彼女に二股されて仲間からもハブられたらボッチの高嶺の花のクラスメイトが高校デビューしたいって脅してきた

すずと

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第34話 東堂家の食卓

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「京太お兄ちゃん。これ美味しい」
「うん。市販のソースより美味しいわ」

 風呂上りに出来たカルボナーラを、優美ちゃんと雫さんが食べてくれる。

「美少女の潮が入っているので」
「入ってねぇよ」

 即座に否定してやるが、優乃は無視してカルボナーラを食べる。

 すると目を見開いた。

「うーん。凄く美味しいですぅ。京太くんの料理はまじ神超えてヴァルハラ超えてビッグバンですぅ」
「意味はわからんが、美味しいと言ってくれてることはわかる」

 俺もカルボナーラを食べる。

 うん。今日も美味しくできたみたいだな。

「それにしても、本当に美味しいですね」

 感心した様子で食べてくれる雫さんは、「そうだ」となにか閃いた様子でこちらに視線を配る。

「優美と結婚したらこの料理を食べられるのよね?」
「ちょっとお母さん!?」

 雫さんの発言に優乃が声を荒げた。

「今の流れ的にわたしじゃないんですか!?」
「あなたはバカだから京太くんに失礼よ」
「酷いが過ぎます」

 確かに直球過ぎる酷さだな。

「で、ですが雫さん。優美ちゃんを狙うのはだめとかなんとか」

 この前の日曜日に言われたことを言うと、「ああ」と思い出したようだが。

「こんなに料理が上手な男性なら大丈夫です。それに美也子みやこの息子ですしね」

 この場面で母親の名前が出るとは思わなんだ。

「じゃあ、じゃあ、ゆうみ、京太お兄ちゃんと結婚するー」
「良かったわねー、ゆうみ。大好きな京太お兄ちゃんと結婚できて」
「うん」

 婚約の話しが勝手に進んでいる。

 この前は狙うなと言っていた母親が……。食というのはおそろしい。人間の心を簡単に変える。

「だ、だめです!」

 ガシャンとダイニングテーブルから身を乗り出して優乃が会話を止めた。

 そのアクションに3人の視線が彼女へと向いた。

「そんなのだめです!」
「いやねー優乃。冗談じゃない」
「え? ゆうみは冗談じゃないけど?」
「優美はまだ小学生で結婚できないでしょ?」
「ゆうみ。既に結婚願望丸出しだよ?」
「まだまだ子供なんだから。冗談に決まってるじゃない」
「ゆうみ。婚姻届けの書き方ネットで覚えたよ」

 婚姻届けの書き方を知ってる小学生とかすごいな。

「あれあれー?」

 雫さんは見事に優美ちゃんをスルーして、煽るような言い方で優乃を見た。

「もしかして、優乃は京太くんに恋しちゃってるのー?」

 言われて優乃は顔を赤く染めた。

「は、はぁ!? か、かか、勘違いしないでください! そんなんじゃありませんから!」
「顔を赤くしちゃって」
「ほ、本当に違います! 京太くんは、ラインハルト様に似てるから」

 出たよラインハルト様。一体何者なんだ。

「わかりみが深い」

 いきなり同調する雫さんは鋭い目つきで俺を見た。

「どちらかと言うと2期の覚醒後のラインハルト様に近いわね。ただ惜しいわ。ラインハルト様は料理をしない」
「そうなんです……。そうなんですよ。料理ができてしまっているんです」
「それ以外は完璧にラインハルト様なんだけど」
「それ以外は完璧にラインハルト様なんですよね。ラインハルト様過ぎるんです」

 一体彼女達の中でなにがあったのだろうか。てか、ラインハルト様、雫さんも知ってるんだね。

「京太お兄ちゃん。京太お兄ちゃん。お母さんもお姉ちゃんと同じ、『ふじょし』らしいんだけど、どういう意味?」
「いや、知らなくて良いよ」

 そこから親子による、『京太くんが1番何のキャラに似てるか』漫談が始まってしまった。
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