ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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第三十四話 「おやゆび姫の、小さな小さな大冒険!」

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今日は、恵と京花と冬香と一緒に、雪子ちゃんの幼稚園で、『おやゆび姫の』紙しばいをやります!
なんで、紙しばいをやるのかって言うと、理由は雪子ちゃん。私のお母さんは、虹色幼稚園で先生をやってるの。それで雪子ちゃんが、「おやゆび姫って何?」って聞かされて、説明したら、「おもしろそーう!ねぇ、冬ねぇと友達の恵ちゃん、京花ちゃん、先生の娘さんで、紙しばいして欲しーい!って言うから、許可したらしく、私にたのんだわけ。
小さい子の前で紙しばいをするの、初めてだなぁ。
あと、恵の妹達も、同じ幼稚園だよ。
えっと、紙しばい、紙しばいっと・・・・・・あった!
私は机の上にある紙しばいを取った。
さあてと、着がえよっかなぁ。
私はパジャマを脱ぎ捨てた。
バンバンバンバン!
もう、うるさいなぁ。誰?窓をたたいてるの。
私は窓のところへ行き、カーテンを開けた。そこには、ジュンブライトが、窓をたたいていた。
私は窓を開けた。

「なんなのよ。こんな朝っぱらから。」

「なにって、知らせに来たんだよ、知らせに・・・・・・。」

ジュンブライトの言葉がとぎれた。
ジュンブライトが見ている方向は、私の顔ではなく、私のブラジャー。
キャー!ジュンブライトのエッチ、変態、スケベ!
私はぬいぐるみを投げると、ジュンブライトはおっこちた。
すると今度は、マドレーヌちゃん、リリアさん、ルクトさんがやって来た。

「ジュンブライトになんてことをするの!ジュンブライトはね、6つ目のおやゆび姫の石が見つかったってことを伝えに来たのよ!」

リリアさんが、ぷんぷん怒っている。
えぇ~!?
下を見ると、ジュンブライトが私んちのお庭でたおれていた。しかも、目はうずまきになってるし。
私、なんてことをしてしまったのでしょー!

「早く着がえて、ジュンブライトお兄様に謝ってくださいっ。」

はーい。
私は急いで着がえた。そして部屋を出て、階段をおりて、くつをはいて、外に出て、お庭の方へと向かった。
あらら。完全に、気絶してるよ。私が投げた、プ〇さんのぬいぐるみ、キ〇ィちゃんのぬいぐるみ、ミッ〇ーのぬいぐるみ、ドナル〇ダックのぬいぐるみが、ジュンブライトの横にある。
ごめんね。プ〇さん、キ〇ィちゃん、ミッ〇ー、ドナル〇ダック。こーんな、乱暴みたいなこと、してしまって。

「う・・・・・・う~ん。」

ジュンブライト!よかったぁ、目覚めて!
目覚めたジュンブライトは、そのまま立ち上がって、私の顔を見た。
な・・・・・・何よ。

「おめぇ、人がせっかく知らせに来たっていうのに、よおく、乱暴なこと、してくれたな!」

うわぁ。この人、両手をボキボキ音を鳴らしながら、にらんでるよぉ。

「ごめんね!私、知らせに来たとは思わず、こんなことをしてしまって・・・・・・。あ、そうそう!ジュンブライト、石、見せて!」

その瞬間、ジュンブライトは怒った顔から、急に、いつもの笑顔に変わった。

「わかった。ちょっと、まっててクレヨン。」

こんな寒い時期に、寒~いおやじギャグを言うなんて、ありえません。

「あ、あれ?」

どうしたの?ジュンブライト。

「おかしいなぁ。」

ジュンブライトが、ポケットの中身をあせって見ると、やばい!という顔になった。

「石が・・・・・・ねぇ!」

「え~!?」

みんなは驚いて、かたまった。

「どこでなくしたの!?」

「きっと、空を自由に飛んでいたら、強くて寒~い風が、ピューと、吹いていたんだよ!」

「その時、石はどこにありましたか!?」

そのとたん、ジュンブライトが下を向いた。

「俺の頭の上。」

はぁ~。こんな時に、なんてついていないんだろ、このヴァンパイア。

「私の石、なくされたんですか?」

美しい女の子の声がした。
でも、女の子の姿は見当たらない。

「ここですよ。」

え?どこ?

「あなた達のすぐ近くですよ。」

振り向くと、私の家の花だんの前で、かわいいおやゆびぐらいの、金髪で、花のカチューシャをしている女の子がいた。
この子って、まさか・・・・・・。

「あの・・・・・・。おやゆび姫、ですか?」

女の子はにこっと笑って、うなずいた。

「えぇ。春間真莉亜さん、初めまして、おやゆび姫です。」

やっぱり!

「その紙は、なんですか?」

おやゆび姫が、紙しばいを不思議そうに指さした。
あ。これ、紙しばいで、おやゆび姫の話をするんだよ。
そのとたん、おやゆび姫がしくしく泣き出した。
ど、どうしたんですか!?

「私の物語を紙しばいにするなんて、まるで、夢みたいです。」

おいおい。これはあんたがドラゴン退治をする話じゃないんだよ。あんたの生みの親、アンデルセンがかいた、物語なんだよ~。
おやゆび姫って、涙もろいの性格だっけ?

「あ。私、よかったら手伝いましょうか?」

へ?なにを?

「決まってるんじゃないですか。石探しですよ、石探し。」

あぁ!でも、おやゆび姫の体に合わせた、石なんでしょ?こーんな体の大きさじゃ、探しきれないよ。

「はい!」

おやゆび姫がみんなに、1本の小さな緑色のボトルをわたした。
なに?これ?

「これを飲むと、私みたいな体になれますよ。」

へぇー、すっごーい!

「んじゃあ、俺、飲む!」

ちょっと!ジュンブライト、そんなに一気に飲んだらいけないよ。

「あー、うまかった!お?」

ジュンブライトの体が光って、だんだん体がおやゆびぐらいになってゆく。

「あれ?王子は?」

「おーい!俺はここにいるぞぉ!」

地面を見ると、小さくなったジュンブライトが、大きく手を振っていた。
本当だ!ジュンブライトの体が、おやゆびぐらいになってるぅ!

「わたくし達も飲みましょう。」

「えぇ!」

「はい。」

「うんっ。」

私達は一気に飲むと、体が光り、だんだん体がおやゆびぐらいになった。
わ!本当だ!私達、おやゆびぐらいになってるぅ!
しかも、花だんでかっ!紙しばいもでかっ!

「さぁ、石探しに行きましょう。」

おやゆび姫、もうそこにいるの!?
あそっか、私達、おやゆびぐらいになっているんだっけ。

「お姉ちゃーん!」

向こうから、太い声が聞こえた。
わ、琉理!琉理の声って、そんなに太かったっけ?

「お前、バカだなぁ。おやゆびぐらいになっているやつは、なってないやつの声が太く感じるんだよ。」

あ、そっか。
するとルクトさんの顔が、急にまっさおになった。
どうしたんですか?

「後ろ・・・・・・後ろを見てください!」

へ?私が後ろを振り向くと・・・・・・。
キャー!琉理が怪獣みたいに、私をふもうとしているぅ!

「真莉亜、こっちよ!」

リリアさんが私のうでをがしっとつかんで走った。
ふぅ。ルクトさんが気付かなかったら、どうなってたことやら。
それにしても、琉理がもっている紙は、なんだろ。
あ、私の紙しばいだ!

「お姉ちゃん、こんなものを忘れてるし。虹色幼稚園まで届けよう!」

うんうん。届けた方がいいね・・・・・・。えぇ~!?琉理がこっちに向かって、走って来るぅ!

「みなさん、にげましょう!」

「はい!」

私達はとっさににげた。

「おーい、まってくれよ!」

ジュンブライトが、顔をくしゃくしゃにして、よろよろと走って来る。

「うわぁ!」

ジュンブライトがこけた。

「ジュンブライト!」

私がさけんだ。

「う・・・・・・。もう、ダメか・・・・・・。」

ジュンブライトがあきらめかけていたその時。おやゆび姫が指笛を吹いた。
もうすぐ、ジュンブライトがふみつぶされてしまう・・・・・・。
その時、白いちょうちょが飛んで来て、ジュンブライトを背中に乗せた。
琉理はもう、道を右に曲がって、行っちゃった。
その姿を見て、ジュンブライトはホッと、安心した。

「ふぅ~。もう少しで、ひらひらの下じきになるところだったぜ~。」

ジュンブライトを乗せたちょうちょが、下にさがって、ジュンブライトを降ろして、空のはるか遠くへ、飛んで行っちゃった。

「サンキューな、おやゆび姫。」

「どういたしまして。私、自然の虫、生物達と仲が良いので、指笛を吹くと、すぐにかけつけてくれますよ。」

おやゆび姫がにこっと笑った。

「さぁ。右へ曲がりましょう。」

「はい!」 「えぇ!」 「おう!」

私達が返事をすると、みんなはおやゆび姫を先頭に、一列に並んで歩き始めた。




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