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教皇と元聖女
ep1
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カリカリカリ…
窓の外で何かが窓をひっかくような音を聞いてアリシアが目を覚まして起き上がった。
「んー…ん?」
眠たげに目をこすりながら大きく欠伸をした彼女は、カーテンを開けるとさらりと流した白に近い金髪を耳に引っかけて小首を傾げる。
「なんでしょう?」
すると、窓の外にいたのは小さな龍だった。
中型犬サイズのドラゴン型の龍は窓をカリカリと掻いていたが、窓を開けてもらうと窓枠に降り立った。
「教皇様の伝令龍さんですね」
アリシアの問いかけに小さな龍はこくんと頷いた。
「お久しぶりです、アリシア様。教皇様よりお手紙をお預かりしております」
「教皇様から!? えっと、私がここにいること、知っていらっしゃるのです?」
「御遣い様より接触がございまして、新聖女様との対談の要請もあったものですから、教皇様もようやく体調がお戻りになったので、こちらに伺うことができるようですし」
「お体の具合でも悪かったのですか…?」
不安げなアリシアの顔を見ながら小さな龍は首を横に振った。
「いえ、自己責任です。ですが、近いうちにエメル国王宮へもご挨拶にうかがう、とのことでしたので、ぜひ、お休みの日を知りたいと」
「わかりました。基本的に日曜日はお休みなのですが、あとは交代と言うことですので、シフト表を確認してきますから、お待ちを」
アリシアは立ち上がって手帳を取り出すと予定を確認して小さな龍に告げた。
「ああ、私のお休みは来週であれば水曜日ですね」
「かしこまりました。そのようにお伝えします」
アリシアはふと、小首を傾げた。
「…あの、御遣い様というと、聖龍様のことですが…教皇様に私のことを聖龍様が直々にお伝えなさったのですか!?」
「はい。青の御遣い様は突然、教皇庁の上空に現れ、教皇様に教会の惨状の改善命令と、そして、新聖女の手綱の問題の改善を約束させ、それと引き換えにアリシア様のことをお話しになったようです」
アリシアはふにゃりと表情を緩めた。
「ああ、よかったです」
今にも泣きそうな顔で彼女の瞳が潤んだ。
「本当によかった…」
「アリシア様!?」
「教会情勢が悪いとか、そういう情報しか入って来なかったのでとても不安だったのです。忙しかったので辛うじて仕事に打ち込めましたけれども、とても心配だったのです」
目尻をこすったアリシアは気の抜けた笑みを浮かべてメイド服を手に取った。
「教皇様にお伝えくださいね。――お会いできること、とても楽しみにしています。…お父さん…って!」
そう言って恥ずかしそうに頬を朱に染めてニッコリと笑ったアリシアに、小さな龍はぽわーんと頬を赤らめ親指を立ててグッドサインを作った小さな龍が不敵な笑みを浮かべた。
白い歯がきらりと輝く。
「必ずお伝えしますとも! では、さらばです!」
ものすごい勢いで彼が去った後、アリシアはその姿を見送って青空を見上げた。
「教皇様とまた、会えるなんて夢みたいですね」
嬉しそうに表情を緩めると、彼女は窓を閉め、カーテンを閉めてカチューシャとタイツ、そして仕事用の茶色いローファーを取り出した。
窓の外で何かが窓をひっかくような音を聞いてアリシアが目を覚まして起き上がった。
「んー…ん?」
眠たげに目をこすりながら大きく欠伸をした彼女は、カーテンを開けるとさらりと流した白に近い金髪を耳に引っかけて小首を傾げる。
「なんでしょう?」
すると、窓の外にいたのは小さな龍だった。
中型犬サイズのドラゴン型の龍は窓をカリカリと掻いていたが、窓を開けてもらうと窓枠に降り立った。
「教皇様の伝令龍さんですね」
アリシアの問いかけに小さな龍はこくんと頷いた。
「お久しぶりです、アリシア様。教皇様よりお手紙をお預かりしております」
「教皇様から!? えっと、私がここにいること、知っていらっしゃるのです?」
「御遣い様より接触がございまして、新聖女様との対談の要請もあったものですから、教皇様もようやく体調がお戻りになったので、こちらに伺うことができるようですし」
「お体の具合でも悪かったのですか…?」
不安げなアリシアの顔を見ながら小さな龍は首を横に振った。
「いえ、自己責任です。ですが、近いうちにエメル国王宮へもご挨拶にうかがう、とのことでしたので、ぜひ、お休みの日を知りたいと」
「わかりました。基本的に日曜日はお休みなのですが、あとは交代と言うことですので、シフト表を確認してきますから、お待ちを」
アリシアは立ち上がって手帳を取り出すと予定を確認して小さな龍に告げた。
「ああ、私のお休みは来週であれば水曜日ですね」
「かしこまりました。そのようにお伝えします」
アリシアはふと、小首を傾げた。
「…あの、御遣い様というと、聖龍様のことですが…教皇様に私のことを聖龍様が直々にお伝えなさったのですか!?」
「はい。青の御遣い様は突然、教皇庁の上空に現れ、教皇様に教会の惨状の改善命令と、そして、新聖女の手綱の問題の改善を約束させ、それと引き換えにアリシア様のことをお話しになったようです」
アリシアはふにゃりと表情を緩めた。
「ああ、よかったです」
今にも泣きそうな顔で彼女の瞳が潤んだ。
「本当によかった…」
「アリシア様!?」
「教会情勢が悪いとか、そういう情報しか入って来なかったのでとても不安だったのです。忙しかったので辛うじて仕事に打ち込めましたけれども、とても心配だったのです」
目尻をこすったアリシアは気の抜けた笑みを浮かべてメイド服を手に取った。
「教皇様にお伝えくださいね。――お会いできること、とても楽しみにしています。…お父さん…って!」
そう言って恥ずかしそうに頬を朱に染めてニッコリと笑ったアリシアに、小さな龍はぽわーんと頬を赤らめ親指を立ててグッドサインを作った小さな龍が不敵な笑みを浮かべた。
白い歯がきらりと輝く。
「必ずお伝えしますとも! では、さらばです!」
ものすごい勢いで彼が去った後、アリシアはその姿を見送って青空を見上げた。
「教皇様とまた、会えるなんて夢みたいですね」
嬉しそうに表情を緩めると、彼女は窓を閉め、カーテンを閉めてカチューシャとタイツ、そして仕事用の茶色いローファーを取り出した。
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