153 / 365
被保護編 338年
338年2月3-2
しおりを挟む
王妃からのドレス。
春のパーティに着てほしいと王妃から直接贈られては、拒否する事は難しい。
だが彼女はドレスを着たくない。
ドレスを着たくないのは彼女だけで、王妃まで含めて全員着せたいので拒絶は不可能だ。
「王宮には私も移るし、レイサスに近すぎる。ここでドレスを着ていったら、確実に愛人だとみなされる」
「恋人だと思われるのが嫌なのか?」
「結婚も婚約もしていない王太子に女が纏わりついていたら評判が下がる。レイサスの結婚に差支えがある。だからさっさと」
「あなたには悪いが、恋人役をしてくれたほうが有難い。そういう相手でもいないと大変なんだ」
「・・・あぁ」
仕方がないと諦めた。レイは上手い言い方だった。
実際レイへの申し込みは激増した。政敵がいなくなり太子位は確実になった。国は発展しつつある。二十六歳の評判の美男である王子。
「だけど私では風除けにもならないんじゃないかな。平民だからお姫様達の敵にはなれないし、眼中になくて意味がないんじゃ」
着ない理由を考えたらしい。
「あなた次第だ。あなたが私と仲睦まじい所を見せ、誰も入る余地がないと思わせてくれれば助かる」
「仲・・・」
絶望的な表情に笑える。そんな顔をしなくても。
「結局最初の、評判を落とすから」
「それでも諦めない相手から探す」
「・・・わかった。善処します」
項垂れて猫を撫でている。
「贈られた中から何を着るか決めましょう。レイの衣装も合わせる必要があります」
オーサーの動きは重かったが、私とレイは意気揚々と立ち上がった。
春のパーティに着てほしいと王妃から直接贈られては、拒否する事は難しい。
だが彼女はドレスを着たくない。
ドレスを着たくないのは彼女だけで、王妃まで含めて全員着せたいので拒絶は不可能だ。
「王宮には私も移るし、レイサスに近すぎる。ここでドレスを着ていったら、確実に愛人だとみなされる」
「恋人だと思われるのが嫌なのか?」
「結婚も婚約もしていない王太子に女が纏わりついていたら評判が下がる。レイサスの結婚に差支えがある。だからさっさと」
「あなたには悪いが、恋人役をしてくれたほうが有難い。そういう相手でもいないと大変なんだ」
「・・・あぁ」
仕方がないと諦めた。レイは上手い言い方だった。
実際レイへの申し込みは激増した。政敵がいなくなり太子位は確実になった。国は発展しつつある。二十六歳の評判の美男である王子。
「だけど私では風除けにもならないんじゃないかな。平民だからお姫様達の敵にはなれないし、眼中になくて意味がないんじゃ」
着ない理由を考えたらしい。
「あなた次第だ。あなたが私と仲睦まじい所を見せ、誰も入る余地がないと思わせてくれれば助かる」
「仲・・・」
絶望的な表情に笑える。そんな顔をしなくても。
「結局最初の、評判を落とすから」
「それでも諦めない相手から探す」
「・・・わかった。善処します」
項垂れて猫を撫でている。
「贈られた中から何を着るか決めましょう。レイの衣装も合わせる必要があります」
オーサーの動きは重かったが、私とレイは意気揚々と立ち上がった。
7
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
兄の親友が彼氏になって、ただいちゃいちゃするだけの話
狭山雪菜
恋愛
篠田青葉はひょんなきっかけで、1コ上の兄の親友と付き合う事となった。
そんな2人のただただいちゃいちゃしているだけのお話です。
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しています。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる