恋心

華南

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恋の結末 その1

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あの突然の告白から彼と付き合いだして3ヶ月が経った。

最初に持った印象を裏切ることなく彼は穏やかで優しかった。
彼は大手電機メーカー会社の課長で、私より9歳年上の33歳。
前の彼よりも二つ年上だ。

仕事が忙しい彼とは週末、初めて出会ったカフェで夜過ごす事が多かった。

初めて彼のマンションに行ったのは彼と付き合い始めて一ヶ月経った頃だった。

高級マンションの最上階で3LDKのファミリータイプのマンションに彼は住んでいる。
最初、彼のマンションに行ってベランダから見る景色に驚いた。

視界に広がる煌く夜景。

遮る物がない高層マンションでの夜景は格別で自然と嘆息を漏らしていた。
後ろからくつくつと笑う声が聞こえる。

彼が私の背後から腕を回し、私の身体を捕らえる。
密着する体から仄かに漂う彼の香り。
濃厚なシトラスの香りが私の思考を奪う。

「要さん……?」

「僕はこの場所での朝焼けが格別だと思っている……」

告げられる言葉に潜まれている艶やかな誘い。
彼が私を求めている事が解る。

自然と胸が高鳴って抑える事が出来ない。
身体が震えてベランダにおいてある手に力が入らない。

背後から私の首筋に顔を埋める彼に耳まで赤く染まる。

「……、いい香りだ。
茉理の優しさが伝わってくる」

「要さん……」

身体を反転させられ強く抱きしめられる。
そっと触れられる唇。
何度も何度も角度を変え触れられるうちに自然と唇が開く。
薄く開いた唇から彼の熱い舌が割り込まれ、歯列をなぞり顎裏に舌を這わす。
ざらりとした感触が私の奥底を強く刺激する。
体中の熱が彼に奪われ身体を支える事が出来ない。

ワザと聞こえるように絡まる舌の音に顔が赤く染まっていく。

うっとりと彼のキスに酔いしれる私の体の線を辿るように彼が手を這わす。
ニットの上から触れられる彼の熱い手が、私の胸を強く掴む。

一瞬、口から否定の言葉が漏れる。

「駄目、要さん……」

触れる彼の手を遮る様に手を重ねる。
私の抵抗に、彼が苦笑を漏らし身体をそっと離す。

「……、済まなかった。
まだ、早かったか」

不安がる私に優しくキスを落としそっと抱きしめる。

「茉理の全てが欲しい……」

求められる言葉に頬がかっと熱くなっていく。

「要さん……」

「早く茉理が僕を求めてくれる事を願っている」

「……」

「マンションに送るよ」

ゆったりと流れる優しい空気の様な恋愛。
激情に捕らわれることない穏やかなこの恋に私は何処か安堵している。

そう。
前の恋愛の様に彼に溺れて自分を見失う事を何処かで躊躇っている。
要さんは前の彼とは違う。

その事を頭で理解していても心がまだそう整理しきれていない。
何処かで恋愛に対して臆病になっている。

踏み出して恋に臨んでも未だに前の恋の痛みに心が燻られている。

彼が好き……。
日を追うごとに彼の魅力に捕らわれている自分に気づく。

どうしようもなく彼に抱きしめられたいと思ってしまう。
求められ彼と一つになったあの幸福感を味わいたいと心の中で願っている。

だけど、別れた彼に言われた言葉が心を突き刺す。

「お前を抱いても面白くないんだよ……」

もし、要さんが私を抱いてそんな想いに駆られでもしたら。
私に飽きてもし、別れ話を言われたら私は一体、どうなるの……?

不安が彼を受け入れることに躊躇させる。
そんな葛藤が続きながら彼との付き合いの中、私はもう会うこともないであろうと思っていた彼と偶然出会った。

彼は部長のお嬢さんと腕を組みながら歩いていた。
幸せそうに微笑んでいる二人の姿に、私の心の中に鈍い痛みが走る。


側にいた要さんがじっと見ている私の視線に目を落とす。

「……茉理」

私の名を呼ぶ要さんの声が何処か遠くに感じる。
反応のない私の肩を抱き要さんがその場から私を放す様に歩き始める。

駐車場に置いてあった車に乗せられ、車を走られる。
ぼんやりと先ほどの二人に心を奪われていた私は要さんがどんな顔をしていたか、解らなかった。

何時の間にか走行していた車が私のマンションに着いていた。

「茉理、着いたよ」

ぼんやりとした思考が彼の言葉で戻っていく。

「……、ご、御免なさい。
考え事に捕らわれてしまって、うっかりしていました」

「……、明日、朝9時に迎えにくる。
宿泊できるように着替えの準備をしておいてくれ」

突然の彼の言葉に目を大きく見開く。
断ろうと彼を見つめ、一瞬、言葉が出ない。
有無を言わせないほど、彼が頑なな瞳で私を捉えている。

「要さん……」

「お休み、茉理」

マンションを離れる彼の車が見失われるまで私はその場から、離れる事が出来なかった……。

眠れない時を過ごしながら朝を迎えた。

昨日の彼と彼女を見たときに走った鈍い痛み。
自分では別れた彼にあんな顔をさせる事は出来なかった。

今になって解る。

彼にとって私はただの遊びに過ぎなかった事を……。
それも思い知らされたのは要さんと付き合い始めてだ。

彼がどれだけ私を想い深く愛してくれてるかを解っての痛みである事を、私は思い知った……。

***


朝。

時間通り迎えに来た要さんが何時もの様に穏やかに声を掛けてくれる。
だけどその目が何時もの優しさを含んでいない事に気づく。

彼の側にいるのが恐い……。
この場から立ち去りたい。
そう思いながら彼との時間を過ごしていく。

夕方、連れられた場所に私の身体が硬直する。
宿泊の準備は一応してきた。

心の中でまた彼を受け入れる勇気がない。

「あ、要さん、私……」

部屋に露天風呂が設置してある高級旅館。

部屋に案内されると既に料理の準備が整えられている。
要さんに勧められるままコップを取りビールを注がれる。
躊躇いながら口に含み緊張で喉に通らない食事を取っていく。

余り堪能する事が出来なかった夕食を終え、勧められるまま室内の露天風呂を先に戴く。

ゆっくり温泉に浸かりながらこの後、起きうる出来事に体中を赤く染める。

前の彼とは余り身体を重ねる事はなかった。
初めは頑なな私に彼も苦笑を漏らしながら抱いていたが、何時まで経っても馴染まない私に何時しか求めなくなっていた。
それが別れの発端になる事を恋愛に疎かった私には理解できなかった。

(どうしよう……。
こんな、まだ心の準備が出来ていないのに要さんに求められてしまったら。
抱いて幻滅されたら私は……)

自然と涙がぼろぼろと溢れる。
彼に嫌われたくない。

もう既に心の奥深く住み着いてしまった要さんが私から離れてしまったら……。
考えも及ばない思いに私は捕らわれ涙をずっと流していた……。

どうにか気持ちを落ちつかせ風呂から上がり部屋に戻ると既に要さんが、浴衣姿で私を持っていた。
大浴場で風呂を終えた彼の髪の毛がほんのりと湿っている。

覗かせる鎖骨が私の心の奥を強く刺激する。

無言でじっと私を見つめる。
動くことが出来ずその場に佇んでいる私の側にきて急に強く抱きしめる。

覗き込む彼の髪の毛から水滴が落ち頬に掛かる。

「要さ……」と言葉を紡ごうとする唇を強引に奪われる。
背中に腕を回され、深く唇を求めながら彼が私を押し倒す。

ひんやりとしたシーツの冷たさが身体に伝わってくる。
くちゅくちゅと舌を絡ませ割り込んできた熱い手が片方の乳房を強く掴む。

一瞬、強く掴まれた痛みで顔を歪ませてしまう。
優しさの欠片も感じられない愛撫に、目に涙が溢れてしまう。
嗚咽を零す私を無視し、唇を解いた彼が胸を口に含み先端を舌で転がす。
片方の乳房を形を変えるように揉みしだき、もう片方をざらついた熱い舌で、口で犯していく。
暴れる私に彼が浴衣の帯を紐解いて、私の腕に括り付け自由を奪う。

「いや、恐い!
要さん、止めて……」

悲鳴を上げ泣き叫ぶ私の浴衣を取り払い、何も着けていない裸体が彼の目に映る。
熱い手が脇腹を触れ、震える下肢に指を這わす。
まだ潤んでいない陰核に触れる。

「やはり駄目か……」

深いため息を零し陰核を口に含む。
ねっとりと舌で愛撫され指で中を解していく。
強引に奥に入り込む指に顔を大きく歪める。

「い、いや、痛い!
やめて、要さん……」

何度も止める様に訴える私の言葉を無視し、彼が抜き差しする指を増やし女としての私を暴いていく。
引きつく身体がいつの間にか甘い快楽へと導かれていく。

心とは裏腹に彼の愛撫に馴染んでいき、とろり、と下肢から雫が流れる。

くすり、と彼が笑っている……。
彼の愛撫に息が弾み、甘い吐息が零れる。
体中が熱を発し、仄かに赤く染まっていく。

快楽に、ぼんやりと膜が張った様な思考が一気にクリアになる。
何も付けていない彼が強引に私の中に入ってきた。

「え、やだ!
嘘でしょう、要さん!
ど、どうして……」

問いただすように言葉をかける私を無視して膝裏に腕をかけ挿入し始める。
ぬちゃりと中を突き進める音が鼓膜に響く。

(どうしてこんな風に私を奪うの……?
あの優しさは嘘だったの?
どうしてこんなに怒りを露にした抱き方をするの……?)

涙が溢れて止めることが出来ない。

穏やかでいつも私の心を尊重してくれた彼が、私の意志を無視して強引に身体を奪っている。
それも避妊しないで私の子宮を犯している。

もし、子供が出来たらどうするつもりなの?
そんな考えも及ばない関係だったの、私達は!

解らない……。
どうして、こうなったの?

どうして!

一瞬、身体の奥に熱い熱を感じる。
彼が子宮に何度か強く穿ち熱を放出している。

中に出された……。
その絶望が私に深い悲しみを齎した。

私から出た彼が私の頬に手を添えじっと見つめる。

「……、絶対に離さないから!
未だにあの男に気持ちが捕らわれている事は解っている。
だけど、茉理は俺のモノだ……。
泣き叫ぼうが心にあの男がいようが、茉理を手放すものか……!」

真摯に見つめられ言われる言葉に言葉が出ない。

(未だに彼に心が捕らわれていっるってそう思ったの?
もしかして、彼は嫉妬している?
私が別れた彼を見つめていた事が、そう彼に思いさせたの……)

「……、違う!
私はもう、あの人の事なんて、なんとも思っていない」

「茉理?」

「要さんが好き。
貴方の事を愛している。
だからずっと戸惑っていた。
もし、貴方が私を抱いて幻滅したらどうしようと、ずっと悩んでいた。

私、前の彼に抱いても面白みがないと言われたから、それをずっと引きずっていて恐かったの。
貴方の事が好きすぎてもう抑える事が出来菜ほど、貴方との恋に溺れている。
貴方から別れを告げられたら私は……」

それ以上の言葉を話すことが出来ない。
奪われた唇で言葉を話すことを許されない程、深く彼に奪われる。

熱い吐息で私の耳元で囁かれる。

「俺も嫉妬で理性が狂うほど、茉理に心を奪われている。
愛している、茉理……」

告げられる愛の告白に涙が止まらない。
そっと彼の唇に触れて愛を伝える。

彼に対する想いを抑える事等、もう出来ない。
触れた唇がまた彼の目に欲情を灯す。

私の唇を奪いながら彼はまた私を愛し始めた……。
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