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第19話 処刑か結婚か養うか
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屋上で優乃と2人っきりになる。
ギュルルルル!
突如、ものすごい音が鳴り響いた。
腹の音だ。俺ではない。
優乃だ。
高嶺の花の美少女から出たとは思えないほどの音だった。
「……」
「……」
沈黙が流れると優乃が、「やれやれ」と口に出して言ってくる。
「もう。京太くんったら成長期なんですねぇ」
「なんで2人で誤魔化せると思った?」
「……」
美少女言い訳を考え中。
「仕方ないじゃなですか!」
どうやらい良い訳が浮かばなかったみたいだ。
「わたしの栄養は全部おっぱいに行くんです!」
「それ、あんまり良くない言葉だから言うのやめた方が良いよ?」
「巨乳なんです。巨乳過ぎるんですよ……。わたし」
くっ、と悔しそうな顔をしている謎の美少女へ問いかける。
「昼飯食べてないの?」
「わたし、お昼は食べないんです」
「おいおい。昼は食べないと。俺たち成長期なのに」
「このスタイルを見ても成長期と?」
言いながらポージングをしてくる優乃。
悔しいが、すでに完成しているプロポーションに、グゥの音も出ない。
「いやいや。なんか論破されかけたけど、そうじゃなくて、普通に昼食わないと倒れるぞ?」
「だって持って来てないですもん」
「なんで持って来てねぇんだよ」
今度はこちらが、やれやれな気分で膝に置いてあった弁当を差し出した。
「食べる? まだ手をつけてないから安心してくれて良い」
他人のお弁当なんて抵抗があるだろうけど、一応聞いてみると優乃は嬉しそうな顔を見せた。
「い、良いんです?」
「あ、ああ。別に良いよ」
意外と抵抗ないんだな。俺は他人の弁当ってちょっと抵抗があるけど。
そう言うと語弊があるな。なんて言うか、家族とか恋人とかなら全然平気というか。
誰に言い訳してるのか。
こちらが考え込んでいると、優乃は俺の隣に座った。
ふわりと女の子の匂いがして、それだけでお腹いっぱいになってしまう。
「あい」
彼女の匂いに胸をときめかせながら、冷静を装いお弁当を差し出す。
「あ、あざす」
言いながら弁当を受け取り、彼女は膝の上で俺のお弁当を広げた。
「うわぁ。おいしそうですぅ」
お世辞とは思えないような声で言うと優乃は、「いただきます」とお弁当を食べ始まる。
「うう……」
ミニハンバーグを食べると彼女は箸を持っていない方の手を頬に持っていった。
「おいしいですぅ! なんですかこれ!」
「口に合ったなら良かったよ」
「京太くんのお母さんは料理上手なんですね!」
バグバグと部活男子みたいに食べ始める優乃に否定する。
「いや。これ、俺の手作りなんだ」
途端、彼女の手が止まる。
「……へ?」
「俺の手作り」
もう1度言うと、稲妻が落ちたかのような表現でを俺を見てくる。
「本気ですか?」
「手を抜いて作った。弁当だし、ほとんど昨日の残り」
「そうじゃなくて! これ、京太くんが作ったんですか!?」
「疑い深いなぁ。マジで俺だっての」
改めて言ってやると、優乃が停止した。
「ぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつ」
優乃が煙を出してバグった。
「おおい。優乃ぉ?」
「結果、処刑です」
「は?」
あの念仏の結果が処刑とか重過ぎるだろ。
「京太くんは処刑です。もしくはわたしと結婚です! 2択です!」
「いやいやいや! 落差がすごいな。天国と地獄じゃねぇかよ」
そう言った後に、その表現だと優乃と結婚したいって言いたげではないかと思ったが、どうやら、こやつは気がついていないらしい。
「なんです!? なんなんですか!?」
「な、なにがだよ」
「おいしいんです。おいし過ぎるんです……」
「ありがとうなんだけど、泣きながら食べるのやめてくんない?」
「うう……。ご馳走様です」
食うのはえぇ。
マジで部活男子並みの早さじゃねぇかよ。
「そんだけ食うの早いなら、昼飯持って来いよ」
「仕方ないじゃないですか。女の子はお金がかかるんです」
「金欠?」
「はい……」
なるほどなぁ。それで昼飯を我慢してるって、中学生じゃあるまいし。
「バイトしろよ」
中学生なら昼飯代を、ないないしてお小遣いとして貯める奴を見たことがあるが、高校生はバイトができるのだから、金がないのならバイトをすれば良いのではないかと思ってしまう。
「陰キャぼっちが社会に貢献できるとでも?」
「できるだろうが。てか、強制的に数年後には社会人だぞ」
言うと耳を塞ぐ。
「いやです! 聞きたくない! 京太くん養ってください!」
「ああ……」
って頷きかけてなんとか正気を保つ。
危ない危ない。危うくこいつを養う気でいるところだった。
「あれだって。あれだったら、あれ……」
なんとか誤魔化そうと言葉を選んでいるうちに俺の脳内が覚醒を果たした。
「俺のバイト先紹介してやろうか?」
そう言うと、彼女はジト目で見てくる。
「優美の家庭教師ですか? 優美の家庭教師は京太くんじゃないとダメだと思いますけど」
「違う違う。カフェだよカフェ。カフェのバイト」
「カフェ!?」
優乃はドヤ顔をする。
「ふっ。カフェデビューを果たしたわたしへの挑戦。ですか?」
「なんの挑戦だよ」
「カフェデビューの次はカフェでバイト。ふっ。余裕過ぎて草越え空越えビッグバンです」
意味がわからないが、自信があることだけはなんとなくわかる。
「やるか?」
「あ、えと……」
改めて聞くと、先ほどの自信がビックバンで消えたかのように不安そうな顔で尋ねてくる。
「そ、それは京太くんもいるのでしょうか?」
「そりゃな」
そう言うとビックバンで生まれた美少女の自信を見せつけてくる。
「それなら良いでしょう。余裕です」
本当にこいつの情緒はどうなってんだろうな。見ていて楽しいけど。
ギュルルルル!
突如、ものすごい音が鳴り響いた。
腹の音だ。俺ではない。
優乃だ。
高嶺の花の美少女から出たとは思えないほどの音だった。
「……」
「……」
沈黙が流れると優乃が、「やれやれ」と口に出して言ってくる。
「もう。京太くんったら成長期なんですねぇ」
「なんで2人で誤魔化せると思った?」
「……」
美少女言い訳を考え中。
「仕方ないじゃなですか!」
どうやらい良い訳が浮かばなかったみたいだ。
「わたしの栄養は全部おっぱいに行くんです!」
「それ、あんまり良くない言葉だから言うのやめた方が良いよ?」
「巨乳なんです。巨乳過ぎるんですよ……。わたし」
くっ、と悔しそうな顔をしている謎の美少女へ問いかける。
「昼飯食べてないの?」
「わたし、お昼は食べないんです」
「おいおい。昼は食べないと。俺たち成長期なのに」
「このスタイルを見ても成長期と?」
言いながらポージングをしてくる優乃。
悔しいが、すでに完成しているプロポーションに、グゥの音も出ない。
「いやいや。なんか論破されかけたけど、そうじゃなくて、普通に昼食わないと倒れるぞ?」
「だって持って来てないですもん」
「なんで持って来てねぇんだよ」
今度はこちらが、やれやれな気分で膝に置いてあった弁当を差し出した。
「食べる? まだ手をつけてないから安心してくれて良い」
他人のお弁当なんて抵抗があるだろうけど、一応聞いてみると優乃は嬉しそうな顔を見せた。
「い、良いんです?」
「あ、ああ。別に良いよ」
意外と抵抗ないんだな。俺は他人の弁当ってちょっと抵抗があるけど。
そう言うと語弊があるな。なんて言うか、家族とか恋人とかなら全然平気というか。
誰に言い訳してるのか。
こちらが考え込んでいると、優乃は俺の隣に座った。
ふわりと女の子の匂いがして、それだけでお腹いっぱいになってしまう。
「あい」
彼女の匂いに胸をときめかせながら、冷静を装いお弁当を差し出す。
「あ、あざす」
言いながら弁当を受け取り、彼女は膝の上で俺のお弁当を広げた。
「うわぁ。おいしそうですぅ」
お世辞とは思えないような声で言うと優乃は、「いただきます」とお弁当を食べ始まる。
「うう……」
ミニハンバーグを食べると彼女は箸を持っていない方の手を頬に持っていった。
「おいしいですぅ! なんですかこれ!」
「口に合ったなら良かったよ」
「京太くんのお母さんは料理上手なんですね!」
バグバグと部活男子みたいに食べ始める優乃に否定する。
「いや。これ、俺の手作りなんだ」
途端、彼女の手が止まる。
「……へ?」
「俺の手作り」
もう1度言うと、稲妻が落ちたかのような表現でを俺を見てくる。
「本気ですか?」
「手を抜いて作った。弁当だし、ほとんど昨日の残り」
「そうじゃなくて! これ、京太くんが作ったんですか!?」
「疑い深いなぁ。マジで俺だっての」
改めて言ってやると、優乃が停止した。
「ぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつ」
優乃が煙を出してバグった。
「おおい。優乃ぉ?」
「結果、処刑です」
「は?」
あの念仏の結果が処刑とか重過ぎるだろ。
「京太くんは処刑です。もしくはわたしと結婚です! 2択です!」
「いやいやいや! 落差がすごいな。天国と地獄じゃねぇかよ」
そう言った後に、その表現だと優乃と結婚したいって言いたげではないかと思ったが、どうやら、こやつは気がついていないらしい。
「なんです!? なんなんですか!?」
「な、なにがだよ」
「おいしいんです。おいし過ぎるんです……」
「ありがとうなんだけど、泣きながら食べるのやめてくんない?」
「うう……。ご馳走様です」
食うのはえぇ。
マジで部活男子並みの早さじゃねぇかよ。
「そんだけ食うの早いなら、昼飯持って来いよ」
「仕方ないじゃないですか。女の子はお金がかかるんです」
「金欠?」
「はい……」
なるほどなぁ。それで昼飯を我慢してるって、中学生じゃあるまいし。
「バイトしろよ」
中学生なら昼飯代を、ないないしてお小遣いとして貯める奴を見たことがあるが、高校生はバイトができるのだから、金がないのならバイトをすれば良いのではないかと思ってしまう。
「陰キャぼっちが社会に貢献できるとでも?」
「できるだろうが。てか、強制的に数年後には社会人だぞ」
言うと耳を塞ぐ。
「いやです! 聞きたくない! 京太くん養ってください!」
「ああ……」
って頷きかけてなんとか正気を保つ。
危ない危ない。危うくこいつを養う気でいるところだった。
「あれだって。あれだったら、あれ……」
なんとか誤魔化そうと言葉を選んでいるうちに俺の脳内が覚醒を果たした。
「俺のバイト先紹介してやろうか?」
そう言うと、彼女はジト目で見てくる。
「優美の家庭教師ですか? 優美の家庭教師は京太くんじゃないとダメだと思いますけど」
「違う違う。カフェだよカフェ。カフェのバイト」
「カフェ!?」
優乃はドヤ顔をする。
「ふっ。カフェデビューを果たしたわたしへの挑戦。ですか?」
「なんの挑戦だよ」
「カフェデビューの次はカフェでバイト。ふっ。余裕過ぎて草越え空越えビッグバンです」
意味がわからないが、自信があることだけはなんとなくわかる。
「やるか?」
「あ、えと……」
改めて聞くと、先ほどの自信がビックバンで消えたかのように不安そうな顔で尋ねてくる。
「そ、それは京太くんもいるのでしょうか?」
「そりゃな」
そう言うとビックバンで生まれた美少女の自信を見せつけてくる。
「それなら良いでしょう。余裕です」
本当にこいつの情緒はどうなってんだろうな。見ていて楽しいけど。
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