとして」
「アウトですよ?」
「いや、モロ見えはえぐいだろ!」
「今の時点でもモロ見えでしょ」
「なんでそんなに冷静なんだよ!」
「吹っ切れたので。別に枚方くんになら見られても良いですし」
「ちょ! まじやん!」
俺は耐えきれなくなり部屋を出た。
「あのやろ……まじで下着脱いだぞ……」
あいつに恥じらいはないのだろうか。
♢
もう着替えたことを教えてくれたので部屋に入る。
「お待たせしました」
普通の格好だ。
無地のシャツにデニムといったシンプルなスタイル。
しかし、東堂が着るだけで、高級ブランドを着ているのかと錯覚してしまう。
「わたしが着ただけで、しまうらの服も高級ブランドにはや代わりなのですよ」
本当に容姿にだけは自信のある女だ……。
「それで? こんな朝から会議ってなんだよ?」
ようやく本題へと入る
会議の内容は大体予想はできる。しかしだ。こんな時間から何を話すと言うのだ。
「ええっとですね……」
コホンと咳払いをすると、「でゅひゅ」と笑顔を見した。
「なにを話しましょ?」
「あらら」
その場で倒れ込んでしまう。
「なんで呼び出した!?」
「仕方ないじゃないですか! こちとら陰キャぼっちなんですよ!? 男の子を招き入れてなにを喋れって言うのですか!?」
「知るかっ!」
なにを話すか考えてから呼び出せよ。
こちらからは特に話すこともないので、とりあえず黙っていると、「うう……」と唸り声を上げている。
どうやら沈黙は苦手なようだ。
「あ、そうです」
パンと手を叩いてなにか閃いた様子を見せる。
「こういうのは場の雰囲気も大事だと城執事のラインハルト様も言っていました」
「誰だよラインハルト様って」
「まぁほぼ枚方くんですね」
「俺!?」
「っと……」
慌てて口をおさえると、改めて言ってくる。
「というわけでカフェに行きましょう。さぁ行きましょう」
誤魔化すように部屋を出て行く。
「あ、ちょ。ラインハルト様がほぼ俺の件は片付いていないぞ」
「わたし達の青春は限られております。さっさと行きますよ」
「そのセリフ気に入ってるの?」
「俺も残念だよ。またイカトゥーンしようね」
「うん♪ それじゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
玄関で優美ちゃんを見送ってあげる。どうやら今日はお友達と約束があるみたいだ。
朝から遊びに行くなんて元気だなぁと思ったが、そういえば俺も小学生の頃はよく朝から晩まで遊んでいたことを思い出す。今となっては腑抜けたものよ……。
「で?」
隣に立つルリレッドを見る。
「こんな朝早くから呼び出してルリレッドの教育ですか? ええ?」
嫌味ったらしく言ってのけると、「ちっちっちっ!」とルリレッドが指を振ってくる。
「わたしはルリレッドだけではありません。わたしはルリキュア全てに変身出来ます。ルリブルー、ルリイエロー、ルリピンク……」
「やかましっ! ルリキュアの話をしに来たんじゃねーよ!」
「え? 違うんですか?」
「知らねーよ! 呼び出されたんだよ! お前に! 朝の7時から! 鬼電で!」
はぁはぁと息を切らして言ってやる。
「まぁまぁ。ルリヒール」
そう言って手でハートを作った。
「これで枚方くんの体力も回復です」
「誰のせいで体力減ったと思っとんだ」
「ささ。わたし達の青春は限られております。早速会議を始めますよぉ」
「こんにゃろ……」
しかしまぁ、朝から血圧を上げても仕方ない。
俺は少し冷静になり、ルリレッドに続いて家の階段を上がっていく。
自室で会議をするものと思い、俺も彼女へと付いていく。
女子の部屋に入る、それも高嶺の花と呼ばれている女子の部屋に入るなんて普通は緊張するものだろう。男の夢が詰まった美少女の部屋。
「俺にもそんなことを夢見た時期がありました」
なんだろうね。別に漫画やアニメ、ポスターに囲まれた部屋だからってわけじゃない。女の子特有の良い匂いのする部屋だし、緊張を嗅ぎ立てるものはあるはずだ。
なのに、無の感情が渦巻く。無の極地。それが俺の心情。
「あ、すみません枚方くん。今から着替えますので少しだけ外で待っていてくださいますか?」
「お構いなく」
俺は部屋に留まる。
すると、ルリレッドは変身を解くようにゴスロリ衣装を脱いで、下着姿となり、東堂優乃へと戻って行った。
その様子を腕を組んで見守る。
「って! なんで出て行ってくれないんですか!?」
「おろ? ツッコミが遅いな。流行りの時間差ツッコミ? 流行ってるとか知らんけど」
「違います! 出て行ってください! 着替えてるでしょ!」
「いや、もう良いかなって……」
「はい?」
「だって、下着姿で写真撮られて、言うこと聞かないと写真ばら撒くって脅されてさ」
「酷い話ですね」
「お前だぞ」
「ぅぉへ」
多分、「てへぺろ」をしたいんだろうけど、笑い方が気持ち悪くてできていない。顔は可愛んだけどな。
「それで、脅されてるなら生着替えくらい見てもいっかって思ってさ」
「変態じゃないですか」
「1回見てるし、いっかなって」
「あ、そういえばそうですね」
「そこで納得されるとは思わなんだ」
まさか納得するとはまじで思わず、驚いていると、東堂はブラのホックに手をやった。
「おい! なにしてんの?」
「なにって、汗かいちゃったのでブラを外そうかと」
「待て待て待て! 流石にそれはえぐい! 下着姿はまだ良いとして」
「アウトですよ?」
「いや、モロ見えはえぐいだろ!」
「今の時点でもモロ見えでしょ」
「なんでそんなに冷静なんだよ!」
「吹っ切れたので。別に枚方くんになら見られても良いですし」
「ちょ! まじやん!」
俺は耐えきれなくなり部屋を出た。
「あのやろ……まじで下着脱いだぞ……」
あいつに恥じらいはないのだろうか。
♢
もう着替えたことを教えてくれたので部屋に入る。
「お待たせしました」
普通の格好だ。
無地のシャツにデニムといったシンプルなスタイル。
しかし、東堂が着るだけで、高級ブランドを着ているのかと錯覚してしまう。
「わたしが着ただけで、しまうらの服も高級ブランドにはや代わりなのですよ」
本当に容姿にだけは自信のある女だ……。
「それで? こんな朝から会議ってなんだよ?」
ようやく本題へと入る
会議の内容は大体予想はできる。しかしだ。こんな時間から何を話すと言うのだ。
「ええっとですね……」
コホンと咳払いをすると、「でゅひゅ」と笑顔を見した。
「なにを話しましょ?」
「あらら」
その場で倒れ込んでしまう。
「なんで呼び出した!?」
「仕方ないじゃないですか! こちとら陰キャぼっちなんですよ!? 男の子を招き入れてなにを喋れって言うのですか!?」
「知るかっ!」
なにを話すか考えてから呼び出せよ。
こちらからは特に話すこともないので、とりあえず黙っていると、「うう……」と唸り声を上げている。
どうやら沈黙は苦手なようだ。
「あ、そうです」
パンと手を叩いてなにか閃いた様子を見せる。
「こういうのは場の雰囲気も大事だと城執事のラインハルト様も言っていました」
「誰だよラインハルト様って」
「まぁほぼ枚方くんですね」
「俺!?」
「っと……」
慌てて口をおさえると、改めて言ってくる。
「というわけでカフェに行きましょう。さぁ行きましょう」
誤魔化すように部屋を出て行く。
「あ、ちょ。ラインハルト様がほぼ俺の件は片付いていないぞ」
「わたし達の青春は限られております。さっさと行きますよ」
「そのセリフ気に入ってるの?」
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